初めての授業 後編
「先生、そのツキミというネコはどうやってすぐ先生の元に来たんですか?」
「それは言えないな〜。ただ言えるとしたら、普通のネコじゃないってことだ。」
いや、本当に言えない。正直に言って冷や汗が止まらなくなるぐらい言えない。私たまに思うんだよね。師匠……なんであなただけでなくその周りもやばいんですかーーーーー!!
師匠の行動1つ1つだけでなく師匠の周りも歴史を動かす、いや崩壊させるレベルでやばいってどういうことですかーーーーーー、師匠ーーーーーーー!!
「普通のネコじゃない……、もしかして"ケトッシー"ですか?」
"ケトッシー"それはネコの姿をした妖精である。ネコのように気まぐれで魚を好み、神出鬼没な妖精。というかほぼネコである。
違う点といえば魔法を使い、高い知性を持ち、そして二足歩行をするという点だろう。
たが、私が話したツキミとは違う所がある。それは二足歩行をしないという点と魔法を使わない点である。ではツキミは一体何なのか。
「ウン、チガウヨ。」
「そうなんですか……。結局何なんでしょうか?」
それは、いずれ知ることとなるが今は私と師匠と神のみぞ知ることである。いずれ知って欲しくないけど。
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「まず魔法に大事なのは魔力操作だ。魔力操作は出来る?ネロナ。」
「当たり前ですよ、師匠!!」
師匠の期待に答えるべく魔力を体の中を巡回させる。
「師匠、出来ました。」
私は喜んで師匠に見せた。師匠はじーっと私を見てから納得したような顔をして私に聞いてきた。
「ねえその魔力操作は独学?」
「あ、はい。魔導書にも書いていなかったので。」
「凄いよネロナ。だいたいの人は魔力の操作を詠唱に頼っているのに。」
「どういうことですか?師匠?」
「そうだね、簡単に言うとしたら魔力を引き出し、形にするのを詠唱に任せっきりにしているということだよ。」
なるほど、自分で魔力を操作する訳じゃなく、勝手に魔力を引き出しているっていうことなのか。
「でも師匠。それじゃあ自分で魔法の威力とかが調整出来ないのでは無いのですか?」
「よく気がついたね。確かに魔法の威力は詠唱によって制限されてしまう。けれどそれによってとあることを防止するの。それはなんだと思う?ネロナ。」
とあることを防止する?なんだろう。魔力操作を詠唱に任せることで魔法が一定以上強くなることは無くなる。魔力の消費も一定となる……。もしかして……、
「師匠、もしかして魔力を消費する際に魔力操作を誤って生命維持に使う魔力に手を出さないようにする為ですか?」
「うーん、惜しい!半分は当たっているんだけどね。」
「それじゃあ……うーん、分かりません師匠。」
「答えはね、"魔力暴走を防止する為"だよ。」
「魔力……暴走……ですか?」
「聞いたことない?」
「はい、聞いたことないです。」
「魔力暴走は簡単にいえば自分ではコントロール出来ないほどの魔力量が"魔法"として自分の意思関係なく出てくる状態のことを言うんだ。」
「自分の……意思なく……ですか?それってもしかして威力関係なくですか!?」
もしそうだったら暴走を引き起こした人によっては死人が出てもおかしくない。そしたら私は、結構危ない橋を渡っていたこととなる。だから師匠はこの話を……?
