GunS Guilds Online
1.決戦
クラフト技能の真骨頂は「完全物体」を作ることにある。
例えば正六面体。サイコロの形。一辺を2cmとしよう。この時点でつまずく。ぴったり2cmの物差しなど実在しない。1cmの長さはコレという定義はあるだろうが、実際に形にするのは難しい。
だが、クラフト技能ならできる。
そして、その段階に至ったプレイヤーはクラフト技能が想像以上の物体を作れることを感覚で知っている。
キューブに生体パーツを格納。装甲を一部パージ。露出フレームを開口。キューブを射出。キューブが、公転運動を開始。フレーム及び装甲をクローズ……。
……? キューブが変形。擬似惑星になった……?
……いや、構うものか。俺は、もう……。
(ギルド指数、7……? この段階で? クロホシか。……クァレュュじゃない。サラだな)
モグラ女の言葉を、当時の俺は余裕がなくて大半を聞き流した。しかしあとになって思い起こせば、それらは気持ち悪いほど俺の現状を言い当てていた。
独りでに変形したキューブは擬似惑星と酷似していた。
黒い球体に生えた無数の針はビルだ。高層建築物の中を更に小さなマッチ棒たちが忙しなく行き来する。人の営み。
ここではない、どこか。
今ではない、いつか。
ある種族が、生体工学の極致に到達した。
自らの肉体を改造し、あらゆる病と老いを克服した彼らは「新人類」と名乗った。
そして彼らは知っていた。
まだ先がある。
究極の生命。進化の過程で人類が失った数々の機能。英雄の血。それらを呼び起こし、組み込んだなら、人類はどこまでも進んでいける。
それは人の手で神を造る試みだった。
その所業に一部の人間は恐れ慄き、人里離れて暮らすことを選んだ。
彼らは肉体改造を人道に反すると非難し拒んだ為、新人類と区別し「旧人類」と呼ばれることになる。
旧人類と新人類の間で大きな衝突が起きることはなかった。誤解を恐れずに言うなら旧人類は劣等種であり、それゆえに彼らと同じ生き方を選ぶことは極めて困難だった。
親から子へ、子から孫へと世代が進むにつれて、その価値観は「教え」に呼び名を変え、旧人類のコミュニティは「教団」へと形を変えていった。
一方、新人類は「英雄」を生み出した。
英雄とは星の子である。
一つの社会を支える力。数千万、数億、数兆もの人間が生み出す莫大なエネルギーを一点に集め、存分に扱えたなら、それはきっと人間を越えた何かだ。神か……悪魔か。
定時を過ぎ、静まり返ったオフィスで二人のマッチ棒が抱き合っている。
二人は仲睦まじい様子で身を寄せ合っていたが、不意にハッとして振り返る。
オフィスのドアが開き、一人のマッチ棒が廊下に佇んでいた。
その手に抱える書類がバサっと床に落ちる。
星の力。
俺は斧の生えた触手をぴゅんと振るった。
ネフィリア機の周りを高速回転していた装甲片が一つ残らず砕け散る。
俺は言った。
【今、俺がその気ならお前は死んでたぞ】
ネフィリアが強がる。
【……そうやっていつも失敗してないか?】
いいや。物事には順序があるってことさ。
……ネフィリア。お前は変わっちまった。俯瞰の目を持ち、誰よりも冷徹だったのに、今はどうだ。かつてのお前を取り戻すにはどうしたらいいのかな? 俺はこう考えたよ。お前は魔女だ。周囲に不幸を撒き散らす。それを思い出して貰えばいいんだってナ。
二十機を越える粗大ゴミの群れが浮上してくる。
ついさっき叩き落としてやった連中も一緒だ。仲間に肩を借りて懲りずに武器を構える。
我慢しきれなくなったか? 俺の自滅を待ってたんだろ? 戦力を小出しにして……ご苦労なこったな。
【へっ、いい作戦だろ? オメェーはしょっちゅう自滅してるからな】
【今回もそうなる。レ氏の玩具箱はそういうワザだからな】
