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アヴェンジャー・ライフ  作者: 夢落ち ポカ(現在一時凍結中)
第二章 約束の刻来たれり
31/32

第02話 星暦1211年11月11日

 




 アリエッタ達は洞窟から現れた仮面の少女にどう反応していいのか分からずにいた。


「何じゃお主ら、客人ではなかったのか?

 主から、『今日客が来るから出迎えろ』という言葉を受けておったのじゃが?

 客人でないのなら、この山から下りて欲しいのじゃ」


 妙に年寄り染みた口調の少女は、首を傾げながらアリエッタ達を見つめている。


 しかし、アリエッタ達はこの山から下りる訳にはいかない。


 少女が口にした、《毒の群体(クラスタ)》という存在こそ、アリエッタ達がここに来た最たる理由なのだから。


「…失礼いたしましたわ。

 わたくしは本日面会の約束をしているモスコ帝国第三皇女、アリエッタ・グルシア・ヴル・モスコと申します。

 かわいらしいお嬢さん、お名前を聞いても構いませんか?」


 出迎えに対してアリエッタは自分が座ったままだった事に気付きすぐに立つと、少女にまるで貴族に対応しているかのような、丁寧な挨拶を返した。


 先程までいた魔獣の恐怖を押さえ込んでのこの対応は、見事としかいえないほどである。


 少女はアリエッタがまさかここまで丁寧な対応をするとは思っていなかったのだろう、仮面越しだが、驚いているような様子が見受けられた。


「…わしはアニマという、見知りおきを願おう」


 アニマと名乗った少女はやや口角を上げながらゆっくりと頭を下げた。


 帝国の皇女であるアリエッタに対してあまり礼儀がなっていないが、アリエッタはあえて気にしない事にした。


 ここは宮中や公な場ではない、完全に非公式の会合なのだ。


 無駄に格式ばった帝国式の礼儀作法など、猟兵団からすれば欠片ほどの価値もないという事を理解していたからだ。


 とはいえ、アリエッタがここまで丁寧に対応したのは、少しでも相手の印象を良くしたいという気持ちと、簡略された礼儀というものを知らないからだが。


「…それでは、奥へと案内しよう。

 先程の魔獣(・・)は絶対に現れんから、心配せんでもよいぞ?」


 アニマは洞窟へとアリエッタ達を案内しようとしたが、二、三歩ほど歩いた所ですぐに立ち止まってしまった。


「……ふむ、騎士殿よ、それ(・・)は一体何のつもりかのう?

 剣先と殺気がわしの方向へと向かっておるのじゃが?」


 反転したアニマは若干険のある声で剣を突きつけたランスロットを睨んだ。


「…アニマとやら、姫様に対してそのような仮面越しの対応は無礼であろう。

 きちんと仮面を外し、それで面と向かい合って挨拶して欲しいのだが?」


 ランスロットも見つめ返して、至極当然の言葉を口にした。


 この場の誰もが、アニマのしているウサギの仮面の事について言及しなかったのだが、ランスロットとその隣にいるヒカルは違った。


 ヒカルがランスロットに『あの少女()の鑑定できない』と伝えてきたのである。


 ヒカルのいう所の『鑑定』とは、ヒカルの持っている力の一つで、彼には対象の情報(・・)を見抜く力があるのだ。


 情報の事をヒカルは『ステータス』と呼び、石や木、生物も無論見抜く事や、果ては対象の戦闘能力すらも解析して見せる。


 基準に関してはヒカルが独自に定めているが、それでもその力については絶対の信頼があった。


 見抜く条件としては、相手と目が合えば心の中で『鑑定』と唱えればすぐに分かるとヒカルは申告しており、これまで何度か助けられた実績も合ったのだ。


 今日まで(・・・・)は、という注釈がつくが。


 先程出遭ってしまった魔獣について、ヒカルは『相手が強すぎて把握出来なかった』と理由を述べられては、ランスロットも納得してしまうしかない。


 あんな魔獣の力を正確に理解させられて戦力差に絶望してしまうなどたまったものではないからだ。


 そして、その魔獣を飼いならしているこの集団の、出迎えに来たアニマもまた只者でない事はランスロットも理解していた。


 飄々としていて一寸の隙も見せないアニマがその体躯に見合わぬ達人級の実力者だと気付き、すぐに警戒したのである。


 しかし、敵対して勝てるかまではランスロットには分からず、礼儀や一般常識を理由にアニマの仮面をとり、ヒカルにアニマの戦闘能力を見極めさせようとしたのである。


「……ふむ、悪いが断る」


 だが、ランスロットの要求に対して、アニマは少し考えたが断ってしまった。


「…姫様に対して、無礼だとは思わないのか?