「うん、そうだね。というより常に最大の威力の、生命維持に使っている魔力までを使った魔法が放たれるから、
どんなに魔力が少ない人が暴走したとしても必ずと言っていいほど……亡くなる人が出てきてしまう。例え余程の実力を持った魔法使いであってもね。」
師匠は悲しそうな顔をして私に教えてくれた。それほど危険なことだからこそ、師匠は最初の授業で魔力暴走の危険性を教えたのだろう。
「し、師匠でも無理なんですか?」
師匠の実力なら暴走した人を助けられるかもしれない。師匠は凄い人だからきっと……、
「無理だよ、残念なことにね。」
「そんな……。」
師匠でも無理だなんて……。
「まあ、正確に言うと状況によってだけどね。」
「状況……によって?」
「そうだね、ねえネロナ。一番魔力暴走の被害を受けるのは誰だと思う?」
「え!?えっと……、一番近くにいた人ですか?」
近くにいればいるほどターゲットにされやすいと思ったから答えとして言ってみたのだけど……、
「残念、正解は"魔力暴走を起こした本人"だよ。」
どうやら違ったらしい。
「なぜなら魔力暴走をする際に"生命維持に使う魔力も使う"からだよ。だからこそどんなに実力を持った魔法使いでも全員を救うことはほとんど"出来ない"。
ここまでいえばなぜ僕でも無理なのか分かるよね、ネロナ。」
なるほど、たしかにそれは状況によっては師匠でも魔力暴走を起こした人を救うことは無理だ。なぜなら……、
「"時間"と"対象の魔力量"が関係しているからですよね?」
「そう、正解だね。」
どういうことかと言うと、魔力暴走を起こした人は師匠が言っていたように"生命維持に使う魔力"も使って魔力の消費量が多い威力の大きい魔法を使う。
つまり、その人を助けるには"生命維持に使う魔力"を使われる前に相手を気絶させるなどの手を使って止めなければならない。
しかし相手によって持っている魔力量には違いがあるし、バンバン魔力の消費量が多い魔法を使うから、最悪行動する前に亡くなってしまう可能性がある。
私は本当になんて危険なことをしていたのかがよく分かった気がする。
「さて、これで座学は終わり。次は実践だけどその前におやつにしようか。」
「はいっ!!」
おやつ!!前出てたプリンとかかな?それともまだ私が知らないようなおやつかな!?
そうしてワクワクして師匠の家の中に行き、座布団に座って待っていると、師匠が皿に黄土色をした丸いものが乗っけてあるのを持ってきた。
トコっ
「はい、今日はシュークリームだよ。」
そう言って師匠は"それ"を机の上に置いた。
「師匠、しゅーくりーむってどんなおやつなんですか?」
「ふふっ、食べてみれば分かるよ。手に持って食べるんだよ。」
「はい!!」
師匠がそう言うなら食べてみよう。
しゅーくりーむを手に持ち、口に入れる。するとフワフワしたような生地に冷たく甘い滑らかなものが口の中へと襲ってくる。
それはそれはとても美味しく、二口目からはいきよいよくかぶりつく。そうした瞬間、他の所から白く甘いものが溢れ出る。
それが落ちないように次は慎重に食べていると、気がつけばしゅーくりーむは私の手から消え失せていた。
「あ……、なくなっちゃった……。」
「ふふっ、ネロナ。口の周りにクリーム着いてるよ。」
「くりーむ?」
「シュークリームの中に入っていた白いやつだよ。」
なるほど、あの白くて冷たくて甘い滑らかなものは"クリーム"というのか。というか、クリームをつけたことにすら気づかないなんて恥ずかしい。
そんなことを思っていると、師匠がハンカチで私の口の周りを拭き、
「ほら、取れたよネロナ。」
と優しく微笑みながら言った。
フッ〜、師匠。その笑顔は反則的です。
私はそんなことを思っていた。
めっさ遅れてすいませんでしたーーーー!!
実は久しぶりに訳あってバレーをやったんですよ。そしたら"初めて"突き指をしたんですよ。とても痛くって痛くって。
突き指って指を動かすとめっさ痛いんだな〜って思いました。それで痛いのが治るまで待ってたんですよ。結果ここまで期間が空いてしまった訳です。
本っ当に申し訳ございません。
さて今回はこの世界における魔法の危険性の基礎についての話でしたね。まあよくある設定ですね。(メテェよお前)
そしてラノの話によれば、この世界にはケトッシーがいる模様で……。モフりたいな〜。(モフりたいな〜。)
さて次回は期間を空けてしまったので(出来たら)次の土曜日に上げる予定です。上がらなかったらめためたにコメントで叩きのめしてください。
そうすると自分がひょろひょろになりながら投稿するので( ・∇・)アハハ( ・∇・)アハハ( ・∇・)アハハ
では次回までアデュー。