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Beyond of Cosmos =星巡りの物語=リゲル・ラナ編 第一部  作者: 詩紡まりん
リゲル歴4044年「ふたつの星の狭間」

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第1話 リゲル・ラナ星「スチュアートリア帝国」

 宇宙(せかい)は、調和のとれた法則で成り立っている。

 人間の叡智では、その全てをはかり知ることは出来ない。

 その人間を遥かに超えた全知全能の存在。

 全てを司っている光とエネルギーの源。

 それを、人は「神」GODと呼んでいる。


 左と右、上と下、

 正(+)と負(-)、善と悪…。

 物事には必ず対になるものが存在する。

 「光」の反対は「闇」

 「神」の反対は「悪魔」

 しかし、宇宙空間には上も下も、右も左も無い。


 善と悪はだれが決めるのか?

 人間は、その中間的存在に触れると、扱いに困る。

 どうしても白黒をつけたがる。

 では、「人」は善なのか?

 悪なのだろうか?


 K302銀河のディアス系第四惑星「リゲル・ラナ」


 ここに生きる人々にとって、魔法は珍しいものではなかった。

 しかし、その力は、努力なしで誰にでも生まれながらにして使える力ではなかった。

 努力しても使えない力も多く、人によって得意不得意があるのと同様である。

 それも才能のひとつなのである。


 もちろん、魔法の力が強い者の方が優位なのには間違い違いない。

 物体操作系、パワー系、ヒーリング系、精神感応系、…それぞれの得意分野が異なる。


「魔」がつくので「悪魔」の力のイメージであるが、そうではない。

 魔法を超えた魔法は、「神聖力」Holy(ホーリー) Power(パワー)と呼ばれている

 魔法が生きている星は他にもある。

「リゲル・ラナ」は、魔法を超えた「神聖力」Holy(ホーリー) Power(パワー)が生きている世界なのである。


 どの星、どこの国に生まれようと人間である。

 能力や考え方やアイデンティの形成に育った環境が大きく影響するのだろう。


 ただ、それに甘んじない者も、自ら生き方を切り開いていく者もいる。


 世界は、そんな者たちの味方なのか?

 そうではないのか?


 宇宙(せかい)の法則の前に人の善悪の判断も考えも肯定されるとは限らない。

 しかし、それが宇宙(せかい)の秩序なのである。


 この星(リゲル・ラナ)で、最も国土の広い国、スチュアートリア帝国。

 この広大な帝国をひとりの皇帝が統治しており皇帝自身も「神聖力(Holy Power)」を持つ「Holy(ホーリー) Mage(マギ)」である。

「神聖力」が強く、その力を自在に操れる者は「Holy(ホーリー) Mage(マギ)」と呼ばれている。


 皇帝の名はアレクサンドル・エイデン・ハイデルベルト・スチュアートリア。

 そして、その息子ウィリアム・アーノルド皇太子もHoly(ホーリー) Mage( マギ )である。



 = スチユアートリア帝国 =

 ルデ・トロア王宮皇太子執務室


 澄んだ青い目と、輝くようなプラチナ金髪(ブロンド)の髪が美しい皇太子は、見た目は20代前半の若造にも見えるが、実年齢は200歳を超える225歳。

 強力な神聖力(ホーリーパワー)を持つ者は、その生命力も強く寿命も長い。

 彼の父、アレクサンドル皇帝も471歳である。


「ウィリアム皇太子殿下、レッドリオン公爵がおいでになりました」

 皇太子執務室付の護衛騎士の声が執務室に響く。


 皇太子は、執務室の奥に置かれた彼の執務用デスクの向こうから、その声に軽く頷くと、執務室の扉が開き、背の高いスラリとした美しい青年が、近衛騎士に案内されて入室した来た。