 見るからに怪我をしているから仮面をつけているというのではないだろう。

 そのような洒落た仮面、趣味でつけているとしか思えないな。

 いくら非公式の場といえど、仮面越しで相対するなど常識を疑うな」

「ランスロット、わたくしは構いません」

「しかし…」


 アリエッタはランスロットの要求の意図に気付いてすぐに止めたのだが、少しでも相手の情報を引き出そうとしているのか、一向に引く気が無かった。


 ヒカルも同様で、ステータスで読み切れない相手をするのに先程の魔獣との相対で恐怖がいまだに残っているのか、ランスロットと共闘する気持ちでいた。


「騎士殿、確かにこの仮面は趣味の物であるが、一種の予防なのじゃよ。

 そこにいるコゾウ(・・・)の『鑑定』対策のな」

「ど、どこでそれを!!」

「なっ、なんでっ!?」


 アニマは仮面に華奢な手を当ててにやっと笑って見せると、ランスロット達の思惑を簡単にひっくり返してしまった。


 ヒカルの力については情報を完全に閉ざしていて、あくまで『第三皇女がヒカルを召喚した』という噂が流れている程度に操作していたのにも拘らず、少女はその情報を完全に知りえていて、かつその対策まで講じていたのである。


「これでもわしらは超一流の猟兵団なのでのう。

 雇用主になるかもしれん相手の身辺調査など、お手の物じゃて。

 仮面については完全に推測じゃが、それが当たってよかったわい」

「そ、そんな事まで知ってるなんて…」


 ヒカルが唖然とする中、ランスロットの表情が苦々しいものと変わった。


 ここ数ヶ月、ヒカルの事は気に食わなかったが、これでまた新たに気に食わない理由が見つかってしまったのだから。


「やはり、その能力には欠点があったようじゃな。

 見ただけ(・・・・)ではなく、実際に目が合わんと確かな効力を得られないと見た。

 条件は多ければ多いほど効力が高くなるのならば、逆に情報を少しでも遮断してしまえば見極めるなど困難というものじゃろう。

 ……というのが、わしの主の見解でのう。

 まぁ、その事に気付いておるのはわしら以外誰もおらんから、心配せんでもよいじゃろうて」


 アリエッタは悟った、すでに交渉は始まっていることに。


 アニマは遠回しにこういったのだ。


『この交渉で契約が成らなかった時、この情報が他の陣営に売られる』という事に。


 しかし反転して、彼らと契約が成ればこの情報が他の陣営に洩れるような事は無くなるだろうという事に。


「さて、そういう訳じゃからこの仮面は外すことは出来ぬな。

 契約が成った後も外すかは交渉次第といえよう、精々善戦する事じゃな」


 慰めにもならない言葉をかけられて、高い買い物になりそうだと、アリエッタは内心で溜息をつくしかなかった。


 アニマの案内する洞窟内部は正しい道を選ばなければ恐ろしい罠が用意されているようで、アリエッタ達はアニマから離れないようにしていた。


「なあアニマちゃん、年いくつ?

 好きな食べ物とかある?

 猟兵団なんて危ないところ辞めて俺達と一緒に来ない?」


 ヒカルはアニマに質問したり誘ってみたりと会話しようとしているのだが、アニマは一向に口を開こうとしない。


 どうやら彼なりにアニマを懐柔しようとしているのだが、出会ったばかりの相手に心を開くというのはまず無いだろうとアリエッタは冷めた考えに至った。


 正直に言えば、アリエッタはヒカルという存在には価値を認めるが、個人としての価値を見るならば一緒にいたくないという類の人物だった。


 確かに戦闘能力も高く、元いた世界では優秀な部類だったのか頭も良いし、極め付けに顔立ちも整っていた。


 彼ほど『英雄』として相応しい人間はいないだろう、と思える程度にはだが。


 しかし、アリエッタはヒカルを信頼はしているが、信用ならないのだ。


 確かに正義感のある好青年だと思うし、少し女好きの気はあるものの下品という訳でもない。


 だが、アリエッタは彼を信用できる日が来るのかと、ふと思ってしまったのだ。


 そして一度思ってしまうと、ヒカルの一挙一動が気になり始めたのだ。


 ヒカルは確かに正義感溢れる好青年で、誰にでも優しかった。


 だが、他人の言葉を鵜呑みにしすぎて問題を起こすという事が何度かあった。


 それに気付いた時、アリエッタは方針を変えた。


 人を疑うという言葉を知らないようで、アリエッタはヒカルに対する態度を変えた。


 幸いにして、ヒカルはアリエッタの事を疑っている様子が無い。


 皇女である以前に『女の子』のような扱いをしてくるヒカルは、まさかアリエッタがここまで自分の事を信用していないとは欠片ほど考えていないだろう。


 ヒカルの鑑定能力も、対象の心理状況までは解析出来ていない事にアリエッタは天に感謝した。


 閑話休題(それはさておき)


