エピローグ
王都で暴動が起きた。
「鎖国なの~」
「「「おう」」」
貧困ランドは、壁で覆われている。要塞になる。
ここに、良民を集める。
武装させて、裏組織に、良民救出をお願いした。
「でもよ。姉御、良民を見分けるって、どうやってやるんだ?」
「母子なの~、母子が困っていたら、片っ端らに、集めるの~」
「分かった」
母子を基準にして、守ってくれない男親のいない母子は、助けるべきだ。
子供が成長し、大人にならなければ、社会は続かない。
もう、ギャンブルにはまった大人を助ける余裕はない。
そして、壁の中に集めて、炊き出しを行う。
ミドリ生前に、炊き出しで生きていたものは、空気で分かる。
「何だよ。この炊き出しはーーー」
と文句を言う奴は、否応なしに、壁の外に出す。
「え、何で!」
「姉御、食料の余裕がないぜ」
「法王様にお手紙を書いたの~」
やがて、法王様の号令の元、次々と、各国の兵と、支援物資が集まってきた。
暴動は沈静化し、
法王猊下と会見をした。
「シスター様が?王妃?」
「そうだ。公爵家だからな。そして、国王は、勇者殿になる。勇者殿の褒賞を渡さなければならなかったが、褒賞になるかな微妙だが、勇者殿は快諾された」
ほほー、それが良い。
シスター様もまんざらでもなかったしな。
「して、そなたは、イザベラ嬢の義妹となってもらう」
「ホエ?」
吠え面をかいてしまった。意味が分からない。
「何故なの~」
「さあ、それが、しっくりくるからな。裏組織も束ねねばならない」
何故だよ。
「ハハハ、メアリーは、フランク商会で納まる器じゃないけ」
「「「姉御、今までお勤めご苦労様でした!」」」
「「「メアリー」」」
「グスン、グスン、メアリー、俺、俺、メアリーに意地悪したのは、好きだったからだぁー、ウワ~~ン」
「トム、ヨシ、ヨシなの~」
初めて、告白された。ああ、子供特有の好きな子に意地悪をする感じだったのか?
「ごめんなさいなの~」
だが、断る。トムは、可愛い弟分だ。まだ、恋愛は先だ。これで、成長してくれ。
「俺、頑張る!商会長になる。そしたら、振り向いてくれるか?」
「分からないの~」
こうして、私は皆とお別れして、王妃殿下の義妹として、王宮で暮らすことになった。
新政権は、問題山積みだ。
優秀な役人が集められたが、優秀なだけでは、片付けられない事がある。
創業の難しさだ。
この王国は、敵が見えなくなった。
暴動で、秩序が崩れて、新秩序を作るのだが、問題は、労働意欲をなくした多量の悪民たちだ。
娯楽も必要だし、これは、王国が法で用意するべきではない。王国が娼館を作ることはない。
民間が作って、王国が法で、規制するべきだ。
「う~む」
「メアリーちゃんは、今は、お勉強しなさい。遊びなさい。難しいことは、大人にまかせるのよ」
「はいなの。イザベラお姉様」
シスター様の笑顔は暗い。新婚なのに、勇者様は、政治に疎く苦労しているらしい。
聖王国の援助で何とかなっているが・・・
その夜。また、奇妙な夢を見た。
☆☆☆
ザワザワザワ~~
「あの国の経済優秀村が、破綻したそうだ」
「やっぱり、日本のニュースでやらないな」
「我社は、どうする?」
「撤退して欲しいな。正直、最初の1~2年は良かったが、すぐに、ノウハウを抜かれて、似たような企業が出てくる。合弁が条件だった。それが目的だったのだろうな」
「星苅君、ボスは、何か言っていたか?」
「計画通りですよ。かの国は、日本人が思っている以上に、独裁と縁故とハニートラップが蔓延していますから、周りは何故と思うでしょうけど、市場を他の国に移すそうです。そろそろ、計画が発表されますよ」
・・・・
「我社はかの国から資産を撤退する!」
「「「「オオオオオーーー」」」
何だ。経済優秀村?
