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祝福のエピローグ  作者: アレン
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第4話

柊菜『それではまぁ恒例行事だから肩苦しい挨拶は飛ばして、大食い大会開催するぞ』



マイクを手に会場の舞台に上がり皆が舞台前に設置されているベンチに座りながら柊菜を見つめ、柊菜は開催の挨拶をすればいっせいに歓喜の声が上がった




柊菜『今年の優勝賞品は商品券5万円分だ、これはどこの地域でも使えるから中々便利だぞ。で、優勝賞品の紹介は特にないからここまでにして、今回の参加者達に登場してもらうか』



その声に舞台袖から今回の参加者達がゾロゾロと出てそれぞれの席に着席していった



柊菜『今回はちょっと特別だぞ、人間界にも惰殺がいただろう、人間…陰陽師達が対抗する為に作り出した式神達、その式神達と共に人間達は惰殺と戦ってきた、その式神の一人が参加したいという事で今回は参加してもらう、白虎、来い』



式神が…?とどういう事だと妖達は少し困惑し会場がざわつく中、「はーい!」と元気な声が辺りに響き渡り舞台袖から白虎がひょこっと現れた



白虎『どうもどうも〜!式神十二天将が一人、白虎。好きな事はねー、食べること!!!だから楽しみなんだー!よろしくねー!!』



簡単に自己紹介を白虎は済まし、空いている席にストンと座った



柊菜『という事だ、まぁ困惑するのが普通かもしれないが話す機会があるならば仲良くしてやってくれ、敵ではないしむしろ戦ってきたという点で言えば仲間だ、間違えても攻撃するなよ、こいつらはお前らが思ってるよりも強いし普通の妖じゃ勝てないぞ、大怪我して辺り一面吹き飛ばされたくなければ仲良くする事だな』



と、柊菜は警告をした


警告にそれを言った人物が妖界の一角を担う柊菜となれば誰も攻撃しようとは思わない



柊菜『今回の食べるものは唐揚げだな、だが通常サイズより3倍ほど大きく一皿に10個程乗ってる、より多くの唐揚げ…まぁ、皿が多い奴が優勝だな、優勝候補者が二人以上いて同じ枚数だった場合、残ってるグラムで少ない方が勝ち、それも同じだった場合は二人とも優勝にさせてもらう』


白虎『唐揚げ、肉!!!!』


颯清『し、静かにだよ白虎……!!』



食べるものが自身の好物の肉類であると分かった瞬間、白虎は目をキラキラさせ喜び、それを観客席から颯清が静かにと慌ててなだめている




柊菜『まぁ白虎はこんな感じだ、まぁ挨拶等はここら辺にして、それでは大食い大会、始めるぞ!』



その言葉に観客達はより一層の盛り上がりを見せた



柊菜『よし、カウントダウン始めるぞ、十、九、八……』



あともう少しで食べられると白虎は新しい玩具を買ってもらえるとワクワクした子供のような目で目の前の唐揚げを見つめている



柊菜『三、二、一……始め!!』



その言葉と同時に参加者達は一斉に食べ始めた



白虎『おかわり!!!』



まだ開始から30秒も経ってないと言うのに白虎はすぐにペロリと大量の唐揚げを胃袋に入れおかわりを要求しているのに対し、他の参加者達はもちろん観客達も信じられないという目で白虎を見ていた



