第65話 俺と彼女たちのボードゲーム大会
ということで、クレアにこの後の予定について、
「せっかくだし皆でボードゲームやおもちゃとかで遊びながら親睦を深める、っていうのはのはどうだ?」
なんて提案してみたところ、
「それはとってもいい提案なのですわ!」
と、絶賛してくれた。
それと、道具はユズが持っていそうなことも合わせて伝えてみた。
「道具があるのなら、すぐに会場を整えるのですわ!」
と、クレアはすぐに、使用人たちに会場を整えるように指示を出していた。
「では、一緒にユズさんに提案しにいくのですわ!」
そして、クレアと俺で、ユズのところに道具を貸してもらいに行くことにした。
俺とクレアでユズに近づくと、
「ん? ハクトと、第二王女様!? あ、あの、ええと……、あ、そうか! ほら、ハヤテちゃん、二人がハヤテちゃんに用があるみたいだよ! それじゃ、アキナと話してこようかな!」
「……ボクじゃなくて、ユズの方を見てると思うんだけどな~」
なんて、一緒にいたハヤテを目的の人物だということにして、この場から離れようとしていた。
……残念だったな、ユズ。
用があるのは君の方だ、なんてな。
「いや。俺たちはユズの方に用があるんだ。より正確には、ユズが持ってきている持ち物、かな?」
「ですわ!」
って、この言い方だと、何かまずいものを持ち込んでるみたいにも聞こえるかも。
案の定、ユズが焦ったような表情になっているし。
「あ、ユズが何か悪いことをしてるってわけじゃないから、安心してな。さっき、ボードゲームとかのおもちゃを持ってきている、って聞こえてきてな。もしよければそれを使わせてもらって皆で遊ばないか、って提案をしに来たんだ。もちろん、断っても大丈夫だからな」
「ですわ!」
……まあ、いいんだけどね。
「それなら大丈夫、というか大歓迎だよー! ……よかったー。これを持ち込んだから怒られる、とかじゃなくて」
うーむ。
ユズと他の皆、それぞれを知っている身としては、そんなに警戒しなくても大丈夫なんだけどなぁ。
それと、ユズはハヤテ以外の魔皇と会話しているのを見てないかも。
……これを機に、ちょっとは皆と仲良くなれたら、俺としては嬉しいな。
「それじゃ、準備が整ったら用意してもらっていいかな?」
「お願いするのですわ!」
今回はですわ! だけじゃないんかい!
◇
使用人の方たちが、遊びやすいようテーブルやイスを配置してくれたので、さっそく始めることにした。
参加者を募ったところ、イズレとパティオさん以外は参加したい旨の返事が返ってきた。
その二人は議論に集中しており、どうするかを聞きに行ったところあやうく議論に巻き込まれそうだった。
そのまま議論を続けたいようで、二人は不参加となった。
ということで参加者は俺とクレア、ユズに加えて魔皇の4人、ソフィア、モニカ、アキナ、ベイラ、それとメアリさんの総勢12人になった。
……というか、メイドのメアリさんも参加するのね。
参加者の人数も決まったところで、ユズにおもちゃを取り出してもらうようお願いしたら、
「……よし! せっかくすごい人たちが集まっているんだし、まずは新作の人生双六を遊んでもらおうかな!」
と、前に公園で披露していた冒険者版のバージョンを取り出した。
「前に公園で見せた時にもらった感想を元にして、少し改良してみたんだー。せっかくだし、今日は皆から色々な感想をもらおうかなって。……ちょっと気後れしちゃってたけど、よく考えたらこんな機会はめったにないもんね! それに、ハヤテちゃんから魔皇の人たちの話を聞いて、仲良くしてみたいって思ったんだ!」
ハヤテはやっぱり、ユズと魔皇たちが仲良くなれるよう、色々と話をしていたみたいだな。
ボードゲームの想定している参加人数は多くても8人くらいみたいなので、6人ずつに分かれて遊ぶことにした。
「それじゃ、最初は私が色々と説明しながらやるよー。人生双六を遊んだことがない人は、こっちに混ざってもらうといいのかな?」
と、ユズがゲームマスターをやってくれることになった。
クレア、ソフィア、ベイラ、モニカは遊んだことがないらしく最初の組に。
俺も、元となったほうしか知らないのでこっちに参加することにした。
そこにメアリさんが加わって、まずはこの6人で遊ぶことになった。
