初めての魔獣狩り 前編
「先生、"特別な空気"ってなんですか?」
「ああ、そういえばラノはまだやってなかった範囲だったね。」
「やってなかった……範囲?どういうことですか?」
「"特別な空気"は魔法科学の分野で習うことなんだよ。」
魔法科学とは、その名の通り魔法と科学が融合された教科である。元々はそんな教科は無かったが、異世界人の世界の"常識"として伝えられて来たことによりできた教科である。
とは言っても私が魔法の正しい理論を伝えるまでは全くもって重要視されてはいなく、私が学生時代その教科を選ばなければ、その教科自体が無くなることとなっていたらしい。
教えていた教師も私がこの授業を受けに来た瞬間、泣いて抱きつくほど『これで魔法科学が消えなくて済む!!受けてくれてありがとう〜!!うわぁーん!!』と私に感謝を述べていた。
余程生徒が来なかったんだろうね、うん。
「なるほど、ということは僕にはまだ早いってことですよね。」
「まぁ、座学で後々教えるところだしね。気長に待っているといいよ。」
「今すぐ教えてもらうことは……。」
「駄目、順序よく学ばないと理解出来るものも理解できないからね。それにラノは学園の子達よりも進んでいるんだから欲張らない。」
私の言葉を聞いたラノはプクーっと不満な顔をしながら頬を膨らませていた。
スーッ、そ の 顔 は 反 則 だ よ ラ ノ 。(可愛すぎてね!!)
「じゃあ代わりに収納の魔法について教えて下さい。それならいいですよね。」
「魔力操作、完璧?」
「ゔっ、」
「うん、頑張ろうねラノ……。」
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魔力操作を師匠から学んでから、1週間が経った。
「し、師匠、どうですか?」
「うん、完璧だね。合格だよ。」
「やっ、やったあああああああ!!」
遂に私は師匠から何度も優しく駄目出しされながらも、魔力操作で合格をもらった。孤児院でも練習していたかいがあったものである。
「ふふっ、じゃあご褒美にケーキでも食べよっか。」
ケ……、ケーキ?ソレッテキゾクガタベテイルモノジャナカッタッケ?うーん……、うん!!私は何も知らない!!美味しければいいんだよ。ケーキなんてものは知らない!!
「はい!!」
そうして私はケーキに対する共通認識を頭の隅に追いやり、師匠から"ロールケーキ"というものを出された。
見た目はスポンジが巻かれており、中にはシュークリームの時に入っていたクリームが沢山入っていた。そしてスポンジの上には、クリームの上に赤い宝石のようないちごが立派にのっかっていた。
「うわぁー。」
「ふふっ、クリームが溶けないうちに早く食べよっか。いただきます。」
「い、いただきます?」
師匠が言っていた謎の挨拶?を言いながら、私はケーキを食べ始めた。
フォークをまずいちごに刺し、口に入れる。すると果汁が滝のように口の中に広がり、いちごの底に着いていたクリームがいちごと調和させる。
次にふわふわなスポンジにフォークを入れ、味わう。素朴な味のスポンジが甘いクリームを際立たせ、その中に入っている小さないちごの果肉が私を幸福感で包み込む。
ああ……、おいしいぃ……♪
そして気づけばロールケーキは私の皿から綺麗さっぱり消え去っていた。
「ああ……。」
食べきっちゃった……、もっと食べたかった……!!
「ネロナ、美味しかった?」
「はい……。」
本音を言えばもっと食べたいです、師匠。
「それじゃあ、今回は魔力操作から一旦離れて別のことをしよっか。」
い、一旦?
「師匠、一旦ってどういうことですか?」
「ああ、ネロナが成功させたのは"動かない状態"の魔力操作でしょ?動いている状態でもさっきみたいにスルスル魔力を操作出来ないとまともに魔法なんて放てないからね〜。」
え゛、そ、そんな……。魔力操作自体にも1週間かかったのに……。動きながら魔力操作を意識しないといけないなんて……。何週間、いや何ヶ月かければ習得できるんだろう……。
地 獄 に し か 思 え な い … … 。
「ち、ちなみに師匠は動いている状態での魔力操作にどれぐらいかかったんですか?」
「うーん、確か……ネロナにやっている授業より厳しくやって半月ぐらいかな。」
「あ、あれ?思ったより短いんですね。簡単に出来るものなんですか?」
「年齢によるってところかな。」
「?、どういうことですか?」
「例えばネロナ。ネロナはどうやって言葉を覚えた?」
「気づいたらもう覚えていましたけど……。」
「じゃあ、今ここにネロナとは違う言語を話す人がいて、1年ぐらいで誰にも教えてもらわずにその言語を覚えることが出来る?」
「いやいや、できませんよ!だって違う言語ということは私達とは違う順番で話していたり、同じ発音の言葉でもつかいようによれば意味が全く違う可能性だってあるわけじゃないですか。」
「そうだね。じゃあなんで赤ちゃんはその言語を知らないのに覚えられるのかな?」
「え、それは……分からないです。」
「それはね、赤ちゃんの頭は成長した大人や子供よりも何倍も柔軟だからだよ。だから何も知らない状態にも関わらず言葉を覚え、理解できるんだよ。
まぁ、簡単に言うと年齢が若ければ若いほど知識やら、技術やらの習得が早いってことだよ。とは言っても若すぎると魔力操作が未熟過ぎて最悪死んじゃうけどね……。」
改めて思う。私、なんて危険なことを独学でやっていたのだろうと。
「さて、話はこれぐらいにして、今回やるのは身体強化の魔法を使った魔獣狩りをしよっか。」
「え……、いやいや!!師匠、何言ってるんですか!?私、魔獣狩りだなんて出来ませんよ!!ただでさえここの森は魔獣がものすごく強いって言われているのに、ゴブリンでさえ魔法で倒すことすら出来てない私に狩れるわけないでしょう!?」
本当に何言ってるの、師匠!?