 次第に洞窟の中は辛うじて舗装している程度だったが奥へと向かうほど整備されていて、最終的には地下通路を歩いているような感覚になったアリエッタは、これから向かう交渉相手、《毒の群体(クラスタ)》の団長との交渉に意欲を湧かせていた。


 そして、アニマがようやく立ち止まった、どうやら終点のようである。


 頑強で重厚な金属で出来た扉が壁に埋まっていて、内にあるナニ(・・)かが威圧しているようにも感じられた。


「…ここの先に主がおる、わし同様、仮面をつけておるから、先程の様なヘマ(・・)をせぬよう、忠告はしておこう」


 まるでアニマがアリエッタに期待しているかのような口調に、アリエッタはアニマが今回の契約に乗り気なのだと思った。


 だから最初自分達の手の内を晒してアリエッタ達の失点を本番(・・)にそのような事が無いようにしたのでは、そう推測したのである。


(うまく交渉すれば、わたくし達を取り巻く環境は一気に変わる。

 彼らの力を使い、私はこの国の皇帝になって、国を正しく導いて見せます!!)


 しかし、アリエッタはまさか自らの心の内を覗かれている(・・・・・・)等、ついに気付く事は無かったのである。



 ■ ▲ ■ ▲ ■ ▲ ■ ▲ ■ ▲ ■ ▲ ■ ▲ ■ ▲ ■



 アニマがアリエッタとランスロット、そしてヒカルの3人だけを連れて扉から入ってきた。


 エヴァンから見て、第三皇女(アリエッタ)という少女の印象は『小賢しい』というものだった。


 とかく人間という存在は周りの環境によって左右される者が多い。


 倫理観や価値観などもその国々によって違うだろう。


 帝国の貴族社会という弱肉強食の中で生きるには、確かにその『小賢しさ』は必要なものだ。


 エヴァンとしても、歯応えの無い相手より少しはマシ(・・)なのだから、否定する気は無い。


(精々小賢しく無様に走り回れば回ればいいさ。

 最終的に、僕がお前達に復讐するのは変わらないんだから)


 エヴァンがヨシュアに提出した計画書を進めていけば、否が応にもエヴァンの復讐計画は完成するのだから。


 実行犯を殺し、助けてくれなかった相手も殺し、そして最も罪深い一族を最後に残したのだ。


「ようこそお姫様。

 オレ(・・)がこの《毒の群体(クラスタ)》の団長をしているエヴァンだ。

 今回は交渉の席についてくれて感謝する。

 立ち話もなんだから、テーブルについてくれや」


 今回エヴァンの身分偽装(アンダーカバー)は猟兵団の団長である。


 《毒の群体(クラスタ)》、組織の数ある顔の一つである大陸でもトップクラスの戦闘能力を有する猟兵団だ。


 主に大陸中央から東部にかけて活動をしていて、《毒の群体(クラスタ)》を雇えばどれだけ不利な戦況でも覆すことが出来るという出鱈目な存在とされていた。


 しかしてその実態は、エヴァンが組織からの許可を受け、自らの研究、そして【大統一博士(グランドプロフェッサー)】ノイマンからの【注文(オーダー)】を遂行する為の実験部隊であったのだ。


 戦場で兵器の実用試験を行い、捕虜を使って薬物の投与実験を行い、その上資金も増やしていたのである。


 戦場を作り出してはいないものの、最大限利用しようとするその常軌を逸した所業はそれに比例した成果を齎し続けていた。


 エヴァンの師であるルッケンス・クーガーがその前身である部隊を率いていたが、エヴァンの要望に応え、5年前に新たにエヴァンがこの部隊を率いていたのだ。


 そして粗暴にして狡猾、残虐にして悪辣な人物像が今回のエヴァンの役柄(ロール)であった。


 とはいえ、そんな人物像を作り上げたものの、エヴァンの体躯の小柄さで第一印象は間違いなく見縊られる、そう思っていたのだ。


 何故かソファーに座っているガキ(・・)が大陸でもトップクラスの猟兵団の長などと、普通は思う訳が無い。


 しかし、エヴァンがアリエッタに歓迎の言葉をかけたのに対して、アリエッタの表情は固まっていた。


(…うん?

 よくわからないんだけど、むしろ警戒されてる?

 いや、部屋の四隅とか隣に部下を置いてるから、そっちの方を警戒してるんだよね?

 そうじゃないとしたら…アニマが余計な入れ知恵をしたとか?)


 そう思って歩いてくるアニマを睨んでみると、案の定何かしたのだろう、ぺろりと舌を出して楽しそうに口元を歪ませていた。


「…アニマ、余計な事言うな」

「悪いのう主よ、つい」

「悪気が無い所がまたタチが悪い、性悪め」

(あんのバカ、またよからぬ事を吹き込んだの?

