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ねこじたトリニティ  作者: ニャンコ先生
第02章 雨音ハーモニー
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第12話 クロネコくん

 アイテムウインドウを開くと特典のシルバーカードが入っていた。周りを見渡すとみんな早速それをセットして中身を確認している。これを使わずにそのまま持っておくことも一瞬考えたが、スタートが出遅れるだけでメリットはなさそうだ。委員長は既にカードを使っている。俺もカードを使うことに決めた。カード使用確認のダイアログが出る。俺は『はい』を押す。

 カードが光り、自動的に宙に浮き、俺自身に差し込まれていく。それを横から見ていた委員長がつぶやく。

「クロネコくん何だった? 強そうなの出た?」

 クロネコというのは俺のキャラクターネームだ。委員長のそれはトラネコである。名前を教えあったとき「偶然だね」と話を振ってみたけれど、食いつきが悪かった。学校ではなぜか無愛想だ。

「えーと、ちょっと待っててよ」と俺はウィンドウを開き確認する。

「俺のは『感知:敵位置探知 範囲+10%』だな。トラネコさんのは?」

「わたしのは『基礎:技量 +10%』ね」

「良さそうなカードじゃないか」

「そうかなー。あまりピンと来ないのよね。技量ってつまり器用さってことでいいのかな。クロネコくんこそ良さそうなカードじゃない」

「便利そうだけど、個別チュートリアルでもらった『自己感知』とスロットがかぶるんだよね」

 スロットがかぶれば、その二枚を同時に育てることはできない。『自己探知』かシルバーかどちらか一方ずつしか育てられない。その上自己探知のカードは重要そうだ。それをセットしていないと自分の体力すら分からない。『今の状態で敵の攻撃をあと何発耐えられるのか』という基本的な情報なしでは、安心して戦うことができない。

 もっとスロットがほしい。ネットではスロット拡張ゲームと言われていたのを見たけれど、それがちょっと実感できた気がする。

「モンスター見つけるのに便利そうね。期待してるよ」

「ああ、そっちはまかせてくれ。ところでちょっと聞きたいんだがいいかな」

「なに?」

「スタートダッシュってやつ、がんばって狙った方がいいのかな?」

 ネットゲームにおけるスタートダッシュはとても重要である。それが成功すれば、競合者の少ない狩場を占有できたり、供給の少ないレアアイテムを先行して入手できたりする。いわゆる先行者利益を得やすいということだ。クローズドからの引継ぎなしという話だから、今回はみんなゼロからのスタートだ。詳しくは知らないが、やろうと思えば努力次第で可能と思える状況だ。まあこのあたりの知識は受け売りなので、どのくらい努力が必要なのか皆目検討がつかないのだが。

「ん? 焦らなくてもいいんじゃないかな。クロネコくんがそうしたいなら考えてもいいけど、ゆっくり楽しもうよ」

「そうか、じゃあのんびりやろうか。正直助かる。ありがとうな」

 言葉どおり俺はほっとした。


 シルバーカードの配布と確認の時間が終わったようだ。チュートリアルは次のステップに進んだ。アナウンスが流れる。


『……引き換え券を配布しました。カードショップで各種スターターパックおよび各種スキルカードと交換できます。カードを組み合わせ、キャラクターカスタマイズをお楽しみください』

 手持ちのアイテムを確認すると、スターターパック引き換え券が一枚、それからカード引き換え券が二枚、入っていた。

 ためしにスターターパック引換券を選択してみると、手元に各パッケージの内容を示したウインドウが開いた。ロールプレイングゲームでよくある5つのクラスを想定してカードを組み合わせたものらしい。この中から一つを選べということらしい。手持ちのカードと合わせて足りない分はショップで買えということだろう。

 俺はパッケージと所持カードを確認する。手持ちはチュートリアルでもらったものを含めて5枚だ。


パッケージ内容

 『スターターパック:ファイター』

   体力、 運搬力上昇、 斧術、強化魔法、   敵情報感知、 建設

 『スターターパック:アーチャー』

   腕力、 移動速度上昇、弓術、強化魔法、狙撃、敵位置探知

 『スターターパック:プリースト』

   防御力、運搬力上昇、    治癒魔法、盾、 仲間情報感知、薬調合

 『スターターパック:ウィザード』

   精神力、       棒術、雷魔法、 隠密、敵位置探知、 薬調合

 『スターターパック:シーフ』

   技量、 移動速度上昇、剣術、     隠密、地形探知、  鍛冶


所持カード

 シルバーコモン『感知:敵位置探知 レベル 01/20 範囲+10%』

 カッパーコモン『基礎:知力       レベル 01/20』

 カッパーコモン『武術:剣術       レベル 01/20』

 カッパーコモン『感知:自己感知     レベル 02/20』

 カッパーコモン『補助:カード操作    特殊』【フリースロットロック状態】


 それらとにらめっこしながら、どんな構成にするか迷っていると、委員長が提案してきた。

「とりあえずカードショップに行ってみない? どんなカードが売られているか確認してから考えましょう」

 もっともな意見なのでおとなしく従うことにする。

 臨時で路上にいくつものカードショップが並んでいる。込み合っている店を避け、俺達は少し遠くの方の店に行った。



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