第62話 時間だよ! 全員集合
さて、ハヤテの転移魔法で移動したのだが、
「あれ? ここってもしかして、王都にある広場か?」
到着したのは、二回ほど来たことのある、王都の転移門前にある広場だった。
てっきり、近くにある広場に転移するものだと思っていたけど、どうせそこから王都に移動するんだし、その方がいいな。
「そうだよ~。どうせ転移するなら、王都まで行った方がいいもんね~」
「あの街から王都までかなりの距離があったと思うのですが……。それに人数も5人ですし、かなりの魔力が必要な気がします。やっぱり、魔皇というのはすごいですね」
モニカは魔皇の魔力量に驚いているみたいだ。
……俺の魔力量は秘密にしておこう。
「ふふ~ん。もっと褒めてくれてもいいんだよ~」
「ハヤテちゃん、すごーい! 一家に一人、ハヤテちゃんがいると便利だね!」
「……それ、なんだか褒められてない気がするよ~。ボクは魔道具じゃないんだからね!」
「あはは、ごめんごめん! ……でもやっぱり、ハヤテちゃんは一人でいいかな? だって、ハヤテちゃんがいっぱいだと、結託してすごいいたずらをしそうもんね!」
……ハヤテがいっぱいか。
にぎやかってレベルをとうに超えた状況になりそうだ。
「まあまあ二人とも。はしゃぐのは会場についてからにしようか」
「あっ、そうだった! 早く会場に行かないと! ハクト、早く受付しに行こう!」
ハヤテは早くユズを驚かせたいと思ったのか、自分の事を棚に上げてこっちを急かし始めたな。
ハヤテに促されつつ受付にエンブレムを見せると、今回は俺の顔を覚えてくれていたようで、普通に丁寧な対応をしてくれた。
……いや、こんな丁寧な対応をされる事自体、普通じゃないはずなんだけどな。
全員で案内された建物に入ると、前回と同じく兵士の人が対応してくれた。
「ねえ、ハヤテちゃん。さっきからハクトに対する対応がすごい丁寧なんだけど、どういうことなの? それに、あの人のってこの国の兵士さんだよね?」
「……流石に気づいちゃったか~。実はね、ハクトってすごい重要人物なんだよ~。それでね、今回行く場所もハクトのおかげで使える場所なんだよ~」
「確かに、異世界から来たっていうのは珍しいけど、リンフォンを持ってるし、ハヤテちゃんともアキナとも知り合いだし……。え、もしかして本当に? ええー!」
……確かに、事実だけを並べると普通の人じゃなさそうだけど、ちゃうんです。
あれ、というか?
「それを言ったら、ユズだって同じ状況じゃない? リンフォンも、ハヤテとアキナも。しかも、俺と違って異世界から来たってわけでもないしな」
「え? あれ? 確かにそうだね。……あれー?」
「あ、あの、兵士の方を待たせていますし、先に転移門を通りませんか?」
あ、そうだった。
兵士の人に謝りつつ、皆で転移門を通った。
◇
門を通った先は、前回と同じ豪華な造りの玄関ホールだった。
「うーん。あれ? でも、私がアキナと出合ったのはハクトが原因だし、リンフォンもアキナと出会わなかったら……」
ユズはまだ、色々考えているみたいだな。
……うーん、そろそろネタバラシするか?