社会主義政権で、私有財産が禁止されている時に、かの国では、国営農場では、生活できないので、山に隠田を作ったり。江戸時代みたいに、血判状を作って、農民達が、政権に反発していた。
その中で、市場が開放される前に、軽工業に注力して成功した村があった。
村長が、村人を説得して、農業を辞めさせ。村の工場に勤めさせる。
社会主義政権時代の日用品は、粗悪品だらけだ。瞬く間に、全国を席巻した。
私営企業が、実質ない時代だ。快進撃を続け。バブルが生じた。村には豪邸が建ち。農作業を、出稼ぎにやらせるまでになった。
株のようなものを作って、元々の農民に配当する。
しかし、市場が開放され、外国から投資され、周りに資本主義が入ってくると、失速し、迷走し、観光業に手をだしたりしたが、
バブルがはじけた。
それも、党が、経済優秀村と、表彰した年にバブル崩壊と言う皮肉である。
まあ、社会主義は、資本主義の中でしか存在出来ない。
チートは、周りに競争相手がいない時に成り立つとかの教訓か・・・・
王国は、封建主義だ。この中に、資本主義を導入・・いや、安い人件費が必要・・
ムニャ、ムニャ~
・・・・・・
チュン♩チュン♩
「・・・・やってみるか?お姉様に内緒だ」
伝手を頼み。役人とフランク商会に奏上をお願いした。
☆☆☆王宮謁見の間
「陛下に奏上いたします。遷都をしたら、如何でしょうか?場所は、ドルクの街です。港に近く、これから、発展が見込めます」
「しかしな。予算が・・」
「フランク商会が、暴動を起こした悪民を引き取り。働かせます」
「王都は瓦礫の山です。復興するのも予算がかかります。なら、生まれ変わるべきです」
「この王都を、観光都市にします。貧困ランド、ガジノ、娼館を作ります。城壁で、囲まれているので、ギャンブル依存症の被害も、最小限になるでしょう」
王都は放棄して、飲む打つ買うの大人の街と、すぐ側に、貧困街がある。
これは、皮肉か?いや、教訓だ。
・・・・・
☆1年後、復興作業が始まった。
☆☆☆旧王都労役場
「よお~し、今日は、給料日だ!並べ!」
「ほい、ハンス、10万メアリーだ!」
「ヒィ、これ、紙じゃないですか?」
「だから?外じゃ使えないぞ」
「そんな。串焼きが1000メアリーじゃないですか?」
「だから?嫌なら、処刑だぞ」
王都は、地球のラスベガスのように改造されつつあった。
本物はないが、本物以上の偽者が集まると評される街になる。
・・・・
☆☆☆数年後
☆貧困ランド
「ヒィ、これ、本物だよ。あの人、ギャンブル狂と有名だった男爵だよ。串焼きを売っている」
「俺は、後悔していないぞ!グスン、グスン」
「ギャンブルはやめよう」
「いや、ギャンブルで引き際が良い者は、信用できるって言うからな。趣味程度が、男子のたしなみだろうよ」
・・・・
「陛下の視察である!」
「勇者様だ」
「王妃殿下も綺麗だな」
「あれは、何だ。あ、義理の妹か」
「フフフ、メアリーちゃん。あの友愛促進事業団が、ここまで成長するとは」
「ここだけ、本物のオケラがいるの~、尽きることはないの」
「フム、ギャンブルで、身を崩した者をここで雇う・・・勇者時代では思いも付かなかった」
「お義兄様、メアリー、串焼き欲し~の」
「まあ、おねだりね」
「ああ、いいぞ、ここの通貨は、メアリーだったな」
メアリーは、まだ、欲しがっている。
後に、信用経済が発展し、大陸共通貨幣に、メアリーが用いられるまでになるとは、本人も予想しなかった。
最後までお読み頂き有難うございました。