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Beyond of Cosmos =星巡りの物語=リゲル・ラナ編  作者: 詩紡まりん
『スチュアートリア帝国とその歴史』=赤い荒野の闘いとレッドリオン公国= リゲル歴3594年

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The red wilderness「赤い荒野」のお話 =はじまり=

今話の後半から、

リゲル・ラナ星のスチュアートリア帝国の歴史が語られます。


主人公たちが、寿命の長いHoly Mage達なので

過去も長い。


現在に至るまでの過去の歴史を語り部は

「帝国神聖大」の先生たちです。


今回の語り部は、

ガブリエラ・サーシャ・ラング先生。

255歳です。


数回に渡り語られますのでお付き合いください。


最後に、お話に関連する

「帝国東部の地図」の挿絵を入れてみました。

リリアーナは、翌朝から「帝国神聖大」へ「ミラ・ローズ」寮から登校した。

帝国神聖力術士養成大学は、通称「帝国神聖大」と呼ばれている。

大学といっても、地球のいわゆる大学とは全く別のものである。


寮から大学までは、専用の場所が送迎してくれる。

White(ホワイト) Mage候補は貴族の子息令嬢がほとんどなので、当然なのかもしれない。

それでも、庶民のリリアーナは恐縮してしまう。


大学には、入学当初から神聖力(ホーリーパワー)のレベルに応じて三クラスに分かれている。

現時点で神聖力(ホーリーパワー)が優れている「Holy(ホーリー)Mageクラス」。

神聖力(ホーリーパワー)がまだ弱い者や、白魔法が使える者の「White(ホワイト) Mageクラス」。

その他の者は「魔導士クラス」。


リリアーナは、神聖力(ホーリーパワー)は弱いながらもあるとの判定で「White(ホワイト) Mageクラス」となった。


Holy(ホーリー)Mageと他の魔法使いや魔術師との違いは「神聖力(ホーリーパワー)」にある。

神聖力(ホーリーパワー)の源は、本人の魂に宿っている。

その力を使う時は、自分の手足を動かそうとするのと同じで「念じる」、思うだけで良い。

それに対して魔術は、自然界に溢れている魔力や気力、妖力を活用する。

その力を使うには、呼び出すための詠唱があったり、道具を活用したりする。

力の源が根本的に違うのである。


リゲル・ラナ星は、「神聖力」と「魔力」の両方が存在している。

正確に言うならば、「神聖力」は、宇宙を統括している力なので宇宙(せかい)全てに存在している。

しかし、それを使いこなせる人間は、多くはない。

なぜなら、その力は魂に宿り、その魂の過去の生き方次第で決まるからだ。

そして、「神聖力」と「魔力」のバランスを維持することがこの星の課題である。



リリアーナは、「White(ホワイト) Mageクラス」に行くと、そこには既に数人の生徒が居た。

White(ホワイト) Mageクラス」は「Holy(ホーリー)Mageクラス」と異なり貴族よりも平民の方が多いと聞く。

ちょっと安心して教室へ入ってみたものの、やはり見知らぬ者ばかりで、ドギマギした。


すると、人懐こそうな目をした巻き毛の女の子が、リリアーナの方に向かってきた。

「リリアーナ・サーシャ・ホワイトブランチさん!! 」

私、アイラ・アリス・インディゴ・ラブリバーって言います」

「わたし、レッドリオン公国インディゴ村出身なの」

「リリアーナちゃんもだってブレッシング先生から伺っていたから、この前、お話したかったのだけれど…気付いたら帰ってしまっていて話せなかったから、今日はぜったい話したかったの」