【……制限時間だな。そうなんだろ?】
どうかな。それはそうと……。
俺は言った。
たった一人の俺を取り囲んで叩くのか? それがお前らの正義なのか? そうじゃないよな? 一対一だ。順番に来いよ。
【寝ぼけたこと言ってんじゃねぇ〜】
【勝ちゃあいーんだよ、勝ちゃー】
残念だよ。
俺は溜息を吐いた。
【お前らはこれから全員死ぬんだ】
俺は全身から血を噴いた。ひび割れたフレームと装甲の隙間から目玉が覗く。全部で100に迫ろうかという数の目。それが俺というキャラクターの「結論」だった。
全身に生えた百目がギョロギョロと忙しなく動き、あらゆる角度からゴミどもの全身を余すことなく見つめる。
妬かれるような視線を浴びたゴミどもが緊張し、震える手で武器を突き出した。口々に言う。
【……決着を付けよう】
【オメェーをあんなポッと出の女には渡さねぇ。渡して堪るかよ】
【崖っぷち! お前は俺の……!】
俺は聞こえなかったフリをした。
分かってはいるのだ。
俺が何を望まれているのか。
コイツらだって分かっている。
俺がコイツらに何を望んでいるのか。
全て分かっている。
通じ合えているという確信がある。
何故なら俺たちは同じ国に生まれ、同じ時代を生き、同じゲームを遊んでいる似たモノ同士だ。
どんなに強がっても自分たちは凡人の域を出ないと知っているから、今どんな気持ちなのか、何をしたいのか、大体の想像が付く。
……結局、どんなに悪ぶっても俺は半端な甘ちゃんのままだった。
ティナンを見捨てることができない。ラムダを見捨てることができない。正体を知っているのに、見た目が子どもというだけで手出しができなくなる。
心のどこかで、それは当たり前のことで、正しいことだと思っているから、いよいよ救えない。
ハッ、漫画の主人公じゃあるまいし……。ガキをブン殴ったら読者からクレームが入るのか? そうじゃねーだろ……。何なんだ、俺は。
良心の呵責に苛まれるってンなら最初からイイ人のフリしとけよな。ダサすぎるぜ。
俺は失笑した。
内心、俺が何を考えたのか。想像が付いたのだろう。ゴミどもが失笑を返す。
【ハッ……!】
【ったく……】
だな。どうしようもない、俺たちは、本当に。
俺は……お前らとずっと一緒が良かったよ。
しかし道は分かたれた。
カウントダウンが始まる。
制限時間は44秒。ブースターの反動で俺は44秒後にロストする。その前にゴミ共々ネフィリアを仕留める。
ネフィリアだけが何も分かっていなかった。
彼女は天才だから。俺たちとは違うから。
思わずといった感じで触手を突き出し、
【待てッ……!】
勝つとか負けるとか、そういう問題ではないのだ。
俺たちは弱い男だから負けることに慣れている。
問題はもっと別のところにある。
ゴミどもが吹っ飛んだ。切り飛ばされた手足がバラバラと宙を舞う。
致命傷は避けたか。よく防いだ。本当に……強くなったな、お前ら……。
俺と同じく、エンフレにガムジェムの力と残機を乗せている。それが意味するのは……。
ロストするぞ。
ボソッとそう呟いて俺は前に出た。爆発的な加速。かつての俺だったら速すぎて身体が追い付かないだのと弱音を吐いていたが、今の俺は違う。
戦闘に特化したエンフレの思考力とギルドの目。この二つがあれば俺は「感覚」などというあいまいなものに頼らずに自分の身体を動かすことができる。
吹っ飛んだゴミどもをネフィリアが追う。
【円陣を組め!】
無理だよ、ネフィリア。そいつらじゃ、俺やお前と見えている世界が違う。あれだけ俺がしつこく言い聞かせてきたのに、未だによく分かっていないヤツが多いからな。だからお前のやりたいことを分かってやれるヤツは俺以外に居ないし、説明の時間を与えるってのも、まぁ面白そーだけどチョットな……。さすがに失礼だろ?
