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異世界で 友達たくさん できました  ~気づいた時には 人脈チート~  作者: やとり
第四章 伝承の おもちゃとちゃちゃっと パーティを

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第56話 店長の(わりとどうでもいい)謎

 ということで、ユズの祖父が店主のお店に着いた。

 しかし今日はお店はお休みのようで、”本日はお休み”と書かれた札がかかっていた。


「今日はやってないみたいだな。どうしよっか?」


「それなら大丈夫よ! お休みの日は、奥でおもちゃ製作の作業をしてることが多いみたいなの。それに、お休みでも気軽に訪ねてきて構わない、って言われているわ」


 ということなので、お店の裏側に回った。

 そこには普段の出入りに使っているだろう玄関口があった。


 アキナは扉に近づくと、その横についている丸いガラスのような物に触れた。

 ……ああ、これがこの世界での呼び鈴なのか。


 アキナが呼び鈴を押すと、足音が聞こえた後で扉ががちゃりと開いた。


「はいはーい。って、あれ? ハクト? どうしたの? というか、うちのお店の場所教えたっけ? それよりも隣にいる人はどなた?」


 扉から出て来たユズから、矢継ぎ早に疑問を投げかけられた。


「えっとな。まず、横にいるのはアキナっていって、お店までは彼女に案内してもらったんだ。それで、えっと、――」


 どう話していいか悩んでいると、アキナが横からすっと前に出てきた。

 

「こんにちは! わたしはアキナ。このお店の商品を扱わせてほしいってお願いした人物、って言えばわかるかしら?」


「アキナって名前、どこかで聞き覚えが……。それと、うちの商品を売っているのは今井商会で……。ってもしかして、今井商会代表の娘さん!? ええー!」


 あ、ユズがまた驚いてる。


「そうよ、よろしくね!」


 それを聞いたユズは、こちらに向き直ると


「ハ、ハクト。すごい人を連れてきちゃったけど、どういうこと? ……もしかして、うちのお店が何かやらかしちゃった? ど、どうしよう!」


 なんて、焦りながら聞いてきた。

 ……この前初めて会った時もそうだったけど、ユズはいいリアクションをするな。


「とりあえず落ち着いて。別に何か問題があって来たわけじゃないから。アキナと色々話をしてたらな、もしかして昔ここの店主、つまりはユズの祖父が異世界の人と会ったことがのあるかも、ってなったんだ。それで、話を聞いてみたくなって二人でこのお店に来たってわけ」


 それを聞いたユズは胸をなでおろしたようで、落ち着いた表情になった。


「なーんだ、そういうことかー。それで、えっと、アキナさんは、ハクトがどういう人か知ってるの?」


「アキナでいいわ! もちろん、ハクトが異世界から来たことは知ってるわ。それと、あなたがハヤテの正体を知った時の経緯けいいも、ハクトから聞かせてもらったわ」


「それなら、私もユズって呼んでほしいな! ……それと、アキナにハヤテちゃんとのことを話しちゃったんだね。ちょっと恥ずかしいかも……」


 最初は話さないほうがいいかな、とは思ったんだけど……。


「話すか迷ったんだけど、ハヤテが面白おかしく伝えるより先に話した方がいいかな、って」


「確かに、ハヤテちゃんなら絶対にそうするね……」


 うん。アキナとユズが揃った時にでも、嬉々《きき》として言うと思う。


「あっ、それで、二人の疑問に答えるね。私のおじいちゃんは確かに、異世界から来た人に会ったことがあるみたいだよ。今うちで作っているおもちゃにはね、その人から聞いた話を参考にしているものも、いくつかあるんだ」


「やっぱりそうだったか。俺のいた世界に似ているボードゲームがあったから、もしかしてって思ったけど」


 偶然って可能性もあるけど、元のボードゲームとかなり似ていたからな。

 あ、もちろんこっちの世界風にアレンジされていたし、それに合うように工夫されていたけど。


人生双六すごろくのことだね! おかげさまで、あれはすっごい人気商品になったよ!」


「そうね。わたしが見つけた中で一番ピン、ときた商品だったわ! それに、新作を発売するたびに飛ぶように売れていくわ」


「そうそう! 発売日には毎回おじいちゃんと様子を見に行ってるんだけど、いつもいろんな人が買いに来てくれるの。嬉しくって、買ってくれたお客さんについお礼を言っちゃうんだ。横にいるおじいちゃんも、一緒にお辞儀してるんだー」


 ……お店にいる、よくわからない二人組からお礼を言われて、お客さんも戸惑とまどっていないかな?


「そうするとね、お客さんからは、いつもありがとう、とか、今回も楽しみにしてたよ、って言ってもらえるんだ! だから余計に嬉しくなっちゃうよ。他にも、こんなに若かったんだねー、とか、いつもお世話になっています、みたいなことも言われるかな?」


 毎回お礼を言っているから、関係者と思われているのか。

 

 ……ん?