 もう、面倒増やさないでよ)


 悪態をつくエヴァンに、アニマは悪気無く軽口を返してエヴァンを悩ませた。


 とはいえ、どうしてアニマがこんな地味な嫌がらせをしてきたのかはエヴァンにも心当たりがあった。


 ここ数ヶ月、エヴァンはアニマをこの帝国に先行させてロクに相手をしてこなかったのである。


 主従関係なのにも関わらず、エヴァンの都合でアニマを先行させて自分は悠々自適に研究をしていたのである。


 お互いの関係は良好であると思っている両人(?)ではあるが、エヴァンが強いて言うならばこの自己中心振りをどうにかしてほしいと言うのが切実な願いであった。


 それでも自分のやり方を通すエヴァンに苛立っていたのだろう、この嫌がらせはある意味意趣返しでもあったのだ。


「……失礼しますわ」

「……失礼する」

「…くそ、こいつらもステータスがわかんねえ」


 アリエッタとランスロットは緊張した面持ちでソファーまで向かうと、アリエッタだけがソファーに座り、ランスロットは背後で立ち止まった。


 そしてヒカルは挨拶一つもせずエヴァンのステータスが読めない事に苛立ちながら、ソファー(・・・・)に座った。


 アニマの制止もまるで効いていないようで、もはやヒカルの力は初対面の人間と会う度に使われて癖となっていたようである。


 エヴァンはヒカルを一瞥すると、アリエッタと向き合った。


 あくまで交渉相手はアリエッタであって木偶の坊(ヒカル)では無いのだから。


「この度は交渉に応じて頂き誠にありがとうございました。

 わたくしはこのモスコ帝国第三皇女アリエッタ・グルシア・ヴル・モスコ。

 隣にいるのは【星杯の騎士】ヒカル、後ろにいるのは護衛のランスロットです」

「よろしくお願いする」

「よろしくお願いします!!」


 紹介されたランスロットとヒカルが挨拶するが、エヴァンは生返事をしてアリエッタ達の視線が部下にいったので説明し始めた。


「…ああ、オレの部下か?

 こいつはゼゾッラという、猟兵団の副団長兼、オレがいない時の全権代理兼、補佐官だ。

 四隅にいるのはルーベン、テイラー、アンワー、フォーマだ。

 全員部隊長クラスで、今はオレの護衛だな。

 お前ら、挨拶しろ」


 エヴァンの隣にいたゼゾッラと呼ばれた女性、正確には背中に大鎌(デスサイズ)を背負った黒塗りの仮面をした人物が規律正しく挨拶する。


「お初にお目にかかります皇女殿下、自分はゼゾッラ。

 部下や団長(ボス)からはゼラと呼ばれております、どうかお見知りおきを」


 これが皇族に対する下々の挨拶なのだとアリエッタは思ったが、エヴァンに対してそれを強要する気は無かった。


 そもそも雰囲気からして不気味(・・・)なエヴァンに対して何かをする等という気は失せていたのだから。


 ルーベン達4人もそれぞれ挨拶してまた四隅に戻って行き、エヴァンの護衛を続けた。


 アリエッタは、この交渉が決裂した場合、この5人が一斉に襲い掛かって来るのだと思うと戦慄した。


(武芸者に毛の生えた程度のわたくしでもわかる。

 この人達は次元が違う、1人1人の戦闘能力がランスロットに匹敵、いえ、2人は間違い無くランスロットよりも強い。

 ヒカルでは間違いなく殺されてしまうでしょう。

 この交渉が決裂すれば、わたくしの命が……なんとしても成功させなくては!!)


 そう意気込むアリエッタだったが、手札(カード)に関してはまず間違い無くエヴァン達に見抜かれているのにも気付いていた。


 つまり、手札をどの順で繰り出すかによって交渉を上手く運ばせるかが重要になってくるのである。


「そいじゃあ自己紹介も終わったことだし交渉するとしようか、お姫様。

 まずはそちらさんの要求を聞こう、好きに話しな」


 先手を譲る―――アニマの事は気付いていない様に見える―――エヴァンに、アリエッタは意を決して口を開いた。


「では…エヴァンさん、貴方の目的は何ですか?

