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異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~  作者: やとり
第五章 切望を 叶えた者と 挑む者

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第82話 情けなくたっていいじゃないか

「ああ、それとな。ハクトに合わせたいやつがいるんだ」


「俺に合わせたい人?」


 やっぱり、魔族だろうか?

 いや、前にハヤテにそう言われてユズと会ったし、そうとも限らないかな?


「まあ、ハクトが大丈夫なら、だがな。さっき出かけた狩りの最中(さいちゅう)に、そいつを見かけてな。ちょいと前からハクトをそいつに合わせようと考えてて、丁度いいからと今日の予定を聞いてみたんだ。そしたら、今日は狩り以外にやることはないらしくてな」


 狩りの最中に会ったってことは、かなり強い魔族なんだろうか。

 ホムラが獲物にする魔物がいる場所、ってことだもんな。


「大丈夫、と言いたいけど……。一応、理由が知りたいかな」


 まあ、話を持ち出したのがホムラだし、問題ないとは思うけどさ。

 

 逆に、絶対に確認しないと駄目なのはハヤテ、よりもソフィアだな。

 ……急に、王城へ行きますので、なんて言われた前科があるしな。


「そうだな。前に、龍人族(りゅうじんぞく)について話したのは覚えてるか? 今日会わせたいのは、その魔族なんだ」


 確か、ドラゴンから進化した魔族って言ってたよな。

 それと、人型にもなれるって言ってたと思う。 


 そういえば、あの時食べたワイバーンのステーキはおいしかったけど、今日のお肉はよりおいしかったな。

 ……今日はドラゴン肉を食べちゃったけど、大丈夫だよな?


「そんでな。そいつは昔ヒカリに助けられた魔族の一人なんだが、そのヒカリが魔界で忙しいのをかなり気にしていてな。んで、最近ヒカリの忙しさが少しマシになったのを知って、その理由を聞きに来たんだ。その時の流れで、理由の一端(いったん)が異世界から来た人間、つまりはハクトにあるのを話したら、興味を示してな」


 ……それ、俺の恩人にちょっかいを出すのはどこのどいつだ! みたいにならない? 大丈夫?


「……興味を持った、ってのはどういった理由なんだ?」


「まずは、異世界の知識だな。それと、そん時はハヤテとかも一緒にいてな。ハヤテが、ハクトのおかげで大きな悩みが解決した、って話をしたんだ。それを聞いたあいつが、一度ハクトに会って色々と会話をしてみたい、って言ってな。んで、そいつは魔族の中でもかなりまともなやつだし、ハクトと合わせるのもいいかもな、って思ったんだ」


 会話をしたいってことなら、大丈夫そうかな?

 それに、かなりまとも、と言っていたし。


 ……まともじゃない魔族って、どんな感じなんだろう。

 頭の中にトゲトゲの肩パットをつけて、ヒャッハー! と果実の汁を飛ばすイメージが浮かんだ。


 いかん、何故か世紀末なやつと非公認なやつが混ざってしまった。


「それなら、俺も一度会ってみたいかな。魔族の知り合いが増えるっていうのも嬉しいし、ついでに試練のヒントになる何かが得られるかもだし」


「んじゃ決まりだな! アオイ、会議の後で何かやる予定とかはあるか?」


「うーん。魔道具の感想を聞きたかったけど、少し改良したい部分もあるし、それが終わってから改めて、ということでもいいかな。後は、ハクト君にいくつか魔法を教えようかと思っていたね。部屋に壁を作ったり、掃除をするための魔法が必要だからね」


「んじゃ、それはオレが教えてもいいな。ってことで、さっそく行くか!」



 ……心の準備ができないまま、ホムラに転移させられてしまった。


 まあ、転移されてしまったのは仕方ないと思い周りを見渡すと、鬱蒼(うっそう)と草木が生い茂っており、少しまばらに巨大な木々が立ち並んでいた。

 巨大な木があちらこちらにある光景は流石は異世界、というか魔界って感じだな。

 

 ……異世界に転移する物語には、こんな感じの森から始まる、なんてものが結構あった気がするな。

 そしてそこで魔物に襲われる、って展開もよくあったかな?