 どこか皇太子に似ている雰囲気を持つ青年だった。

 彼の腕には大きな鷲(イーグル)が止まっている。


「レッドリオン公爵、忙しいところ悪いな」

 皇太子は彼のデスクから立ち上がってその青年に向かって言った。


「ウィリアム殿下、殿下がご自分の使徒(しと)を直接使わす時は急ぎの時でしょう?何か火急の御用でも?」


 その美しい青年が皇太子に歩み寄りながら言うと、それまで青年の腕に止まっていた鷲(イーグル)が青年の腕から飛び立ち人間の青年の姿になり、皇太子の背後で膝づいた。


「ローガンご苦労だった。また用があれば呼ぶから下がっていなさい」

 皇太子殿下にそう言われた青年は、再び鷲の姿になり奥の部屋に飛んで行った。


「最近、西のブロッサン国との国境近くで不穏な動きを感じるのだ」


 皇太子であるウィリアム。

 レッドリオン公爵ことアラン。

 ふたりは、祖父を同じくする従兄弟同士である。

 ウィリアム皇太子が最も信頼する者のひとりがアラン公爵なのである。


 皇太子は人払いをしてアラン公爵とふたりだけになり、執務室の中ほどにあるソファーに向かい合って座った。

 そして、指先を上に向け、くるりと回すと室内に防音の結界を張った。

 執務室の大きな窓から、午前の明るい光が差し込む。

 皇太子は、少し前のめりの態勢になり両肘を太ももに当て、両指を合わせて顔の前に置いた。

 顔を下に向けて、ため息をつくようにぽつりと言った。


「古の昔より『魔の森』と呼ばれている場所がある」


 アランは、『魔の森』という久しぶりに聞くキーワードを耳にして、皇太子がこれから語ることの察しがついたように、ゆっくりと首を軽く楯に振った。


「アランも我々の祖父であるジェームズ先帝から聞いたことがあるだろう?あそこには、『時の扉』が隠されているとの伝説もある。今のところ、不穏な気配を感じだけなのだが場所が場所だけに気になる」


 皇太子の従兄であるアランは、ウィリアムの前ソファーに座って言った。


「殿下には、なにか不穏な未来が見えたのですか?」


 このスチュアートリア帝国の皇帝一族には、『未来予知能力』が備わっている。

 特にアレクサンドル皇帝とウィリアム皇太子の予知能力は帝国一と言えるほど秀でた能力だった。

 従兄であるアランにもその能力は備わっていたが、それは限定的で近未来に限られていた。

 アランは、ウィリアム皇太子の言葉に身を乗り出して聞き入った。


「いや、はっきり何かが見えたわけでは無い。今すぐ何か国家に関わる大事が起こるというわけではなさそうなのだが、未来に関わる何かが動いている気がしてならない。アラン、君ならこの私のなんとも言い難い感覚を理解してくれるのでは無いかと思うのだが…」


 ウィリアム皇太子は、その能力で直前~数十年後の未来までを正確に予測することができる。

 但し、近い物体がハッキリと見え、遠い物体がぼんやりとしか見えないのと同様に、予知未来の見え方にも場所や時間、未来の事象の関係で見え方に差が出る。

 たとえ未来が見えたとしても、そのものについての知識が無い場合は、それを理解することは出来ない。


 例えば、何年後かの未来に虫に刺されて死ぬ未来が見えたとする。

 そして、その虫が未知のウィルスを媒介していたことが原因で死んだとする。

 しかし、その虫と虫が媒介したウィルスについての知識も無いならば、ただ虫に刺されて死ぬ未来が見えたことにしかならない。

 それでは、未来を予知した意味が無い。


 不思議なことに、未来予知で見える事は、良い事よりも悪いことが圧倒的に多い。

 これは、危険察知能力が優先的に働くからなのだろう。

 今、スチュアートリア帝国皇太子ウィリアムは、その得体のしれない予知に悩まされ同じく皇帝の血を引くアランを呼んだのである。


「我々には、この帝国を守るという責務があるから油断はできない。危惧要因があるなら早めに対処すべきかと思う。こういうことを相談できる相手は、アランしかいないと思って来てもらったのだ」


 例え、王家の血筋でも神聖力(ホーリーパワー)を持たない者は皇帝にはなれない。

「絶大な神聖力(Holy Power)所持者」は、Grate(グレート) Holy(ホーリー) Mage(マギ)と呼ばれる。


 アランも皇帝の血筋であり、Holy Mageであったが、まだGrate Holy Mageと呼ばれるには年齢的に若かった。

 Grate Holy Magと呼ばれる者の多くは1000歳を超えている者が多い。

 これは、神聖力が魂に宿り、その魂のレベルに連動するので経験値に影響されるからである。

 それでも、アランは充分に当代一と呼ばれるほどの神聖力を有していた。

 若くしてGrate Holy Magと呼ばれる日も遠くはないのかもしれない。

 そんなアランだからこそ、皇帝も皇太子も彼を頼りにしていた。


「もしもの時は、ウィルを助け、協力し、スチュアートリア帝国とリゲル・ラナ星を守るようにと、祖父であるジェームズ先帝から何度も言われましたから…あ、失礼。ウィリアム殿下」