 こちらでも出来る限り調べてみたのですが…この数年で貴方の猟兵団はかなりのゴルドを稼いでいるはずです。

 必要経費や装備を一新するにしても有り余るほどの額です。

 わたくしは、貴方がこの内戦に関わろうとしているのは、あくまでゴルド稼ぎの為だと思っていましたが…」

「…良い質問だぜそれは。

 オレの出身は帝国に滅ぼされた村の1つでな、オレはそこの唯一の生き残りな訳よ。

 内戦にかこつけて俺の国を滅ぼした連中をブチ殺せればそれで満足というのが狙いだ。

 ……さてお姫様、次にオレの番だぜ。

 オレ達の依頼料が一ヶ月幾らか、知ってるか?」

(まあ僕個人の詳細データは調べられていないみたいだけど、さすがにここ最近は猟兵団は派手に動き過ぎたからね、そりゃ簡単に調べられるか。

 しっかし、このヒカルとかいうのはホンとダメだな、さっきから『鑑定』とか言うの使いまくってくるし、魔力がダダ漏れ…使ってるのが丸わかりだよ。

 敵対する気で僕の情報を調べようとしてるのか、それなら殺す理由になるから別にいいんだけどね。

 不快感しかないんだけど、どこで注意しようかな?)


 エヴァンはヒカルという美青年に対してまるで珍獣を見るような目で見ていたが、当の本人は鑑定に集中していてまるで気付いていない。


 ゼラが明らかに剣呑な様子で片手がデスサイズにかかっているのにも気付いていなかった。


 冷静沈着なようでいて激情家の面が強いゼラはエヴァンに対しての無礼を決して許さず、ヒカルは間違い無くゼラの『抹殺リスト』に記載された事は間違いないだろう。


「ゼラ、落ち着け」

「……失礼しました」


 エヴァンがそういうと、憑き物が落ちたかのような落ち着きを取り戻したゼラはデスサイズから手を放した。


 ランスロットは気付いていたが何も言わなかったのだろう、エヴァンはランスロットとヒカルの関係がうまくいっていないのだと気付くと、どう利用しようかと考えていた。


「…確か、5000万ゴルドだったかと。

 そして、支払わなかった場合その身を以って償わせると聞いています。

 以前他国の貴族が支払わなかった際、領邦軍を文字通り殲滅して金銭になるものをすべて回収して去ったという話も、聞いたことがあります」

「そうそう、一ヶ月最低の額が5000万ゴルド前後だ。

 オレ達の商売は武力だ。

 きっちり金に見合った成果出してるのに、金を渋るなんてありえねえ。

 あと、支払わなかった領邦軍を殲滅したって言うのはホントの話だ。

 貴族だろうが商人だろうが、オレ達の事を舐め腐ったやつは例外なくブチ殺す。

 ああ、分割払いについては利子がつくから、そこらへん気をつけとけよお姫様」


 凄惨な笑みを浮かべるエヴァンに、アリエッタは自らの陣営の経済状況を無視してでも一括で支払うことに決めた。


 もし分割で払うとしても、利子が一体幾らに膨れ上がるのか、想像したくも無かったからである。


 それに、今回エヴァンがこの内戦に関わるのは『復讐』だと知ったアリエッタは、交渉次第ではその下手人を差し出す事で利用料を減らそうと考えたのである。


 足りなければ現地調達かつ、敵陣営の貴族から搾り取れば済むと思ったからである。


「では、次はわたくしですね。

 ……どうして、わたくしに白羽の矢を立てたのですか?

 わたくしの継承権は一番低いのですよ。

 貴方ほどの猟兵団なら、第一皇子であるシュライバンお兄様につけば金払いもいいし、目的の復讐相手を探すにもすぐに出来たはずです」


 アリエッタは大凡(おおよそ)推測は立っているだろう質問をした。


 間違いなく現在の自分の価値が解っているだろうアリエッタは自ら斬られにきたのだ。


 エヴァンとしては順調通りといわんばかりに口元を歪ませると、期待通りの答えを返した。


「それも、良い質問だな。

 まぁ、お姫様も解っているみたいなんで率直に言わせてもらおう。

 まず1つはそこの鬱陶しい【星杯の騎士(クソガキ)】だ。

 …ていうかだな、『鑑定』をバカみてえにしてきやがって、殺し合い望むんなら少し待っとけ、そのオキレイナ面をまったいら(・・・・・)にしてやるからよ」

「なっ、なんでそんなことっ!!」


 エヴァンは敵対行動(・・・・)をとっているヒカルに目を向けた。


 この情報を知った時、エヴァンはヒカルという人物を徹底的に調査させた。


 いわく、元はただの『コーコーセイ』という学生の身分にいたこと。


 戦場どころか、殺し合いなど生まれてこの方した事が無い、争い事といってもケンカ程度だったという事。


 そして内面的な報告となると、どうやらこの世界に来て随分と羽目(・・)を外しているという事だ。


 何の力も持っていなかった一般人が突然超然的な力を手に入れてそれを使って楽しんでいる。


 情報を統合した結果、ヒカルのいう所の『ステータス』は間違い無く脅威だ。


 戦闘能力や未確認の存在を解析するなど常軌(・・)を逸した力であり、【異能】としかエヴァンには思えなかった。


 しかし、その力に浮かれているだけの存在(ヒカル)に対しては、何の脅威も感じていないエヴァンだったが。


 強大な力を持とうと、それを振るうのが戦いの素人ならばいくらでも制する方法をエヴァンは知っているからだ。


「バカかお前、そんだけ魔力垂れ流しておいてオレの方向に魔力向けてたら、『ステータス』とかいう情報読もうとしている気満々じゃねえか。

 なんだ、そんなことしねえと格下と格上の違いもかも判らねえのか?