「大丈夫、流石にピセラの森の魔獣を倒してもらおうってわけじゃないから。ネロナに倒してもらうのは、僕が作った魔獣を倒してもらうんだよ。」
「え!?」
魔獣を……作る?ん?あれ?魔獣って生物なはずじゃなかったっけ?作る……、っは!!ゴーレム、ゴーレムを作るんだよ。きっとそうだよね。私、何を勘違いしてたんだろう。恥ずかしいな〜。
そんなことを思っている間にも師匠は沢山の魔石らしき物と沢山の毛皮を収納の魔法からドバドバ取り出し、指先が光ったかと思えば指先で魔法陣を書き始めた……、魔力髄液無しで魔法陣を書き始めた!?
「し、師匠。」
「ん?なに。」
「魔力髄液は使わないんですか?」
魔力髄液。それは魔法陣を書く際に使われる専用のインクである。原材料にはとある特別な魔獣の素材が使われていると言われており、とっっっっても高価なものである。その為、偽物が流通していることがあるそうだ。
「ああ、あのインクね。まだあれで書くのが主流なんだね。うん、使わないね。魔力髄液よりも今僕がやっていることの方が魔力効率がいいし、威力も上がるからね。」
師匠はそう言いながら、魔法陣を書き続けていた。
「それに魔力髄液を作る目的でただでさえユニコーンが乱獲され、犠牲になってるのにそれをえぐるようなことは嫌でしょ?」
そして魔法陣を書き終えると、魔石らしき物を毛皮でくるみ、何やら術式らしい物を魔力で刻んでいた。
「え?魔力髄液ってユニコーンで作られているんですか!?」
「その様子だと隠蔽されているみたいだね……。はぁ、実際僕がこのピセラの森に住み着こうとした時に、密猟者から逃げてきたユニコーンが
『ここなら人間は来れない。だが私達の実力では生きていくことすらままならないだろう。厚かましいことは分かっている。どうか私達に安息の地を作ってはくれないだろうか。』ってお願いしてきたぐらいだしね。」
「そんなことが……。」
ユニコーンについて話している間にも、師匠は魔法陣に魔力をこめ始めた。
「さて、この話はまた今度にしてそろそろ魔獣が出来上がるよ。準備はいい?」
師匠のその言葉に思考を切り替え、私は身体強化の魔法を発動した。
前発動した時よりもなんだか魔力がスルスル通る気がする。これも師匠の授業のおかげかな?
「はい、準備出来ました!!」
そう師匠に告げると魔法陣は強く光り、魔石を毛皮でくるんだ物が様々な色で分解されてゆき、魔獣の形をかたどっていく。
そうして出てきたのは、自分よりも大きい白銀の狼であった。
カンっカンっカンっ!!
裁判官『え〜、これより投稿遅延事件による裁判を始める。まずは原告、どうぞ。』
ぬっこ(読者代表)『酷いんです!!いつもいつも、次は期間中に投稿すると言っておきながら1週間、3ヶ月と伸びていき、今回は半年ですよ!?もう私達、もちさんの作品を指をくわえて待つなんてできません!!放置プレイじゃないんですから!!』
裁判官『これらについて被告人、なにか弁論は?』
えー、本当に申し訳ないと思っております。前回、記者会見を開いたにも関わらず、反省がなっていなかったと思っております。今後自分の首を締めるような身の丈の合わない期限を定めないようにしようと思います。
賢者『裁判官、被告人もちさんについて聞きたいことがあります!!発言の許可を頂いても?』
け、賢者さん!?なぜこんなところに!?
裁判官『そこ!!被告人は許可された時以外、発言しないように。それと原告の弁護人賢者さん、発言を許可します。』
はい……。(´・ω・`)
賢者『ありがとうございます。さて、もちさん。これだけ期間が空いたということは何かしら事情があって空いたということですよね。どのような事情で空いていたのですか?』
え、えーっと(;⌯ 8 ⌯)……、っは!我にも弁護士がいたはず!!弁護士さん!!
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/ バカンス中です♪ / \
/ 頑張ってね♪ / \
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ノォォォォォォォォォォォォ!!……っは!!我には黙秘権がある!!フッフッフッ、聞き出せるものなら聞き出してみな。出来るならねぇ(*`艸´)
賢者『では、証人に発言してもらいましょう。』
え?
賢者『ツキミさん、お願いします。(作品じゃない方だよ。)』
ツキミ『ニャー。』
フッ、馬鹿め!!ツキミはネコ!!どうやって発言するというのだ。この勝負我の勝っ、
賢者『ツキミさんはネコなため、師匠制作の翻訳の魔道具を使います。』
ま?(まじで?)
賢者『それではツキミさんお願いします。』
や、やめろーーー((((;゜Д゜)))))))!!!
ツキミ『はぁ、ゲームにのめり込んでいたり、他の人の作品を読み漁っていたにゃ〜よ。しかも最近は新しく来たネコに構って吾輩のことなんか知らんぷりにゃ。浮気者!!』
まじでもゔじわげございまぜん。゜(゜´Д`゜)゜。(まっしろ〜。)
賢者『まあ、ということで本当の意味での不定期になるのでそこのところよろしくお願いします。まあ、あのもち野郎曰く、上げるにしても土曜日に上げるのにはかわりないらしいので気長に待っててください。ではばいなら〜(´Д`*)ノ。半年ぶりのラノε=ε=ε=(۶✧Д✧)۶』