 なんだか、後半のコメントはちょっと変な気もするような。


 ……あ、もしかして!

 いや、でも、本当にそうなんだろうか?


「なあ、二人とも。もしかしたら、あのお店の店長の謎がわかったかもしれない」


「……あ! もしかして、そういうことなの? ……でも確かに、思い当たる出来事がいくつかあるわね」


「んんん? 店長さんの謎って? ……そういえば、あのお店で店長さんって見たことないかも」


 あ、ユズも店長が誰かわかってないんだな。


「えっとな。多分なんだけど、お客さんが店長だと思っているのは、ユズのおじいさんなんじゃないかな?」


「ええー? そんなことないと思うけどなー」


 ユズは納得していないな。

 ……まあ、俺も確証があるわけじゃないんだけど。


「それとね。別の誰かを、わたしと勘違いしてる人に会うことがあるの。あれ? あなたがアキナさんなんですね、みたいなことをたまに言われるわね。その誰かっていうのは、ユズのことだったのかも」


「うーん、本当に? 二人して私を騙そうとしてない? ……あっ! もしかして、ハヤテちゃんがからんでたりしないかな?」


 ……普段からハヤテに色々いたずらされてるせいか、こちらを疑いの目で見ているっぽい。

 そういえば、俺が異世界から来たって言うのもなかなか信じなかったな。


「毎回お客さんからお礼を言われる、って言っていたけど、何か変だなって思うことはなかったのか? さっき俺が言ったことを踏まえて、ちょっと思い出してみてくれ」


「うーん。そう言うなら、思い出してみるよー」


 そういうと、ユズは腕を組んで考え出した。


「うーん。……うん? ……あ、あれ? ……もしかして? えっ、まさか、本当に? ええー!」


 本日二回目となるユズからのええー!、いただきました!


「本当にそう思われてるかも! ど、どうしよう……。公園で私は今井商会の人じゃないよ、って叫んでくればいいのかな!?」


 待てユズ。

 それは完全に変人だ。


「とりあえず次にお客さんにお礼をいう時は、最初に私たちが製作者です、とか言っておけばいいんじゃんないか?」


「そ、そうかな? ……とりあえずそうしてみるよ」


 これで公園でユズが叫ぶ事態は防げたな。

 まあ流石に、実行する前に冷静になるとは思うけど。


 ……なるよな?


「それに、わたしと会った人は勘違いだってわかってくれてるから、きっと大丈夫よ。……それにしても、ユズって面白い子ね!」


「ああ、それは俺も同感だな。ハヤテがからかいたくなる気持ちもわかるかも」


「えー。二人してひどいよー」


 そう言ったユズは頬を膨らました。


「ごめんごめん! でも、そんなユズと仲良くなりたいって思ったわ。もしよかったら、お互いが連絡できるようにしたいんだけど、どう?」


 と、アキナがリンフォンを取り出した。


 ユズもリンフォンではない通信用の魔道具を取り出し、


「うん、もちろん! うちの商品を見つけてくれたアキナって人はどんな人なんだろう、って思っていたんだけど、すっごく接しやすい人でよかったよ!」


 なんて話していると、ユズの後ろから誰かが近いづいて来た。


「だから言ったじゃろ? アキナ嬢ちゃんはいい人だって。なんせこの店で売っていたおもちゃを、目を輝かせながら見ていたんじゃからな」


「あっ! こんにちは、ガレム。お邪魔してるわね」


「おじいちゃんはよく話を盛るから信用できないんだってばー。……あっ、そうだ。おじいちゃん、この人がハクトって言って異世界から来た人だよ! それでハクト、こっちがわたしのおじいちゃんでガレムって言うの」


 やっぱりユズのおじいちゃんだったか。


「ユズに紹介された通り、俺はハクト。ガレムさん、よろしく」


「娘の友達なんじゃ。さん、なんてつけなくていいぞ。……そうか、お主がユズの言っていた人物か」


「そうなんだよおじいちゃん! 次にハクトに会った時に、色々聞こうと思ってたんだ!」


「店長の些細ささいな謎で話がそれちゃったわね。そろそろ本題の話をしましょうか」


 あ、些細とか言われちゃってる。

 ……まあ実際、今まで問題はなかったからそうなんだろうけど。


「それもいいが、そろそろお昼の時間じゃろう? せっかくだし、三人でどこかに食べにいってはどうじゃ? わしはいつも通り隣にいる娘たちのとこで食べるし、ユズは友達と出かけたと伝えておくわい」


 あ、隣に娘さん夫婦が住んでるのね。

 その近さなら、ユズは小さいころからこのお店に入り浸ってそうだな。


「うーん、アキナとハクトがよければそうしようかなー? 二人とも、どう?」


「そうね。せっかくだしそうしましょ!」


「俺も、もちろん大丈夫だ」


 ということで、三人でどこかに食べに行くことにした。

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