 話にならねえぜ。

 ―――話を戻すぜ、初代皇帝が召喚したとされる【星杯の騎士】をお姫様が召喚したという事実だ。

 これはお姫様が初代皇帝の血を間違いなく継いでいるという証拠でクソガキがいる事こそ、この血の内乱を治め皇帝の資格があるということだ」


 エヴァンはヒカルを扱き下ろすと、用意していた答えを返した。


 エヴァンの言った通り、次代の王を決める際に有無を言わせない理由が必要となる。


 それは優秀であること、美麗であること、魔力が高いこと、政治能力が高いこと、そして何より、『初代皇帝』という存在にどれだけ近いということだ。


 アリエッタはこの条件に殆ど一致していた。


 政治能力に関してはまだ未知数だが、それに関しては突き抜けた個よりも、平均以上の臣下―――個を取り揃えれば良い話で、すぐに必要という訳ではない。


 アリエッタは帝国学術院を次席で卒業した経歴もあり優秀さを証明した。


 魔力についても召喚魔法という高等魔法を操り、果ては【星杯の騎士】さえも召喚したことで証明された。


 容姿端麗なのも血の繋がりの証明の1つであり、国の顔としての存在を引き立てる為には重要な要素(ファクター)である。


 まずこれだけでアリエッタがどれだけ次代の皇帝に相応しいかを、エヴァンは説明した。


「けれど、それだけではないですわね?」


 アリエッタが頷いてみせ、エヴァンは再び説明を再開した。


「ああ、これだけお姫様が皇帝の座にもっとも相応しいのにも拘らず、我が物顔で帝都を占領している第一皇子と第二皇女や、独自に皇帝を名乗ろうとしている第二皇子、そしてかなりの戦力を整えつつある第一皇女。

 正直言ってお姫様以外が皇帝になれば、この帝国は間違い無く腐り落ちるな、それはもうすごい速度でな。

 でだ、お姫様はというと綺麗過ぎず汚れ過ぎずといった絶妙なバランス感覚の持ち主だ。

 お姫様の目的でもある『誰もが苦しまなくても良い世界』を作るのなら、協力するのもやぶさかじゃねえって訳よ。

 オレは確かにこの帝国を恨んじゃいるが、それは帝国の人間全てじゃねえ。

 オレのいた村を滅ぼした原因と実行犯をブチ殺せれば満足なんだ、あとは知った事じゃねえ。

 また後で話すだろうが、お姫様以外の継承者及び現皇帝の身柄を要求するつもりだから、そのつもりでな」


 既に滅ぼされたと前述していただけあって、この帝国出身でもないのにもっともらしい言葉で返したエヴァンは思わず自嘲してしまった。


(皆殺しにする順番が変わるだけだし、今は楽しく終幕までの行程を楽しまないとね)


 さらっと重大な話を投げ込んできたエヴァンにアリエッタの口元が一瞬震えたが、すぐに引き締めた。


 これはエヴァンが交渉の譲歩を自ら薦めてきたのだと気付いたからだ。


 この内戦において、アリエッタの陣営は支持者がもっとも少ないのだ。


 それは最もこの内戦において弱点といえるものである。


 支持者が少ないということは、戦力が少ない、資金が少ない、各地に及ぼす影響力が少ないという事なのだ。


 対してアリエッタ以外の皇位継承者達はといえば殆どの実家が公爵家、また侯爵という大貴族で戦力も資金力も影響力も圧倒的に有利な状況だった。


 盟主であるアリエッタの祖父である伯爵家は歴史こそあれ公爵家や侯爵家ほどの戦力や資金力も遠く及ばず、劣勢に立たされていたのだ。


 だからこそ、エヴァンの言葉にアリエッタは乗る事にした。


 問題は幾らまで引けるかである。


 あまりに差し引いてしまえば、エヴァンは間違い無く交渉を打ち切りアリエッタ達に襲いかかってくるだろう。


 その辺りのすり合わせは、アリエッタの交渉次第ということだ。


「…まだ、何かありそうですわね?