 と、慌ててアランが言い直した。


 その少し、おどけたようなアランの口ぶりに、先程まで沈んだ顔をしていた皇太子の表情が緩み

「ふたりの時は、従弟の幼馴染のウィルでいいよ、アラン」

 と、言って笑った。


 祖父のジェームズ先帝が755歳で退位し、その後を継いでアランの父ラファエルが第5代皇帝となった。

 その198年後に皇帝の座を弟のアレクサンドルに譲ってラファエル皇帝は退位。

 退位したラファエルが帝は、皇帝直轄領であったレッドリオン領地を大公国として所領地とし「レッドリオン大公」となった。

 いわばアランは、元皇太子であり、皇帝になってもおかしくない存在である。

 だが、彼にはそんな野心は全くない。


 今の彼は、レッドリオン公国公子であるが、このスチュアートリア帝国内では内政執務大臣のレッドリオン公爵として皇帝の右腕として活躍している。

 同時にスチュアートリア帝国陸海軍総司令官の任も与えられている。

 これは、アランがいかに皇帝や皇太子から信頼されているかの証であろう。

 アランがクーデターでも起こそうと思って行動すれば、一夜にして帝国は彼のものである。

 しかし、アランは一ミリもそんな野心を持ち合わせていなかった。


 皇帝になろうが、今のままであろうが、アランの生活、生き方、人生には全く変わりはないのである。

 それが最高の神聖力(Holy Power)を持つHoly Mageなのだった。


 アランは、ウィリアムの表情が緩んだのを確認し、自分の頬も引き締めながら

「叔父上からは、何か聞いているかウィル?俺も祖父ジェームズ帝から聞いた以上のことは…」

 と、従弟のアランとして皇太子に尋ねた。


「いや、俺もアランが聞いているのと同じだよ。父上も同じく予知されているはずだが、何もおっしゃって来られない。父上にもハッキリとは見えておられ無いのかもしれないな」


 ウィリウムの父である現皇帝アレクサンドルとアランの父であるラフェルは、その「予知能力」と「神聖力」で、何度も帝国を救っているこの帝国の二大英雄である。

 中でも「赤い荒野の闘い」、二回に渡る「エド・ブロ戦争」での彼らの活躍は、誇るべき帝国史として広く国民に語り継がれている。


「我々の寿命が長いとはいえ、生きている時代に『時の扉』が開くとも限らない。だが、開いてしまって大事が起きてからでは遅い。仮に『時の扉』が開いたとして、何がおこるのかも全く予想がつかないとなると…少なくとも調べておく必要はあるな? 」


 アランも若くは見えるが、ウィリアム皇太子より年上の235歳。

 10歳違いのふたりは、幼馴染でもあり誰よりも気心の知れた仲だった。

 特に皇太子という立場に居るウィリアムは宮廷内での執務に追われる日々であり、自由に飛び回れるアランとは異なり、気を許せる相手はそう多くは無かった。


「アレキサンダー先生にお尋ねしてみるか?」


「そうだな。先生なら何かご存じかもしれない」


 アレキサンダー先生とは、彼らのHoly Mageの師匠である。

 現在は、帝国の特別相談役として「帝国神聖魔術士養成大学」の特別講師をされているアレキサンダー先生は、既に1000歳を優に超えている偉大なGrate(グレート) Holy(ホーリー) Mage( マギ )である。


「しかし、まずは自分たちでも努力しないと先生に叱られるからな」

 と、ふたりのアレキサンダー先生の弟子たちは顔を見合わせて笑いながら頷いた。


 アランは早速調査に入るべきだと思っていた。

「まず、『時の扉』についての記録や資料・本などの文献を王宮書庫から片端から集めて、帝国軍参謀室に分析させよう」


「参謀長は、シオンだったな?」


「そう、シオン・ミッシェル・ヴァイオレット・フィールドです」

 シオン・ミッシェル・ヴァイオレット・フィールド参謀室長官は、ウィリアム皇太子、アランと共に同じ学び舎で切磋琢磨した学友でもあった。


「あいつなら適任だな。皇室図書館に引き篭もる勢いで調べてくれるだろう。レッドリオン大公領の公立資料も調べさせて欲しい。場合によっては、他国からの資料も集める必要があるかもしれない」


「もちろんです殿下。でも、まずは隠密裏に進めないとなりませんから、シオンの報告を待ってからにしましょう。その後で、アレキサンダー先生のお知恵もお借りしたいと思います」


「では、殿下失礼して…」

 と、いうとアランは、ウィリアム皇太子が張った結界を解除して、精神感応(テレパシー)で思念を飛ばし、宮廷内にいるはずのシオン・ヴァイオレット・フィールド参謀に呼びかけた。