と、元気に声をかけて来た。


「えっ、レッドリオン公国インディゴ村?」

リリアーナは、驚きながらも少し嬉しくなった。

「わたしは、隣のホワイトブランチ村よ。」

「でも、公国の学校とかあんまり行ってなかったから…」

リリアーナは、アイラの勢いに圧倒されつつ、同故郷と聞いて少しだけ気を許して答えた。


「わたしもすぐに、帝都に来たから。でも、同じ出身地同士仲良くしてね」

アイラは屈託がなく、どこまでもまっすぐな態度でリリアーナに向かってきた。


「こちらこそお願い致します」

「何もわかっていないので、教えてもらえると嬉しいです。」


彼女のように、初対面の人にでも、こんな風に話しかけられたらどんなに良いだろうと思った。


「うん!わたしも初めて大学へ来た時は、本当に戸惑ったから、なんでも聞いてね」

リリアーナには、目の前の社交的な彼女が戸惑う様子など想像できなかった。


「今日は、スチュアートリア帝国の歴史の授業からだから、White(ホワイト) Mageの上級生の方たちと合同の授業みたい」

「実技は、個別に指導して頂けるので、レベル分けされての授業になるけれど、リリアーナちゃんは…」

アイラは、途中まで言いかけて

「あ! リリアーナちゃんって呼んでもいい?」

慌てて確認するように言った。


人懐こくて物おじしないけれど、ちゃんと相手の気持ちも確認にしてくれる。

リリアーナもこの人なら仲良くでそうだと思った。

「はい、あ、リリアでも良いです」

「私もアイラ先輩って呼んで良いですか?」


するとアイラは、そんな先輩と言われて驚いたように言った。

「え、White(ホワイト) Mageクラスでは、年齢も先輩後輩も関係ないから、気にせずアイラって呼んで」

「わたしもリリアちゃんって呼ばせてもらうね」

「でも、Holy(ホーリー)Mageの方たちには、敬語からが無難かも?一応、貴族社会だし…」


帝国神聖大では、入学年齢も卒業年齢も決まっていない。

それぞれの能力に差があり、得意不得意があって当然。

その人のペースで能力を最大限に引き出すことが目的なので、全てが本人次第なのである。

Holy(ホーリー)Mageは、寿命化長く老化も遅い分成長も遅いが、その分、最大能力値が高い。

White(ホワイト) Mage以下は、成長は早いが最大能力値はHoly(ホーリー)Mageに比べて低い。

それゆえに卒業時期もバラバラなのである。

一応、新人は、古株を先輩として、自然とと敬っている。


「リリアちゃんは、午後の授業の前に神聖力(ホーリーパワー)の判定からだと思うので、まずはアレキサンダー先生との面談があると思うよ?」

と、ふたりで話しているところにガブリエラ先生が入って来た。


ふたりは慌てて自分の席に着いた。


ガブリエラ先生が

「私は、White(ホワイト) Mageを担当するガブリエラ・サーシャ・ラングです」

「私も皆さんと同じく、最初は神聖力(ホーリーパワー)がほとんど無いと思われていた状態から、この大学に入りWhite(ホワイト) Mageとなったあなた達の先輩です」

White(ホワイト) Mageは、その力を攻撃に使うのではなく、人を救い、助け、癒すことがメインの技になります。時には、大切な人を守るために防衛のための力も必要となります」

「皆さんも自分の秘めた能力を引き出し、力を高めて帝国に役立つ人材となって下さい」

と挨拶されると

「はい!」

と、生徒たち全員が先生の言葉に大きく返事した。

リリアーナも決意を新たに大きな声で返事をした。


「さて、今日からWhite(ホワイト) Mageクラスに10名の新入生が加わりました」

「まず、順番に自己紹介をして貰いましょう」

「名前と出身地とこれから学ぶにあたっての抱負を言ってみ下さい」

「では、前のあなたから!」


ガブリエラ先生が、前列の生徒の肩に手をおくと、その者から順番に、自己紹介が行われた。


リリアーナは、どきどきしながらも

「リリアーナ・サーシャ・ホワイトブランチ。レッドリオン公国ホワイトブランチ村出身です。レッドリオン公国と帝国のお役に立てる者になれるように頑張りたいと思います。よろしくお願いします。」

と、挨拶した。


一通り、全員が挨拶を終えるとガブリエラ先生が言った。


「はい、ではスチュアートリア帝国の歴史の講義を致します」

「このクラスにはレッドリオン公国出身の方もおられますので、今日は、前皇帝ジェーム先皇帝陛下以降の皇室の歴史と、レッドリオン公国の成り立ちについて勉強して参りましょう。」



