表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一日一転 =日替わり転生生活=  作者: 青依 瑞雨
一日一転 =日替わり転生生活= 本編
143/253

隠れ蓑の王様

「では、もしも【木草の巫女】がいなかった場合、あの里は、我が領土として侵略します。よろしいですね?」

「ああ、どーでもいいよぉ。儂は、面白おかしく暮らせれば、それでええんじゃ。酒に女に飯!それさえあれば、後は、参謀長殿の好きにされればええ」

 下着一枚で、全裸の女性を両腕に抱く男。

 この情けない感じの男が、帝国【サーベルアダモ】を治める総統閣下だ。

 この国の歴代総統は、総じて人間の屑のような男が担当していた。

 所詮は参謀長の影武者的な役割に過ぎず、政治や軍事などに一切関わっていない。

 全てを取り仕切るのは、参謀長なのである。

 何不自由なく暮らせる権利を与えるが、その代わり、何かもめごとがあった場合には、国の為に死んでもらう。

 暗殺対象が参謀長へ向かない様に、表立って国を取り仕切っているように見せる。

 言わば、立派な影武者だ。

 参謀長の代わりに死ぬためだけに生かされている、哀れな使い捨ての道具だ。

 現に、帝国【サナルアダモ】で、魔女と呼ばれる少女に総統が殺される事件があったが、あっという間に参謀長が国を立て直した。

 その参謀長から、先ほど助けを求める伝達が届いたが、こちらも忙しいのだ。

 なんせ、あの聖域をせっかく侵略できるチャンスなのだ。

 数年前から、我らの元へ【アダモゼウス】様よりの【啓示】がされなくなっていた。

 今まで、毎日の様に受けていた【啓示】がされなくなり、私達は焦った。

 それぞれの国で、【アダモゼウス】様が喜ぶような取り組みを考え、実行に移そうと決めたのだ。

 私たちの国は、唯一攻めきれなかった聖域【木草の里】を滅ぼすことだ。

 あんな邪教徒の里なんて、とっとと滅ぼしてしまいたかったが、【アダモゼウス】様よりの【啓示】を無視する事は出来ない。

 そこで、私は待った。

 【木草の巫女】がいなくなる瞬間を!!

 まぁ、私がやらせたのは、妊娠間近の妊婦を森へ逃がしただけだ。

 ……本当は、どさくさに紛れて殺せと兵士に命じたのだ。

 だが、里で虐げられ、牢に閉じ込められていた【木草の巫女】に徐々に情が移ったらしい。

 そして、堕胎をさせるための準備中に、どさくさに紛れて森へ逃がしたようだった。

 兵士は、どうせ赤ん坊を産めば死ぬだろうと言っていたが、それでは私の命令に反したことになる。

 馬鹿な兵士は、【木草の巫女】の代わりに死ぬことになった。

 ああ、そういえばあの兵士にも、妊婦の奥さんがいたなぁ……。

 可哀そうだから、後で一緒に始末しておいてあげよう。

 それにしても、出産で【木草の巫女】が死んでくれて助かった。

 これで、心置きなく【木草の里】を滅ぼせるのだから……。

 【サナルアダモ】が攻められていると言っても、所詮相手は少女である。

 私達が、【木草の里】を侵略した後に向かっても十分間に合うだろう。

 私が、そこまで考えた時、総統の部屋を慌ただしくノックする音が響いた。

「参謀長殿!一大事であります!!」

 その声は、私が最も信頼している側近のものだった。

「どうした!総統殿がお休みだ!!その場で、申せ!!」

「はっ!【サナルアダモ】で暴れているのと同じ魔女と思われる人物が、広場にて発見されました!直ちに攻撃を開始しましたが、こちらの被害の方が甚大です!既に、こちらへ向かってきている模様!」

 その言葉を聞いて、ひぃっと小さな悲鳴をあげる総統のおっさん。

 まったく、ナニがでかい割には、相変わらずの小心者っぷりだ。

「引き続き、攻撃を続けろ!!この総統閣下の屋敷には近づけさせるな!!私もすぐに行く!!」

 私は、舌打ちをすると、マントを翻した。

 相変わらず、兵隊共は全く役に立たない。

 私は、自身と同等の強さを持つ各国の参謀長達を思い浮かべた。

「まったく、彼らとあの方の6人で帝国を築き上げた時代が懐かしい……。私の一番の部下でさえ、武器が無ければ役にも立たんからな……」

 私は、両手に皮のグローブをはめると、総統室のドアに手をかけた。

「私が始末してきます。いつものように、総統は、ここで女性と遊んでいれば良いです」

「ううっ、頼んだぞ、幹彦殿!」

「はい」

 そう返事をして、私は総統室を出た。

 私は、帝国【サーベルアダモ】の参謀長にして、最高権力者【木原きのはら 幹彦みきひこ】!!

 連合帝国【アダモグランディス】を造り上げた【不老】の賢者にて、【アダモゼウス】様の【啓示】を受けし一人!!

「どんな障害も全て叩き潰す!!そう、全てはあの方と、【アダモゼウス】様の為に!!」

 私は、廊下を駆けると、広場を目指した。

 魔女とやらを殺すために……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