 

「……ホムラ。ここってどこかの森みたいだけど、その龍人族はここにいるのか? まだここで狩りをしてる、ってこと?」


 見渡した限りすぐ近くに家とかはなさそうだし、ここに住んでいる、とかはおそらく無いだろう。


「ああ、おそらく。今日は、しばらく狩りをするって言ってたしな。ちょっと探知魔法で探ってみるか」


 なんてホムラが魔法を使おうとしたその時、森の奥に巨大な影が見えた。

 ……いや、ここで異世界テンプレとかはいらないっす。


「……ねえ、ホムラ。あっちに巨大な生き物がいそうなんだけど。あ、もしかして、その龍人族がドラゴンの姿になってる、とか?」


「いんや。あいつは滅多にドラゴンの姿にはならないからな。あれは魔物だと思うぜ」


 ……そうかぁ、やっぱり魔物かぁ。


「そういえば俺、生きた魔物に会うのは初めてだったよ。……もしも襲ってきたらどうしよう。……すまんがホムラ、そうなったら助けてほしい」


 うん。

 全然心の準備とかできてないし。

 いや、仮にできてたとしても普通に怖いな。


 助けてホムえもん!


「あの程度の魔物、ハクトなら余裕だと思うぜ。この前オレと色々な魔法を使ったが、あれを使えば一発だぜ」


「……そうかもしれないけど、やっぱり生き物を狩るっていうのは無理かも」


 異世界に転移した主人公みたいに、チートを使って魔物を撃退! みたいなのは無理です、はい。


「まあ、無理なもんは仕方ねぇけどな。それに、オレが倒す必要もなさそうだぜ」


 ホムラのその言葉を聞いて魔物がいた方を見ると、その影が消えていた。


「どうやらあいつが倒して、収納したみたいだな。それと、こっちに気づいたみたいだぜ」


 魔物のいた方向を見ていると、こちらに近いづいてくる人影が見えて来た。


 俺たちの前まで来たその人物は、腰あたりまで伸びた黒髪の美女だった。

 顔立ちはキリっとしており、身長も結構高めだ。


「おう、****。さっきぶりだな!」


「そうですね。……そちらの方はもしかして、異世界から来た、ハクト、という方でしょうか?」


「ああ、そうだぜ! 前に会いたいって言ってただろ?」


「えっと、異世界から来ました、ハクトといいます。よろしくお願いします」


 相手は敬語を使ってるみたいだし、とりあえず丁寧に挨拶してみた。

 ……俺が勝手に持っている魔族のイメージと違って、知的で丁寧な雰囲気な話し方だったしな。


「私に敬語は不要ですよ。先ほどの会話が聞こえてきたのですが、魔皇の方とも普通に話していらっしゃるようですし」


 え、さっきの会話を聞かれてたのか!?


 ……初対面の人に、情けない場面を聞かれてしまった。


 というか、かなり遠くにいたのに声が聞こえるってのは、そういった魔法を使っているのだろうか。

 さっきの魔物を倒したことといい、やっぱり強い魔族なんだろう。


「ああ。こいつが敬語を使う理由はな、ヒカリの影響なんだ」


「そうですね。かなり昔のことなのですが、光魔皇様に助けられたことがありまして……」


 彼女の話によると、助けられた恩返しをするために、しばらくヒカリのそばで手伝いをしていたらしい。

 その時にヒカリが様々な魔族を助けたり、頼られたりといった光景を見たことで、ヒカリに憧れを(いだ)いたらしい。

 そして、ヒカリのようになりたいと考え、まずは形からと敬語を練習したり、強くなるためにホムラに訓練をお願いしたようだ。


 今では魔皇たちと仲良くなっていて、特にホムラとはよく模擬戦をするみたいだ。

 

「ヒカリに憧れただけじゃなくて、実際に行動を起こした結果、ホムラと模擬戦ができるまでになった、ってことだよな。……それは、すごいな」


 前に、結構いい勝負ができるってホムラが言っていたけど、元々種族のおかげで強い、とかじゃなくて、本人が努力した結果だったんだな。


「こいつはそんなやつだからな。オレたち魔皇もそこを信頼して、色々と頼み事をしてるんだぜ」


「信頼していただけているのは、ありがたいです。……まだ遠くですが、魔物が近づいて来ています。場所を変えたほうが良いでしょうね」


「んじゃ、落ち着いて会話ができるとこに行くか。……んー、まあ、いつものとこでいっか。多分丁度いいだろうしな」


 ということで再度、ホムラの転移で移動することになった。


 いつものとこって、あの何もなくて広い土地のことかな?

 ……丁度いいっていうのは、どういうことだろうか。

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