粗大ゴミどもがネフィリアと合流。彼女の機体を中心に円陣を組んでカウンターを狙う。
普通はそう考えるよな。でもそうじゃないぞ。お前らは生贄だ。
ネフィリアはリリララと同じく生贄を使わずに【四ツ落下】を撃てるが、生贄を使えばもっとラクに空域指定ができる。そうでもしないと今の俺には当たらないと踏んだのだろう。
それは、あたかも蜘蛛の巣のようだった。
足を踏み入れば絡め取られる。
だから俺は外側から削り取っていく。
ゴミが空を蹴って跳ぶ。俺の頭上をとる動き。俺は触手を振ってそいつを両断した。大きく距離をとって別のゴミにパウパウと光弾をバラ撒く。レーザー耐性の回避アクションに追い込んで斧で切り裂く。スピードのケタが違う。主導権は渡さない。制限時間にはまだ余裕がある。
ネフィリアが戦法を変えた。触手を振ってゴミどもに指示を飛ばす。……今の俺でも【重撃連打】は怖いな。アレを機体の近くで撃たれると避けようがない。
ゴミどもが俺を追って散開する。四方から迫る動き。ネフィリアは索敵に集中している。いくらヤツでも玩具箱でブーストした俺を目で追うのは厳しいハズだ。洞察力と想像力を総動員して俺の位置を割り出している。
俺の斧とゴミの剣が交錯する。刃越しに戒律が衝突して黒い火花が激しく散る。ゴミのような固有スキルは俺たちの身の丈に合っている。それゆえに無意識に発動することがある。
【俺にも権利はあるよなァッ!】
あるだろーさッ!
すかさず二本目の触手でゴミの胴を両断する。別のゴミの強襲。遅い。カウンターの斧で仕留める。
俺の身体に走るひびがビキビキと広がっていく。チッ……! 制限時間とフル充電で走り切るのはまた別の問題ってか? ヤラしいんだよ、いちいちぃ!
チャンスと見たゴミどもが猛攻を仕掛けてくる。俺はネフィリアの【四ツ落下】を警戒して大きく飛び退いた。一つ、二つ、三つ。追いすがるゴミどもを順番に撃墜していく。
人間署の頭数が半数を切った。これだけ削れば、もう【四ツ落下】は無視できる。
俺はゴミどもを振り切ってネフィリア機へと向かう。怖いのは【重撃連打】だ。一瞬だけ速度をゆるめて、追ってきたゴミを触手で掴んで投げ付ける。
ネフィリアぁ!
昔のお前ならそいつごと俺をヤれた。でも今のお前には無理だ。人間署で過ごした日々は楽しかったろ? 小娘どもが作った制服を着て、署員にチヤホヤされて、街で問題を起こすゴミを取り締まって、ティナンに感謝されて、……さっき先生を「ヤギ先生」と呼んだな。楽しいんだろ、今!
投げ付けられた粗大ゴミをネフィリアが触手で弾いた。急速に迫る俺を迎え撃つとばかりに前に出る。俺の口から歓喜の声が漏れる。
ハーッ!
【異常個体ッ!】
戦いに没頭するあまり、ネフィリアの意識もまたエンフレに引きずられていく。
ネフィリア機の装甲片は再生していた。いや、ギルドの金属片で再現したのかもしれない。エンフレ時のみギルドの力を扱えるプレイヤーは居る。どちらでも良かったし、あるいは同じことなのかもしれなかった。
激しく渦を巻く装甲片が俺の擬似惑星とぶつかる。玩具箱のキューブは頑丈だ。この程度の雑な攻撃では砕けない。
俺は嵐のような斬撃を繰り出す。ネフィリアは触手で抵抗するが躱しきれずに裂傷を負っていく。硬い。球体のフレームが厄介だ。うまく力が乗らない。
俺とネフィリアの機体が勢い余って正面からぶつかる。打点がうまく噛み合わず、互いに弾き飛ぶ。すぐに体勢を立て直して突進する。二度目の衝突。ネフィリアは攻撃魔法を撃たない。何が狙いだ?