 もっとはっきり言ってもいいのですよ、『いつ裏切られても逃げ切れる、あるいは報復も可能だから』と」


 もちろんアリエッタはエヴァン達を裏切る気など毛頭無い。


 だが、内戦が有利になればなるほど、エヴァン達の今後の扱いというのは難しくなってくる。


 エヴァン達猟兵団の経歴からして、契約を反故にすればどうなるのかを身を以って知るなどという愚行は、絶対に避けなければならない。


 アリエッタは潔白を証明しなければならないのだ。


「まぁ、そういうことだな。

 たとえお姫様の陣営全てに追いかけられ、証拠隠滅でオレ達に襲いかかろうとも逃げ切れるし、その気になれば撃滅することも可能だろう。

 お姫様は裏切らねえだろうが…調子に乗ったバカはどこにでもいる。

 その辺りはお姫様が先に対処しておいてくれよ、オレ達じゃ間違いなくやりすぎるからな」


 獰猛な笑みを浮かべるエヴァンに、アリエッタは力なく頷いた。


「……善処しますわ」


 そしてアリエッタはようやく交渉の山が1つが片付いたと安堵した。


 しかし、まだ交渉はまだ残っている。


「では、わたくし達は合格(・・)したという事、契約していただけると思っても良いのですわね?」

「おう、いいぜ。

 正直後ろにいる騎士がいつ剣を抜くのかとか、クソガキの鑑定が鬱陶しかったとかで無かった事にしてもよかったが、まぁギリギリ及第点だな。

 お姫様も部下に対してはもっとはっきり言わなきゃ差し障るぜ?」


 ランスロットがエヴァンの態度があまりにも無礼なのに対し剣を抜こうと葛藤していたり、ヒカルの鑑定で不快な思いをさせられた事が暗に減点だというどこか忠告めいた言葉を残したエヴァンに、アリエッタはただただ自分とエヴァンの器の違いを感じさせられてしまった。


 そして交渉は具体的な話へと移っていく。


「雇う期間はどれくらいになるんだ?

 年単位になるんなら割引するぜ?」


 これも譲歩の内なのだろうとアリエッタは思うと、慎重に計算をしながら返した。


「それほどすぐに終わるとも思えませんので、まずは1年でいいでしょう」

「了解だ。

 そいじゃあ…1ヶ月の報酬は幾らにする?

 さっきも言ったが、オレは実行犯と他の継承者、あと現皇帝の身柄を絶対に貰えるなら今以上に値引きするぜ?」


 アリエッタとしては、減額出来るのならば幾らでも引いて貰っても構わない、むしろエヴァンの口から言質を貰いたいほどに値引きされた値段を聞きたかったのだ。


 とはいえ、そこまでエヴァンは甘くなく、アリエッタがどんな値段で提案してくるのかニヤついた笑みを浮かべている。


「…3500万ゴルドでいかがですか?

 もちろん、貴族の捕虜から身代金を奪うのとは別になります」


 自分の懐から出す訳でもない為、アリエッタは割り切って答える事にした。


 エヴァンはアリエッタの言葉を聞いてよほど面白いのか、肩を少し揺らしながら笑っていた。


「いい買い物したなお姫様。

 次だな、軍事についてだ。

 オレ達は誰かに指揮される立場になるか?」


 軍事を司るのはアリエッタの背後にいるランスロットとなる事は確定している。


 しかし、ランスロットにそこまでの負担をかけるわけにもいかず、なおかつアリエッタに協力している貴族たちの思わぬ横槍からエヴァンを守る為、アリエッタが指揮すると声を上げたのだ。


