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評価を失った悪役令嬢は、すべてを見返すことにした ~誰かに決められる人生なんて、もう終わりです~  作者: ルナ・ローゼ


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第22話 あなたの選択は、あなたのものか

 ――あなたは、何を選ぶのかしら。


 その問いが落ちた瞬間。


 すべての視線が、一人に集まった。


「……っ」


 元婚約者の喉が、ひくりと動く。


 逃げ場はない。


 言葉もない。


 ただ、問われている。


 ――初めて。


「答えなさい」


 黒が、静かに言う。


 強制ではない。


 だが。


 拒否は許されない。


「……俺は」


 彼が、ようやく口を開く。


 声が、震えている。


「正しいことを……」


 そこで止まる。


 言葉が、続かない。


 当然だ。


 その“正しさ”が、今、崩れているのだから。


「……本当に?」


 わたくしは、優しく問い返す。


 追い詰めるのではない。


 逃がさない。


 その中間。


「それは、あなたが選んだの?」


 沈黙。


 長い。


 だが。


 ここで逃げれば、終わる。


「……違う」


 彼が、ぽつりと呟く。


 小さく。


 だが、確かに。


「……違う、か」


 カイゼルが、低く笑う。


 面白そうに。


「なら、何だ?」


 彼は答えない。


 だが。


 その沈黙が、すでに答えになりかけている。


「ねえ」


 わたくしは、少しだけ声を柔らかくする。


「あなたは、誰のために“正しい”ことをしていたの?」


 彼の目が、揺れる。


 大きく。


「……それは」


 言葉が出ない。


 だが。


 視線が、周囲をさまよう。


 他人。


 評価。


 視線。


 すべてが、そこにある。


「……分かっているのでしょう?」


 わたくしは、静かに言う。


「あなたは、“見られるために選んでいた”」


 その一言で。


 彼の顔が、強く歪む。


「……違う!」


 反射的に否定する。


 だが。


 弱い。


「では、証明してみなさい」


 わたくしは、一歩下がる。


 道を開ける。


「誰にも見られなくても、同じ選択をするのかしら?」


 その問いは。


 逃げ道を消す。


 完全に。


 彼は、何も言えない。


 ただ、立っている。


 揺れている。


 崩れかけている。


「……」


 ミレイアが、小さく息を呑む。


 見ていられない。


 だが、目を逸らさない。


 それが、今の彼女だ。


「……俺は」


 やがて、彼が口を開く。


 震えながら。


「俺は……」


 言葉を探す。


 必死に。


 そして。


「分からない」


 その一言で。


 何かが、壊れた。


 ――評価が。


 掲示板。


 彼の数値が。


 大きく、下がる。


 はっきりと。


 誰の目にも分かる形で。


「……!」


 周囲がざわめく。


 驚き。


 恐れ。


 そして。


 ――理解。


「……これが」


 彼が、呆然と呟く。


「俺の……評価……?」


 わたくしは、静かに頷く。


「ええ」


 否定しない。


「今のあなたの選択よ」


 その言葉に。


 彼は、崩れそうになる。


 だが。


 倒れない。


 まだ、終わっていないから。


「……では」


 黒が、静かに言う。


 すべてを見ていた存在。


「次だ」


 その一言で。


 空気が、再び張り詰める。


「次……?」


 彼が、顔を上げる。


 理解していない。


 だが。


 逃げられない。


「再定義は、一度では終わらない」


 黒が、告げる。


「選び続けろ」


 その言葉は。


 命令ではない。


 だが。


 拒否できない。


「……っ」


 彼が、歯を食いしばる。


 そして。


 初めて。


 わたくしを見る。


 助けを求めるように。


 だが。


 わたくしは、何も言わない。


 これは。


 彼の問題だから。


「……どうすればいい」


 絞り出すような声。


 初めての問い。


 “正解”ではなく。


 “選択”を求める問い。


 わたくしは、ほんの少しだけ笑った。


「簡単ですわ」


 優しく。


 だが、逃がさない。


「あなたが選びたいものを、選びなさい」


 沈黙。


 そして。


 彼は、ゆっくりと目を閉じる。


 考える。


 初めて。


 自分で。


「……俺は」


 声が、変わる。


 ほんの少しだけ。


 だが、確実に。


「俺は……」


 そして。


 目を開ける。


 まっすぐに。


 わたくしを見る。


「……自分で決める」


 その瞬間。


 空気が、揺れた。


 帳簿が、光る。


 評価が、変わる。


 今度は。


 上がる。


 ゆっくりと。


 だが、確実に。


「……!」


 ミレイアが、息を呑む。


 カイゼルが、笑う。


 そして。


 黒が、静かに頷いた。


「……確認」


 低い声。


「再定義、成立」


 その一言で。


 場が、静かに緩む。


 だが。


 終わりではない。


 むしろ。


 始まり。


「……では」


 黒が、わたくしを見る。


 初めて。


 明確に。


「次は、お前だ」


 その言葉で。


 空気が、再び凍る。


 わたくしは、ゆっくりと笑った。


「――望むところですわ」

ここで元婚約者の再定義が成立しました。


ざまぁではなく、“崩壊と再構築”。

そしてついに、ルナ自身が次の対象に。


ここからは完全に最終局面です。


もし続きを読みたいと思っていただけたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

次話では、ルナ自身の再定義に踏み込みます。

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