俺の渾身の一撃を割って入った粗大ゴミが身体で受ける。邪魔だッ! ゴミに食い込んだ斧を別の斧で押し込む。素早く回り込んだネフィリアの体当たり。ぐッ、このッ……!
……? 仕留めきれない。なんでこんなに手こずる? 俺はネフィリアを決して侮らない……過小評価をするつもりはないが……これだけのスピード差があって……もう作戦どうこうじゃなくないか?
…………。
身体の調子がおかしい。モグラ女のワザで不調なのは分かるが、いくら何でもこれはおかしい。何しろ俺は今、別に調子が悪くない。調子は悪くないのに力が出ない。何だこれは?
……ネフィリアじゃない。
ゴミどもォー! 俺に何をしたッ!
ゴミどもはてへぺろした。
【俺、何かやっちゃいました?】
【思ったより効いた感じスかね?】
【そんなつもりなかったんだけどな〜】
俺はワクワクした。
このゲームをやっていて俺が一番楽しい瞬間は、このゴミどもが俺の想像を超えた時だ。モブどもがハシャぎやがって。最高だぜ。
なんだよ、おい。言いたいことがあンなら言えよ。聞いてやるから。言えッて。
破滅のカウントダウンが刻々と進む。もうそれほど余裕はない。だが、コイツらがどんな悪さを働いたのか知らずに歩き去ることはできない。
今の俺は「聴衆」だった。
ゴミどもがドヤ顔を晒して得意げに口を開く。
【時間がねぇ時間がねぇといちいち騒ぎやがって。構ってちゃんがよ】
【ピークが過ぎただ? オメェーは何かってぇーと戦闘スタイルが完成しただの最終形態だのとブツクサほざいてるじゃねーか】
【あんまりうるせーから俺らで対策してやったよ。感謝しろ】
中二病ムーブを指摘されて俺はカッと赤面した。
た、対策?
(シンイチ。すまんな)
え? ウッディ?
【オメェーがログアウトしてる時にウッディと話し合った。フツーにトレモーに居たからな】
【十三氏族……モグラ女の四ツ落下はオメェーのギルドの部分に作用してるんだろ。つまりウッディだ】
【ネフィリアは気付いてたみてーだがな。俺らはこう考えたんだよ。なら、オメェーを人間側に引き戻すこともできるんじゃねーかってな】
……え?
俺は頭が追いつかなかった。
ネフィリアが吹き出す。
【ハッ、ハハッ! お、お前ら、やるじゃないか! くくっ……! なるほど、確かにコタタマの言う通りだ。私はお前たちを見くびっていたよ……!】
力が出ない。息が切れる。
何なんだ、これは……!? キューブはッ……傷一つ付いていない。時間制限の表記もおかしい。44秒なんてとうに過ぎてないか? こうして見るとイヤに減りが遅い。何だこれは!? 何が起きてる!?
(なるほど。時間制限は私には適用されないようだな)
ウッディ! 何を……! ゴミども……! ウッディと話し合った? そう言ったのか?
(そうだ。シンイチ。お前と私は、もはや二つで一つ。私が邪魔をしてもお前は気付かない。彼らの提案は渡りに舟だった。私はな、お前をこのままみすみす同胞にするつもりはないんだよ。現状にそれなりに満足しているからな)
ふ、ふざけるな!
人間であり続けることに未練などなかったハズなのに、とうに失われていたと思っていた選択肢が実はそうでなかったと知って、俺は自分の気持ちが分からなくなった。人間の本音などというものは、しょせんあいまいなものなのだと思い知った。
一方で、戦闘体のエンフレは戦いに関する判断を冷徹に下していく。
俺とウッディは一心同体。ウッディが俺の意に反して邪魔をできるなら、俺だってウッディを強引に味方に付けることができる。
俺はバッと触手を八方に広げた。先端に実る斧がボロンと朽ちて落ちる。代わりに生えたのは人間の手と酷似した構造体だった。肉を割き、血に濡れた【指】がネフィリアとゴミどもを一斉に指差す。
ネフィリアが触手を天へと突き出す。
【ステラっ! 羽をっ!】
この世界の成り立ちの根源に関わる律理の羽は、特別な所有権を貫くことができる。そのことを危惧したステラは律理の羽を女キャラの共有財産に定めた。
どこからともなく降り落ちた白い金属片が合体してエンフレの全長を上回る巨剣を組み上げていく。
直後、天を裂く稲妻が激しく降り注ぐ。
ネフィリアの【重撃連打】……!