「名目上のトップはわたくしになるでしょう。

 つまりはそういうことですわ」


 命令は『行け』以外する気が無いという事である、軍事については最低限の知識しか持っていないアリエッタにとって、エヴァンたちを完璧に指揮するなどあり得ない。


 だからこそ、完全に放任扱いとしたのだ。


「そいつはいいな、最高だ。

 略奪行為は?」


 戦場において略奪は至る所である、どんなに厳命したとしても、末端に向かえばそれだけ影でする者は現れるだろう。


 エヴァンたち《毒の群体》は一部の猟兵団、傭兵団と違って略奪行為をしたことは無いが、一般的な質問としてこの問いは投げておくことにした。


 アリエッタがどれほど潔癖かを見る試金石でもある為、エヴァンはじっとその瞳を見つめた。


「全面的に却下で、あと残虐な行為もなるべく控えてください。

 露呈すると皇帝になったあと隙になりますので」

「略奪は基本オレの猟兵団じゃ認めてねえから問題ねえな。

 残虐な行為ねぇ…虐殺には注意しとくわ」


 アリエッタの反応を確かめると、用意していた答えを思わせぶりにエヴァンは返すのだった。


 当然だがアリエッタの表情は少しばかり曇り、エヴァンにはなおの事愉快なのか肩が揺れていた。


「……他に、何か要求がありますか?」


 念には念を押したいのか、アリエッタはエヴァンにされたくない事がないか尋ねてみた。


「そうだな、オレ達の事を詮索しないっていうのも追加にしておいてくれ。

 なにしろオレ達は世界の人気者でな、特殊な工房から武器の運用試験を請け負っていたりしている。

 武装に関しては深い追求をしないというのも契約に盛り込んでほしい」


 エヴァンは視線をソファーの横にある巨大な剣に向けると、ニヤリと笑った。


 見た事もない金属をゴテゴテに取り付け、辛うじて柄を付けたようなデザインセンスの欠片も無い、ただ組み合わせただけの大剣を一目見て『剣』とは判断出来ないだろう。


 体格に見合わない武器にアリエッタはいぶかしんだが、言及はしない。


「……具体的には、その巨大な剣のようなものもその1つという事で?」

「ナニいってやがる、まごう事なき剣だろこれ?」


 当然だと言わんばかりの表情をしたエヴァンに、アリエッタは首を縦に振った。


 あまりにも素直に答えた彼の言葉が嘘でないと言うことが分かったからである。


「……わかりました、必要最低限の情報を公開していただければそれ以上の追求はいたしません。

 これでいいですか?」

「充分だ。

 …これくらいか?」


 他に何か残っていたかとエヴァンは確かめるが素振りをしてアリエッタの反応を待つことにした。


 もうエヴァンに残っている事といえば、雑談くらいしかなかったからだ。


「そうですね、先程の1ヶ月毎の報酬については失態でした。

 あと500万ゴルドは負けてもらえましたか?」

「それ位だったらまだ許容範囲内だったな。

 まぁ、一度明言した以上はとり返しは聞かねえぜ?

 1ヶ月の報酬は3500万だ」


 してやったりと笑うエヴァンはとても楽しそうで、口元だけでしか判断出来なかったが、アリエッタはエヴァンがこの契約金で満足出来ているのだと感じた。


 復讐優先で金銭は二の次だと公言しているのもその推測を後押ししていて、アリエッタはエヴァンの復讐をなるべく邪魔しない方向で、円満な関係を築き上げられればと考えを纏めていった。


「3500万分扱き使いますので、そのつもりで」


 予想していた平均契約金5000万ゴルドを3割も節約出来たとあり、アリエッタは残った予算分を何か別の部門へと分配出来ないかと思考を巡らせ始めた。


 戦力としては極上級の猟兵団という戦力を得られたが、それでも自前の戦力が極上級かといわれれば疑問を浮かべるしかない。


 一部の騎士階級や従士のような戦闘職種についた者など一部だけで、残りは全て徴兵した元農民だ、戦闘経験など村の周りにいる獣くらいだろう。


 となると、戦場に連れて行ったとしても満足に戦える者は限りなく少ないだろう、戦闘が始まれば逃げ出す者、震える者でアリエッタの自軍は瞬く間に瓦解してしまう。


 こと戦争に関してはプロフェッショナルであるエヴァンと軍部関係者の席を設け、何らかの対処をしなければと、アリエッタは今後の予定を立てるのだった。


「当然だぜ、いただくものさえいただければ、仕事は完璧にこなす。

 それが玄人(プロ)ってやつだからな」


 こうして、交渉は終了した。


 あとは『血の契約(ギアス)』を結べば完了である。


 最高級の羊皮紙(スクロール)を用意していたエヴァンが契約内容を記していき、最後に自分の名前を書き、指を切って羊皮紙に押し付けた。


 アリエッタは羊皮紙を見つめるとどこにも契約内容が偽りでない事を確認していき、おかしな点がない事を何度も確認した。


 一度『血の契約』を結んでしまえば、その契約を違える事はできない。


 違えたが最後、契約内容が多ければ多いほど、違えた数が多ければ多いほど、その身に、その周囲に災いが起きるのだから。


 そしてアリエッタは脳裏に自らが切り捨てるだろう面々を思い出し、自分の願いの為に他者を切り捨てるという事を認識した上で、自らの名を書き、そして血判を押した。


『血の契約』は成立し、部屋には赤い光が溢れた。


 羊皮紙は強力な魔力を帯びていて、契約が終了するまで如何なる改竄も不可能となった。


 満足げに頷くエヴァンはアリエッタに羊皮紙を渡すと笑ってみせた。


「よろしくご主人様。

 よっぽどのバカをしない限り、オレ達(・・・)が見捨てる事はねえから、気を楽にするといいぜ?」


 アリエッタはその時最大の失態をしてしまった事に気付いてしまった。


 自らが裏切らない事を前提に羊皮紙の契約内容を作ってしまったが、エヴァン達の側が契約をその気になれば打ち切れる、反故にする可能性を残していた事に、背筋を震わせたのだった。




な、長かった…。

読了ありがとうございました。

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