= ガブリエラ先生の講義=

『ハイデルベルト・スチュアートリア朝

第4代皇帝ジェームズ帝以降の皇室の歴史とレッドリオン公国の成り立ち』


皆さん当然ご存じの通り現皇帝陛下は、アレクサンドル・エイデン・ハイデルベルト・スチュアートリア陛下です。

皇帝陛下の王朝はハイデルベルト・スチュアートリア朝です。

現陛下はハイデルベルト・スチュアートリア朝6代目皇帝陛下であらせられます。

そのお父上のジェーム・ステファン先帝は4代目であらせられます。

その間に5代目のラファエル・オーエン先帝がおられます。


ラファエル先帝は、アレクサンドル皇帝陛下の兄君であらせられ、現ラファエル・オーエン・レッドリオン大公です。

ラファエル先帝は、リゲル歴3865年に310歳で退位されて弟君のアレクサンドル皇帝陛下へ譲位されました。

その後、帝国の直轄地であったレリッドリオン領を所領とされレッドリオン公国を建国されました。


皇帝陛下の家系は、「Holy(ホーリー) Mage( マギ )」しか継げないことになっています。

代々の皇帝陛下からウィリアム皇太子殿下まで強力な神聖力(ホーリーパワー)を有されています。


 さて、ここからはレッドリオン公国の成り立ちについてのお話になります。なぜ、先代のラファエル皇帝陛下が、早々に退位され弟君に帝位を譲位されてレッドリオン公国を建国されるまでをお話したいと思います。

少し、長くなりますので、この講義は数回に分けることになるかもしれません。


当時、レッドリオン領地は、「赤い荒野」と呼ばれ、人が住むには厳しい環境で、まさに荒野と呼ばれる荒地でした。

雨季と乾季があり、雨季には雨が降るものの大きな川もなく、乾燥した砂漠のような土地だったと言います。

レッドリオン領は、スチュアートリア帝国の最東端に位置しており、その向こうには「シャバラリオ国」と「マントバナ国」があり、2国は海に面しています。


「赤い荒野」は、スチュアートリア帝国の領地でしたが、そみには巨大な赤いライオンの群れが住んでおり、立ち入る人間はほとんどいませんでした。


ところが、その禁断の地に踏み込む者がいたのです。


リゲル歴3594年のことでした。


当時の皇帝は、ジェーム・ステファン帝でした。

ラファエル先帝もアレクサンドル皇帝陛下も、プリンス・ラファエル殿下39歳とプリンス・アレクサンドル殿下20歳と、まだ若き王子であらせられました。


ある日ジェームズ皇帝陛下の元にふたりの王子がお見えになり、おっしゃいました。

「父上、アレックス(アレクサンドル)が、東の地の不穏な動きを予知したみたいなのです。」


アレクサンドル殿下は、まだ若く神聖力(ホーリーパワー)は発展途上でしたが予知能力に秀でておられました。

神聖力(ホーリーパワー)は、人によって秀でた部分が違います。

予知能力に関しては兄のラファエル殿下よりも優れておられました。


父君のジェームズ陛下もラファエル殿下も予知の能力は有しておられましたが、帝都から遠く離れた「赤い荒野」の異変を予測することはできませんでした。

しかし、ジェームズ陛下は、アレクサンドル殿下の神聖力(ホーリーパワー)を信じておられましたので、すぐに息子の言葉を信じました。


「アレクサンドル、それはどんな予知だ?詳しく見えたのか?」

「はい、父上。シャバラリオとマントバナ国の間に戦が生じることになるかもしれません。その戦地が『赤い荒野』となり、我が帝国民が巻き込まれる事態になる可能性を予知しました。」


