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51話 動く食材?

フィーべ東部エリア三にあるとある森中。

そこで様々な植物を採取してマイスペースに入れている秋司。


「そういえば、マイスペースには生きている生物は入れられないって言っていたけど、植物は採取した瞬間から入れられている。採取した時点で生きていないってことなのかな?」

「採取した後でも、生きてはいるよ。でも、マイスペースに入れられるってことは、恐らく自立して生命活動できるかとか、生命力の流れが断たれたら入れられるようになるとか、そういうルールみたいなものがあるんじゃね? 知らないけど」


ふと零れた秋司の疑問に反応して自分の考えを伝えるリスタ。

そんなリスタの左手には、先ほど地面から掘り出した古びた剣を持っている。


うーん、暗くなってきたなー。

小川も見つけたし、今日はこの辺で休もう。


秋司と柊真はテントを立て始める。


「手伝おうかー?」

「んっ? いや、リスタはテント立てないのかよ? カズセも」


テントを立てる様子を見ていたリスタは秋司と柊真に声をかける。

そんなリスタの声を聞いて、逆に質問する柊真。


「あっ? そんなの持ってきてねーよっ」

「俺もー」

「・・・。えぇーっ?」


リスタとカズセは柊真の問いに、順に答える。

二人の言葉を聞いた柊真と秋司は驚き、大きな声を上げた。


「俺、マイスペース狭いしー。どっちかのテントに入れてくれよっ」

「もちろん、それは全然いいけど・・・」


リスタくん、一人で冒険しようとしていなかったっけ・・・。

どうするつもりだったんだろう・・・?