魔皇たちは、集まった時にたまに遊んでいるみたいで、メアリさんは
「休憩中などに、他の使用人と遊んでいます」
とのことだった。
それを聞いたクレアが、
「私も、そこに混ざって遊びたいのですわ!」
なんて言っていたけど、
「あくまでも休憩中ですので、できればご遠慮いただきたく思います」
と、メアリさんに止められてしまい、ちょっとしょんぼりとしてしまった。
……確かに、雇い主側が来てしまうと休憩ではなくなってしまうし、仕方がないな。
「……ですが、使用人との交流の一環として、休憩とは別に行うのはよいかもしれませんね」
とメアリさんが提案し、それを来たクレアは途端に嬉しそうな表情になった。
……落としてからあげるとは、流石はメアリさんだな。
◇
というわけで、さっそく始めることにした。
内容としては、双六にTRPGの要素が合わさった感じなのは変わらなかったが、そこに他のプレイヤーと協力する要素が追加されていた。
サイコロを振って進み、止まったマス目の指示に従う、というパートの後に冒険者パートがあるのだが、前回見た時はそれぞれが独自に依頼を受ける形だった。
前回での依頼を受ける方法は、前回は数十枚のカードから五枚引き、その中から受けたい依頼を選び、カードを元に戻してシャッフルして次のプレイヤーへ、という方式だった。
しかし今回は、まず十枚の依頼が描かれたカードを引いて並べる、という形から始まった。
その後、プレイヤーそれぞれに数字の描かれたカードを配り、数字の大きいプレイヤーから並べられた依頼を受けられる、という方式になっていた。
さらに、依頼を受けたプレイヤーは、他のプレイヤーに対して参加者を募集することができ、こちらも数字の大きいプレイヤーに優先権がある、というった形になっていた。
追加で募集できるのは基本的に一人で、たまに人数が増えるものもあった。
プレイ中は、少し達成するのが難しい依頼を、報酬を独り占めするためにあえて募集しない、なんてこともあった。
逆に、依頼を失敗してしまうと違約金が発生する、というルールを利用してわざと依頼を失敗するということをやっていたプレイヤーもいた。
所持金が足りない場合、手に入れた武器や防具を売って補填しないといけないルールとなっており、それを利用してライバルが持つ強力な武具を売却させたりしていた。
最初にクレアがメアリさんに仕掛けられ、
「メイドに裏切られたのですわー!」
なんて叫んでいた。
このメイド、自分の雇い主側だろうが全く遠慮がないな。
一方でモニカの方は、
「ソフィア様、この依頼を一緒に受けませんか?」
「この依頼、ソフィア様だけでは難しいですが、私の装備であれば達成できそうです」
なんて、特にソフィアと協力し合っていた。
◇
そんなこんなで決着がつき、一位となったのが
「あれ? わ、私ですか? ……確かに、最後の所持金が一番多いみたいですね。運がよかったです」
と、モニカが一位になった。
ソフィアとの連携で着実に依頼をこなしたことに加え、サイコロの出目がよかったため、最終的な清算等を行った所持金が一番多くなった。
最下位はクレアで、メアリさんにやられた仕返しをやったり、同じことを他のプレイヤーに仕掛けた結果、最終的に所持金がほとんどなくなってた。
ちなみにメアリさんは、ちゃっかりと三位になっていた。
他の内訳としては、俺が二位、ソフィアが四位、ベイラが五位だった。
俺は元いた世界で色々とRPGをやっていたので、その経験が生きた形だな。
……ちょっとずるいかもと思ったけど、勝負に手は抜きたくなかったからな。
ソフィアの方は、モニカの助けがあったが、この順位だった。
……受ける依頼が食材になりそうな魔物ばっかりだったのは、多分気のせいじゃないはずだだ。
一方でベイラは、
「やっぱり、道具は充実させてこそだな!」
と、高い武具を揃えた次のターン、クレアがベイラに依頼失敗の罠を仕掛け、それが後半まで響いた形だった。
……仕掛けた当の本人は最下位だけどな。
さて、次は残りのメンバーだな。
どんな展開になるのか楽しみだ。
ボードゲームの設定、ある程度ではありますが考えたので、後で章の最後に細かい仕様を載せちゃおうかな? なんて考えています。
(あ、読まなくても本編に支障はありません)