「シャバラリオとマントバナ国が…か? マントバナ国は、帝国との交易国であるし、あの二国間での戦となると、我々も対岸の火事と傍観しているわけにはいかなくなるな。」

「それは、差し迫った予知なのか?それとも、先を見越したものか?」


父皇帝の質問に対して、アレクサンドル殿下がお答えになりました。

「まだ、未熟な私の能力では、現在からの明確な期間を測ることはできませんが、遠い未来という気はしませんでした。既に、ことが起き始めている…そのような感覚です。」


既に682歳のジェームズ皇帝は、長いひげを撫でながら試案をされました。


「アレクサンドル、事実が見えただけで、原因まではわからんのだろう?」

「はい。父上そこまでは…」

と、アレクサンドル殿下が申し訳なさそうにお答えになると

「父上。私は、戦地が『赤い荒野』となることが気になったのですが…」

と、ラファエル殿下がおっしゃいました。


「そうだな。そこは私もひっかかる。」

「わざわざ、人が恐れている『赤い荒野』を戦地に選ぶとは」

「長期戦になれば水の確保も厳しい場所である上に、あそこは帝国の領土だ。我が帝国が、領地を侵害されて傍観できぬことは両国ともに重々承知のはず」


「父上、アレックスの予知能力も現地に近い方がより発揮できるかもしれません。私もいくつか気になることがありますので。現地にアレックスとふたりで行って来てもよろしいですか?」

と、ラファエル殿下がおっしゃいました。


ジェームズ陛下は、王子がふたりとも帝都から離れた辺境地へ行くことに懸念を感じて、しばらく迷われた様子でした。


現在スチュアートリア帝国軍の海軍の全権を有され、帝国軍総司令官の任に当たられているラファエル殿下が任務にあたられるのは当然のことですが、まだ士官学生であらせられるアレクサンドル殿下を同行させることには、ためらいがお有りでした。

が、Holy(ホーリー)Mageにとって何よりも必要なのは経験値ですので、決意したかのように(うなず)かれました。


「うむ、但し、二国に気づかれないように、そなたの息のかかった陸軍の一個小隊を連れて行け。現地の偵察は、数人で行った方が目立たないだろう。偵察には、そなた達の使徒を連れて行けば役に立つだろう」


ラファエル殿下は海軍総司令官に着任される以前は、陸軍少将を務められておいででした。

「はい、父上。マントバナ国は、わが帝国の良い交易国で、物流も人の交流も盛んです。それに対して、シャバリオ国は、陸路からでは『赤い荒野』を迂回しマントバナを通らねば、物も人共に帝国への入国は難しいです」

「まずは、マントバナ国から情勢を伺って来ます」


「加えて、移動も我々の馬でも20日以上はかかりますので、移動時間短縮と馬の負担を考えて、船でマントバナ国近くのアムンゼンまで行きたいと思います」

「アムンゼンには、陸海軍基地がありますので、そこに同行の小隊を待機させて、まずは、私がマントバ国王に謁見して参ります。」

と、ラファエル殿下がおっしゃいました。


するとジェームズ皇帝陛下からもこのような提案がございました。

「帝国陸海軍の総司令官であるそなたが基地の視察に行くのはなんの違和感もない。移動も軍の船で行くと良かろう。アレクサンドルも側近の近衛騎士を選抜して同行させなさい。」


陸軍の指揮権は皇帝陛下、海軍の指揮権はラファエル殿下にお有りでした。

本来の帝国軍総司令官は、皇帝陛下なのですが、680歳を超えられたジェームズ皇帝陛下に代わられ、帝国軍総司令官はラファエル殿下でした。

皇帝陛下は、いずれ陸軍の指揮権をアレクサンドル殿下にお任せするおつもりでした。


「そなた達は、この帝国の未来を担う、大切な存在だ。国民の命と同等に己の身も案ずるように」

ジェームズ皇帝陛下は、帝国と国身を第一に考えられる偉大な賢帝であると同時にご子息たちを深く愛される父でもあらせられました。

両殿下共に、父君であらせられる皇帝陛下の慈愛に満ちたお言葉を胸に使命の完遂を強く決意されたのでした、


そして、ラファエル、アレクサンドル両殿下は父陛下の命に従い数日のうちに東へ向かわれたのでした。



挿絵(By みてみん)

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