ネフィリアが複数の触手を滑らかに動かし、ゆっくりと律理の羽の柄を握る。
雷を帯びた律理の羽が分離し、さらに長大な剣と化していく……。
ネフィリアを庇うように浮遊していた粗大ゴミが一人、また一人と彼女から離れていく。もう大丈夫と言うように。何かを確信したかのように。
俺は走ってもいないのにずっと息が切れている。
はーっ、はーっ……!
指先が震える。狙いが定まらない。
俺は吠えた。
【そんなっ、クァトロの真似事でッ! 俺を殺すのかッ! お前が! ネフィリア! 俺はお前の弟子だぞ! レベル10の弟子だ! 俺がどれだけ苦労してレベル10になったと思ってるッ! 許されないんだ! そんなことは! お、お前は、お前は……】
あ、あ、あ……!
【指】がボロボロと崩れていく。
チラと視線を振る。制限時間が尽きる。尽きてしまう。その前に何とか……何とか……!
俺はパカッと大きく口を開いた。
剣を構えるネフィリアに叫ぶ。
【お前は俺に殺されるべきなんだーッ!】
意図せずフリーザ様みたいになった。
ぽっかり開いた俺の口から大口径のレーザー砲が放たれる。
これをネフィリアは華麗に側転して回避。滑るように薙いだ律理の羽が俺の胴を両断した。
俺はロストした。
2.クランハウス-居間
……かに思えたが、俺は生きていた。
モグラさんぬいぐるみと一緒に丸太小屋の居間で寛いでいたピンクちゃんがビビビッとレーザー光線を放ってガンツのノリで俺を再生してくれた。
それだけではない。
「ハァッ、ハァッ、ハァッ……」
息を荒げつつ、俺は自分の手のひらに視線を落とした。
ロストし、レベルがリセットされたハズなのに、俺はギルドの目を喪っていなかった。
現状を理解するにつれて、天を衝くような衝動が湧き上がってきて、俺は居間で両拳を突き上げて万歳した。
やった……! ついに……ついに俺はロストを完全に克服した!
(し、シンイチ……)
ウッディの声がひどく遠くに感じた。
居間の床にサッと大きな影が落ちる。
黒いアーチが掛かり、空間を越えて同胞たちが這い出てくる。
ああ、お迎えが来た。そう思った。
ラムダんトコの子たちだ。
拒む理由は何もなかった。
誰も、何も、気になることは何もなかった。
それは例えようもなく素晴らしいことだった。
手を差し伸べると、何故か腕に被さっていた肌色の塊が、ずるりと滑って、べしゃっと床に落ちる。
行こう。
一歩、足を踏み出す。
アナウンスが走る。
【GunS Guilds Online】
【プレイヤーの転送を確認しました】
【警告!】
【ネームドキャラクターと敵対関係にあります】
【ヘイトが個体基準値を上回っています】
【敵対関係を解消してください】
あん?
丸太小屋の玄関のドアがバーンと開いて一人の女が土足でズカズカと踏み込んできた。
おい! 人ん家……。
アナウンスの続報が女を取り巻く。
【13 Named(十三氏族)】
【歩兵】【ノブヲ】【Level-204】
女が身体の前で手を組んで立ち止まった。
【Success】
【敵対関係の解消に成功しました……】
アナウンスが晴れる。
女が、居間に集合したギルドパイセンらを一瞥して、こちらを見る。ニコリともせずに言った。
「今、なり掛けてた? 私の正しさが証明されたようですね。やっぱりベムトロン様は特別な方……」
いや、誰だよ。馴れ馴れしいな。ベムやんの知り合いか?
これは、とあるVRMMOの物語
運命が交差する。
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