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一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
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仲間がいたから……

「脳波も臓器も血量も異常なし!傷も塞がっているし、ただ眠っている状態ね!」

 私は、【魂糸】で【魂情報】を確認して、ほっと胸を撫で下ろした。

 全てを完全に復元したが、まだ目を覚まさない鈴ちゃんを心配しないはずがない。

 手術が終わった直後だし、目を覚ますまで時間が掛かると分かっていても、自分にミスがあったのではと不安になる。

 しかし、その不安も杞憂だったようだ。

 今は麻酔が効いて寝ているだけで、手術は無事に成功した。

 少々つぎはぎだらけの体になってしまったが、そこは鈴ちゃんの特殊能力にでも治してもらいましょう。

「さてと……」

 私は、鈴ちゃんへ姿を変えた3人の卵達わたしたちへ【放腐土帰ほうふどき】を打ち込んで、土へと還した。

 さすがにこの死体をそのままにはしておけない。

「みんな、大丈夫?」

 私は、そう言って周りを見渡した。

「いやぁ、さすがに疲れちまったよ……。師匠が無事って聞いて腰が抜けちまった……」

「僕は、外傷は無いですけど、精神的疲労が限界値ですね……。情けないですけど、もう魔法は使えそうもありません」

 一葉ちゃんと双葉ちゃんは、鈴ちゃんが無事だと分かった瞬間にその場にへたり込んだ。

 一葉ちゃんは、結構傷ついているが、元々頑丈な方なので、あの程度では致命傷にはならないだろう。

 私には、双葉ちゃんのMPの方がピンチに思えた。

「私は、まぁ、なんとか凌ぎきりましたよ。本当に手ごわい相手でしたね……」

 詩ちゃんは、一葉ちゃんの傷の手当てを行っていた。

 一応、医術の知識もそれなりにあるらしく、私の道具と魔法を使って器用に治療を行っていた。

 見た目の傷は少ないが、先日の悪魔との闘いの疲労もあるのだろう。

 明らかに、疲れ切っていた。

 私も含め、全員が疲労困憊だ。

 一番元気がいいのが、若い卵だろう。

 しかし、彼女は一番この戦いに関係の無い、言ってしまえば観察者だ。

 これからの私が最善の道を選ぶように見ることが、彼女の仕事なのだ。

「さて、鈴ちゃんが目を覚ましたら行きましょうか?」

「……何処にですか?」

「もちろん、この国の参謀長の所へよ」

「!?」

 私の言葉に、皆が緊張な面持ちで城を見上げた。

 そう、この城の中には、まだ最後の敵、言わば裏ボスのようなものがいるのだ。

 そいつの名前は、【芭蕉ばしょう 華凛かりん】。

 この帝国【アダモグラン】の参謀長にして、あの大総統の妻。

 間違いなく強敵だろう……。

「うっ……ううん……」

 そんな良いタイミングで鈴ちゃんが目を覚ました。

 ……やっぱり、麻酔は効いていなかったか。

 私は、手術中の痛みを抑えようと麻酔を使用した。

 しかし、麻酔というのは、状態異常の【麻痺】に当たるものだ。

 鈴ちゃんが持つ特殊能力【無病息災むびょうそくさい】は、【毒】や【麻痺】など外的要因によって引き起こされる肉体的不調をも病気として判断する。

 つまり、本来ならば【麻痺】は効かないこととなる。

 あの大総統が鈴ちゃんに掛けた【呪い】の効果で、特殊能力が封じられていたのだろう。

 手術中の前半は、比較的穏やかな顔で眠っていたが、後半になって苦痛に顔を歪ませるようになっていた。

 麻酔が効いていたのならば、まだ目を覚ますのは早すぎる。

 麻痺に掛かった状態で、麻痺が効かない能力が発動したので、徐々に麻痺効果が解けていったってのが、大体の流れだと思うけど、私も初めての現象なので詳しいことは分からない。

 ま、無事に鈴ちゃんが目を覚ましたんだ。

 それを素直に喜ぼうと思う。

「あれ?……私……?」


 ババッ!


「師匠!!」

「良かった、御無事で!!」

「鈴ちゃん!!」

 先ほどまで腰が抜けていたとは思えない勢いで、神楽坂姉妹と若い卵は鈴ちゃんへ飛びついていった。

「こらこら、相手はけが人なんだから落ち着きなさい……」

 私は、呆れたように3人を諭したが、本当は私も飛びつきたいくらい嬉しかった。

「あ、私、助かったんだね?……大総統は?」

「ZEROが倒したんだよ、よくやったね!」

 私は、事の顛末をZEROに話した。

 そう言えば、先ほどのZEROの動きは、なんかロボットのようで自己が無かったようにも思える。

 もしかして、戦いに集中し過ぎていてそこらへんの詳しい記憶がトンでしまっているかもしれない。

「……ははは、それじゃ相打ちでしょ?倒したとは言えないと思うわ」

 私の話を聞いたZEROから、そんな意外な言葉が出た。

「何言ってるの!周りを見なさい!!」

 だから、私はこう言ってやった!

「相手は死んで、瀕死の重傷を負った貴方は、私達が助けた。私達の勝ちに決まっているでしょ!!」

 ZEROは一瞬きょとんとしたが、周りを見渡して皆の顔を見た後に、とびっきりの笑顔を浮かべた。

「そっか……私は、仲間がいたから勝てたんだね。うん、みんなでつかみ取った勝利だ!」

 ZEROのその言葉に、今度は周りにいた皆が笑顔を浮かべたのだった。

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