 [シオン、アランだ。急に悪いな、宮廷内いるなら、皇太子殿下の執務室に来てくれ ]


 アラン達Holy Mageは、精神感応能力(テレパシー)により、近くにいるHoly Mageの精神に働きかけ思念を送ることが出来る。


 シオン参謀とのテレパシーでの会話を終えると、再度、皇太子に向かって言った。

「それでは殿下、西のブロッサン国との国境は、ブルーフォレスト辺境伯領地なので、私は、オスカー・エンドリケ・ブルーフォレスト騎士団長と、帝国陸軍騎士団の第五小隊を連れて様子を見て来ます」


 アランは時を置かず、すぐに行動に移すつもりだった。

 スチュアートリア帝国軍総司令官と内政執務大臣を兼務しているレッドリオン公爵のアランだからこその早業である。


「何もなければ良いのだが…アランの調査報告次第では、皇帝陛下とご相談のうえ、何らかの手を打たねばならなくなるだろうな」

 いつもながらのアランの素早い対応に、皇太子は期待通りだとは思いつつも関心をせずにはいられなかった。


 アランは、立ち上がりながら言った。

「叔父上は、この時期は、皇后陛下とトリリノール離宮にご滞在でしたね?トリリノール離宮は、ブルーフォレスト辺境領と帝都トロアの中間にありますから、偵察遠征の帰還途中にご報告に参りましょう」


 この時期は、皇帝は帝都のルデ・トロア宮殿を離れて帝国内各地にある離宮を回っていた。

 帝国内を自分で視察し、各領地主や国民からの陳述を直接吸い上げ国政に活かすのが目的である。


「うん、頼んだアラン」

 皇帝の代役としてトロア宮を離れることの出来ないウィリアム皇太子は、従弟のアランに全てを託すしか無かった。

 シオン参謀が執務室に現れると、アランは、旧友のシオン参謀に一言、二言かわしてから執務室から消えた。


 皇太子の執務室を退室と宮殿の長い廊下を歩くアランの姿を見た侍女や宮女たちが騒めいていた。

「レッドリオン公爵! アラン様だわ!!」

「相変わらず、素敵~」

「とても200歳を超えてらっしゃるには見えないわ~」

「Mage(マギ)の方たちは500歳くらいまでは老化せず能力も衰えないらしいわよ」

「アレクサンドル皇帝陛下もまたまだ若々しくてらっしゃるし、皇太后陛下もお美しいですものね」

「羨ましいわ~」

「ウィリアム皇太子殿下もレッドリオン公爵様も麗しくてらっしゃるのに、まだ、お后様がいらっしゃらないのよねぇ」

「他の国では、後継ぎを絶やさないために後宮に何人もの側室を囲っている王様もいるらしいのに」

「 Mage(マギ)の方にとっては、適齢期は何歳くらいなのかしら?」

「アレクサンドル陛下も、兄君のラファエル前皇帝陛下も250歳前後でご結婚されたらしいわよ」

「だとした、お二人ともそろそろなのかしら?」

「どちらにしても、ハイスペックイケメンがふたりもフリーなんてもったいない~」

「皇帝は、Mage(マギ)しかなれないし、お后様もそれ相応の方じゃないと務まらないから」

「あたしたちにとっては、高根の花で見ているだけで目の保養ね」



 = ブルーフォレスト辺境伯領 =


「騎士たちは、馬と使徒(しと)たちが休めるように別棟に案内してやってくれ。」

 実家であるブルーフォレスト辺境伯領内の城前に到着すると、オスカー・エンドリケ・ブルーフォレスト近衛騎士団長は、自分の実家であるブルーフォレス城の騎士達に命じた。


 ブルース・カイザー・ブルーフォレスト辺境伯は、帝国の隣国エド・ロア王国とブロッサン国の二国と国境が接する辺境地を代々守って来た一族の現当主である。

 辺境地を守る家系なので、もちろん代々Holy(ホーリー) Mage( マギ )であり、騎士としても帝国内随一である。


 息子のオスカー卿は、今回の遠征にアランの側近として遠征に参加している帝国近衛騎士団を束ねる若き長である。

 まだ若く23歳であるが、Holy Mageを養成する「帝国神聖魔術士養成大学」を卒業後、帝国近衛騎士団に入隊し、あっという間に陸軍騎士隊長クラスに昇進したエリートである。