柊菜『…これは、想像以上だったな…』



ここまで早いと柊菜も思ってなかったのか、予想外の行動に目を点にさせている



柊菜『…おい調理班、今から大量に唐揚げを作っとけ、すぐ無くなるぞ』



白虎の早さに驚きすぐさま無線機のイヤホンで調理班の方に指示を出している




明楽『相変わらず早いなあいつ』


美澪『あはは…白虎凄いよく食べるから』


明楽『底なしか???』




観客席からその様子を見ていた明楽と美澪も遠慮が一切なしの白虎の食べるスピードや量に驚いていた




美澪『いや底はちゃんとあるとは思うけど…うん、あるはず…はず……』



あるはずだと思ってはいるが、あの様子を見ると本当に底があるのかと思い中々美澪も言い切れずもごもごとしてしまう



明楽『…まぁ、柊菜頑張れ』



これからの大変さを察した明楽はどんまい、という目線を柊菜に向けていた





白虎『はーいおかわり!ここの唐揚げ美味しいねー!』




あれから制限時間の半分を過ぎた頃、未だ白虎の早さは衰えず次々に唐揚げを口に入れては幸せそうに食べていた



柊菜『白虎、そろそろ一旦ストップしろ』


白虎『えー……まぁ、うん、仕方ないね〜』



既に到底追いつけないという差をつけている白虎、まだまだ食べたいという目をしていたが仕方ないと渋々諦めた






美澪『あの唐揚げ、お店でも売ってるの?』




白虎達の様子を見ながら美澪はふと口を開きそう口にした



明楽『まぁ売ってるな、欲しいのか?』


美澪『…み、見てたらお腹空いてきちゃって……』



少し恥ずかしそうに顔を赤くしながらも素直に美澪は答えた


明楽『ならそこで待ってろ、買ってきてやるからな』



買ってくるとスっと席を立ち買いに行った明楽、明楽自身の本音を言えば美澪に美味しいものを食べさせたいと、美澪にあーんできる、もしくはしてもらえるという色々な考え付きだが



ふんふん、と鼻歌交じりのご機嫌で明楽は買いに行くが、その様子を見た美澪は「そんなに唐揚げ食べたかったの??」と見事に考えのすれ違いが起こっていた




だがこんな風に二人でゆっくりと会話し、笑い合える日が来て良かったと心底思う




美澪『………』



そう思っていた矢先、突如大量の雨が降り注いだ


が、その雨を降らせたものは直ぐに美澪の背後から消えたが、代わりにステージにいた白虎が背後にいた



白虎『あーあ、唐揚げ全部食べ終わっちゃったよ美澪』



残念…、とかなりしょんぼり顔をしながら残ってた最後の一個の唐揚げを口に入れて食べては「持ってて」と箸と皿を美澪に渡した



白虎『んーいっぱい食べれたし満足かな〜、……で?お前今、美澪に何したの?』



スタスタとある方向に歩いてはそこに倒れいた人物の胸ぐらを掴み強制的に立たせる



白虎『ねぇ君、死にたいの?』



ずいっと白虎は妖狐の女に顔を近付けた



白虎『今何したの?まぁ見てたから分かるけどさ、もしかしてお前、僕が食べるのに夢中でお前が水かけたこと気付かないとでも思ったわけ?そんなはずないでしょ、ちゃんと見てるんだから、まぁ僕に感謝してよね、これでも手加減して骨折れないように蹴り飛ばしたんだから、これが青龍だったらお前、少なくとも肋の骨全部折れて肝臓とかに刺さってたかもよ』



カタカタと小動物のように震えながら妖狐の女は白虎を見つめた



??『…だ、だって……』



口内が切れたのか、口の端から血を垂らしながら妖狐の女は言葉を続けた



??『……ッ、わ、私の方が明楽様の事を…見てたもん…!私の方が…私の方が……ッ…ずっと…ずっと……見てたもん…!』



ぶわっと涙を流し美澪を睨みつけながら言葉を続けた



??『お前は知らないでしょう…!明楽様が辛い時期を過ごしていた時を…ッ、元気に早くなるようにって……!明楽様が好きそうな物を差し入れて…少しでも……って…なのに、なのに……』



白虎『………』



女は言葉を続けるが白虎はそれを冷たい目で見つめていた、どうでも良いと言わんばかりの表情をしながら




??『……なんで…ッ、人間なんかを……ッ…お前が……きゃっ…!』




更に言葉を続けようとしたが、その瞬間にこの秋の爽やかな晴天には似つかない激しい雷鳴が鳴り響き女のすぐ側に雷が落ちた



明楽『そうかそうか、お前か、白虎よくやったな、そいつを渡せ、殺す』




スタスタと美澪のそばに行き、美澪の持っていた箸と皿を自分のいた席に置き代わりに美澪に温かい唐揚げを手渡し、軽く手を横に振れば春の暖かな風のような温風が吹き、瞬時に濡れていた美澪の服は乾いた



明楽『すまんな美澪、大丈夫だ、俺が守ってやるからな』


美澪『ぇ…ぁ、ちょ……っ、明楽…!!』


なでなでと明楽は美澪を撫でては、クルっと振り返り白虎の元へと向かった、美澪の声は無視して



明楽『お前の事情などどうでも良い、俺がお前にたった一度でも、慰めて欲しいと頼んだ事はあったか?ないだろう?そもそも誰だお前は』



薙刀を片手に白虎の元へと行くと、白虎はまぁ良いかとパッと手を離し美澪の元へと戻った



白虎からすれば主人達に害ある者が消える、純粋に主従の関係だけで言えば消えた方が良いに決まってる




??『あ、明楽様……ッ』



カタカタと妖狐の女は震えているが明楽はそんな事はどうでも良いと薙刀を振り上げた



明楽『どうやら俺はいつの間にかなめられていた様だな、俺が優しいとでも思ったか?馬鹿め』




そう言うと明楽は妖狐の女に向けて、薙刀を振り下ろした

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