ここまで来たら帰る、とは言わないだろうし、心の準備を整えてもらう必要もあるだろうしな。
なんて俺が考えている間も、ユズはそのまま前に歩いていたみたいで、段々と豪華な扉に近づいていた。
……ぶつかる前に止めないとだな。
なんて思っていたら、
「よく来たのですわ! ってあら? 何か考え込んでいるみたいですが、どうなさったのですわ?」
扉からクレアが顔を出した。
そういえば、前回もこんな感じでクレアが登場した気がする。
「……ふえ? あ、気づいたらもう転移門を通っていたんだ。えっと、私は今日のパーティに参加する……、って、あれ? どこかで見たことがあるような……」
あ、ユズが固まった。
「も、もしかして第二王女様!? なんでここに、じゃない、えっと、その……」
あ、出会いが急すぎて気絶しそうになってる。
……いや、流石に気絶させるつもりはなかったんです。
なんて心の中で釈明していたら、
「失礼します」
と、メアリさんがユズに駆け寄り、何かの魔法を使った。
「……あ、あれ? えっと、メイドさん?」
流石はメイドであるメアリさんだ。
ユズが気絶しそうになっても、すぐに対処しているな。
「いらっしゃいませ、お客様。少々混乱しているようでしたので、魔法を使わせていただきました」
「え、えっと、ありがとうございます? ……ってそうだ! さっき王女様がいた気がしたんだけど……」
「私のことですわ?」
「ほ、本当にいらっしゃった……。あ、あの、少々失礼します」
そう言うと、ユズはハヤテに突撃した。
「ハヤテちゃん! どうして王女様が来るって教えてくれなかったの!? すっごいびっくりしたんだから!」
「だって、教えたら面白く、じゃなかっった。ユズが遠慮して、来なくなりそうだと思ったんだもん~」
「た、確かに、来るのは躊躇したかもしれないけど……。ん? そもそも私を誘ったのはハクトとアキナじゃなかったっけ?」
あ、ばれた。
ユズはこちらに向き直ると、
「ハクトもひどいよー! 美味しい物で釣るなんて! 後でアキナにも文句を言わないと!」
なんて言っていた。
「黙っていたのは悪かった。本当は、そろそろ教えようかと思っていたんだ。それに、ユズに会わせたい人たちが他にも来るから、なるべく参加してほしかったんだ」
「……その人たちも、すごい人だったりしないよね?」
「……残念ながら」
「え? 残念て、どっち? 本当にすごい人が来てるの?」
「ハヤテとすごく仲が良い人たち、かな?」
「ハヤテちゃんの? だったら安心だね!」
あれ?
魔皇の方は、ハヤテの知り合いだから平気ってことかな?
「……ユズ? もしかして、ボクがどういった立場か忘れてない?」
「え? ハヤテちゃんの立場? ……あ! それって、魔皇ってことじゃん! ええー!」
違った。
……まあ、ユズが変にハヤテを意識していないことがわかってよかった、ってことにしておこう。
続けてハヤテが何か言おうとしていたが、
「皆様。パーティまでまだ時間がありますので、しばらくは別室でお寛ぎいただけたらと思います」
と、メアリさんが皆に話しかけた。
また話が長くなりそうだったし、いいタイミングだ。
流石だな。
◇
ということで、前回来た時と同じ部屋に案内された。
一方でクレアは、
「こちらにいますと、誰かが来た時にわからないのですわ。なので、少しの間失礼するのですわ」
と言い、退室していった。
ユズがいるし、気を使ってくれたのかな?
と思ったらすぐに戻って来て、
「他の方も来られみたいなのですわ! それと、会場の準備も整ったのでそちらに案内するのですわ!」
と、とても嬉しそうに言っていた。
……あ、気を使ったんじゃなくて、皆が早く揃わないかうずうずしていた、ってだけだこれ。
部屋にいた皆でパーティ会場に移動すると、ほどなくして全員が揃った。
すると、すぐにクレアが口を開いた。
「皆さん。今日は、魔道具完成を祝うパーティに参加していただいて感謝なのですわ! まずは初めましての方もいると思いますので、自己紹介からするのですわ! それと、私のことはぜひ、クレア、と名前で呼んでいただきたいのですわ!」
ということで、皆でそれぞれ自己紹介をすることにした。
今日集まったメンバーは、まずは俺と一緒に来たソフィア、モニカ、ハヤテ、ユズ。
ハヤテ以外の魔皇がアオイ、ホムラ、メイ。
後はアキナ、イズレ、ベイラ、主催者であるクレアとそのメイドのメアリさん、だな。
それと、多分後でパティオさんも来るだろうな。
こう見ると、かなりすごいメンバーが集まったな。
しかも、俺は全員と知り合いなんだよなぁ。
……ちなみに、全員が全員俺の事は知っているということで、俺の番は飛ばされることになった。
理由はわかるんだけど、なんとなく釈然としない。