笑顔で頼むリスタの表情を見て、秋司は苦笑いを浮かべながらそう思った。

秋司と柊真がテントを立てている間、リスタとカズセは地面に落ちている木の枝を集めた。


「おーい、太いのだけじゃなくて、細いのも集めろよ。あと、乾いていそうな枝を拾うようになー」

「えっ? なんでだ・・・。ああ、そっか・・・。うるせー、オメェに言われなくても分かってるわー」

「今思い出したくせに何言ってんだぁ。 これだから賢ぶりメガネは」

「なんだとぉー。枝拾いくらいでいきがってんじゃねーぞ」


いつも通り、枝を拾いながらも言い争いを始めるリスタとカズセ。

少しするとテントを立て終え、集めた枝を使って焚き火を起こした秋司たち。

秋司はマイスペースからお米の入ったキャンプ用の鍋とお水を取り出し、焚き火に鍋をかけてご飯を炊き始める。

鍋の中には採取して細かく切ったキノコと醤油、みりんを入れて。

カズセはお湯を沸かしながらリュックサックからカップラーメンを取り出した。

その一方で、リスタと柊真は少し離れたところで猪を見つけ、木に身を隠しながら観察している。


「よし、今だ・・・」


リスタの掛け声で猪に襲い掛かる二人。

猪を仕留めた二人は簡単に調理し、焚き火の上で火を通す。


「できたー」


少し経つと、それぞれ夜食の料理を作り終えた。


「みんな、食べよー。いただきまーす」


秋司は両掌を合わせ、元気な声を発した。


「いただきます」


柊真とカズセも秋司と同じように声を発する。


「いただきます・・・」


リスタは両掌を合わせ、数秒の間目を閉じ、真剣な顔つきで声を出した。

その後、ゆっくりと目を開けると、パッと表情が明るくなり、猪肉を食べ始める。

柊真も猪肉を、秋司はキノコの炊き込みご飯を、カズセはカップラーメンを食べ始める。


「うめぇー」

「おいしー」


リスタと秋司はそれぞれ猪肉と炊き込みご飯を口いっぱいに頬張りながら明るい表情を浮かべている。

柊真も喉を詰まらせるほど、勢いよく猪肉を口に運んでいる。


「美味い・・・」


カズセは落ち着いた様子で麺を啜っている。


「こっちも食べよー」


秋司は炊き込みご飯の他に焚き火でキノコを焼いていた。

焼けたキノコにバターをのせて溶かし、塩をかけて食べた。


「うーん、美味しいー。みんなもキノコ、どう?」

「キノコー? それより肉だー」


秋司は三人に声をかける。

柊真はチラッとキノコに視線を向けるも、すぐに視線を猪肉に戻す。

リスタは秋司の声に反応することなく猪肉を食べ続けている。

カズセは麺を啜りながらキノコを見るも、麺を啜り続ける。


「・・・。ほらっ、リスタくん、キノコも食べなよーー」

「うっ・・・。いらねーよ・・・」


秋司はリスタに近づき、キノコをリスタの頬に近づける。


「ほら、肉あげるから離れろ・・・」

「ええー。お肉くれるのー? じゃあお返しにキノコたくさんあげるー」


リスタは猪肉を秋司に渡して、秋司から離れようとするが、秋司は猪肉を受け取ると、さっきよりも勢いよくキノコをリスタに食べさせようとする。


「ほら、野菜も食べないとー。あっ、こっちのキノコの方がいい・・・。あれ、キノコが減ってる・・・。カズセくん、キノコ食べてくれたんだ?」

「んっ? 食べてないよ」


秋司は他の種類のキノコをリスタに勧めようと、お皿に視線を向けるとキノコが減っていた。

秋司は自分の横に座っているカズセがキノコを食べたと思ったが、カズセはカップラーメンを食べ終え、一息ついていた。


うーん、なんでキノコが減っているんだろう?

・・・。

ところで、あそこで動いているキノコは僕が調理したキノコかな?


秋司はキノコが減っていることに疑問を持ち、辺りを見渡した。

すると、地面から少し浮いた位置に秋司が調理したキノコがあった。

そしてそのキノコは徐々に小さくなっていく。

やがてキノコは姿を消した。


「な、なんでーー」

「んっ? どうしたー、秋司」


秋司の驚きの声に反応した柊真が猪肉を食べながら秋司に視線を向けた。


「キノコが動いて、消えたーー」

「えっ? なんだそれー?」


秋司は驚いた様子のまま、キノコが消えた場所を見つめている。

その言葉を聞いた柊真は食べるのを止め、秋司が見ている場所に視線を向ける。


「・・・。毒キノコでも食ったんじゃねーのかー? キノコが動くわけね・・・。ああーー。俺の肉がーー」


リスタは秋司に視線を向けることなく、猪肉を食べながら声を発した。

そんなリスタの視界に、少し宙に浮き、動き始める猪肉が入ってきた。

猪肉はリスタから離れていく。


「おい、待ちやがれー。俺の肉だぞー」


リスタは猪肉を追いかけるが、猪肉は木を登っていく。


「はあぁー? 肉が木を登って・・・。消えたぁーー?」


リスタは木の上で消えていく猪肉を見て、大声を発した。


「ねー。不思議だよねー。キノコが移動して消えて、お肉も移動して消えた・・・。なんで?」


秋司は今起きた現象について考え始めた。


キノコもお肉も、動いて止まって、徐々に消えていった。

でも、お肉は木を登っていったよね。

うーん、木を登っている時、お肉と木の距離は少しだけだった。

地面との距離も少しだった。

そして、段々と消えていった。

まるで食べているかのように・・・。

食べる?

もしかして・・・。


「何か生物の仕業かも」

「生物・・・? ああ、今度はキノコが浮いてんぞー」


秋司が考察して答えを出した時、秋司の近くにあるキノコが少し浮き始めた。

その光景を見たリスタが声を出す。


「おい、お前ー。姿を見せろー」


リスタはそのキノコに近づき、声をかける。


「お腹空いているの? もっとキノコ食べる?」


秋司はその生物にキノコを渡す。

すると、キノコは勢いよく消えていく。

やがてその生物は油断したのか姿を現した。


「おお・・・。か、可愛いーー」


秋司とリスタは頬をくっつけながらその生物の顔に近づく。

その生物は顔は白い毛、体と尻尾は薄い黄色の毛をしたテンのような生物だった。


「おいおい、可愛すぎんだろー。肉も食うか?」


さっきまでの様子とは異なり、優しい笑顔を浮かべながらその生物、カクレテンに猪肉を手渡すリスタ。

カクレテンは猪肉を受け取ると、勢いよく口に入れた。


「可愛いー。キノコももっと食べなぁ」


秋司もキノコを手渡す。

キノコも勢いよく食べるカクレテン。


「ねぇー、よかったら一緒にテントで寝ようよ?」

「・・・」


秋司はカクレテンに声をかけるが、カクレテンは秋司を少し見つめた後、去って行った。


ああ・・・。

断られちゃった・・・。


秋司は落ち込んだ様子で肩を落とした。


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