「レッドリオン公爵、はるばる辺境領までようこそ来られた」

 ブルーフォレスト辺境伯が使用人や騎士達と共にアランを出迎えた。


「妻は、父と帝都の邸宅に行っておりますので、私どもだけで失礼致します」


 すると、出迎えの執事や侍女たちの間から小走りでやって来た若い娘が、アランを見て目を輝かせながら言った。

「アラン様、お久しぶりです。このような田舎で、十分なおもてなしできませんが、城内でゆっくりおやすみ下さい」

 オスカーの妹のポリアンナ・アイビー・ブルーフォレスト嬢である。


 思わず、頭を撫でそうになった手を抑えつつアランが言った。

「ポリアンナ嬢、大きくなられましたな。社交界デビューはまだですか? 帝都には来られないのですね」


「はい、私も15歳になりましたが、社交界にはちょっと。母のようには立ち回れませんので領地にて修行に励んでおります。そのうちお祖父さまに帝国大学に招集されそうですけれど」


 ポリアンナの祖父、イーサン・バルナバーシュ・ブルーフォレストは、若き日のラファエル、アレクサンドル兄弟と共に闘ったHoly Mageである。

 現在は、領地と家督を息子のブルースに譲り、帝都トロアの邸宅に住み「帝国神聖魔術士養成大学」で教鞭を執っている。

「帝国神聖魔術士養成大学」通称「帝国大学」は、Holy Mageはじめとする神聖力(Holy Power)や魔力を扱う能力者を、帝国さらにはリゲル・ラナを守る人材として育成する帝国直属の学校である。


「アラン様、ポリアンナは辺境領に産まれただけあって剣の腕はなかなかのお転婆ですが、神聖力の方はヒーリング能力以外からっきしなんです」

 兄のオスカーが、からかい半分で妹について言及した。


「いえ!オスカーお兄様、私だって修行すれば、お兄様ほどではなくても、領地を守れるだけの神聖力を身に付けられると思っておりますわ」


 兄にお転婆と言われたことよりも神聖力(Holy Power)が未熟であることを指摘されたことに憤慨するポリアンナ穣であった。


 その様子を見たアランが少しからかうように言った。

「なかなか勝気な姫にご成長中のようですね」


「アラン様!!!」

 と、言いながらポリアンナ嬢は兄を睨んだ。


「これじゃ、強力な神聖力を身に付けたHoly Mageになったとしても、アラン様のお后候補には、なれそうもありませんな」


「お父様!!!」


 まだ、15歳のポリアンナ嬢には、我慢ならぬ状況である。


「立ち話もなんですし城内へどうぞ」

 これ以上、娘にヘソを曲げられては大変とばかりに客人を城内へ招き入れる辺境伯であった。


「やれ、やれ、」

 オスカー・エンドリケ・ブルーフォレスト卿は、いつものことだと首をすくめた。



スチュア・トロア大陸地図


挿絵(By みてみん)



◆ ◆ ◆ ◆ 

用 語 整 理

◆ ◆ ◆ ◆

リゲル・ラナ星は、魔法が生きている星である。

魔法とは、異なる神聖力(ホーリーパワー)(Holy Power)が存在する。


【神聖力(ホーリーパワー)】

神聖力は、宇宙全ても司る力で宇宙全体に存在する。


【Holy(ホーリー) Mage( マギ )】

神聖力を活用できる者をHoly(ホーリー) Mage( マギ )と呼ぶ。

神聖力は、その者の魂に宿る者で、能力差がある。


【White (ホワイト)Mage(マギ)】

白魔術を使う者を白魔術師と呼び、その力を極めた者をWhite (ホワイト)Mage(マギ)と呼ぶ。

白魔術は、魔法の中でもライトエナジーを活用するものメインである。

特に人を治癒したり、自己治癒力を高めたり、癒したりする力がある。


【Black(ブラック) Mage( マギ )】

黒魔術を使える黒魔術師と呼び、その力を極めた者をBlack(ブラック) Mage( マギ )と呼ぶ。

黒魔術は、魔法の中でもダークエナジーを活用するものメインで、攻撃性が高く、呪術と呼ばれる呪いを用いて人を殺めたり、魔物を強化させることが出来る。


【魔導士】

魔法を使える者の総称で、この中に白魔術師も黒魔術師も含まれる。


【Grate(グレート) Mage(マギ)】

神聖力を使いこなせるHoly(ホーリー) Mage( マギ )は、それほど数は多くなく、スチュアートリア帝国内にしかいない。

それゆえにHoly Mageの存在は、一般人には知らせておられず、優れた魔法使いという認識でGrate(グレート) Mage(マギ)と呼ばれている。

つまり、Grate Mage =Holy Mage として使われている。


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