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ルリカ視点、それから少しして

 海底ダンジョンの大決戦が終わった。私も少しはヨータさんたちの助けになれたなら嬉しい。それから少しして、海底ダンジョンの六層と七層がどうなっているかが明らかになった。


 海底ダンジョンは全部で七層の構造になっていた。上の二層は自然豊かな島々が点在し、海は穏やか。ヨータさんが「バーベキューとか楽しめそうだ」と言ったのを覚えている。彼らしい感想で良いと思う。


 しばらく第七層の一番大きな島の近くに時空戦艦は泊めておくそうだ。ヨータさんはロボット君たちに修理を頑張ってもらいながら、次の冒険の地を考えているらしい。彼は、今度はどこへ行くのだろう? 私も……またついていっても良いのかな?


 そんな風にヨータさんがゆっくりしている間も、世間は大きく動いている。私は単作者協会により、Aランク探索者へ昇格。また、探索者協会から魔法の講師になってほしいと誘われている。


 これまで魔法はフィアーボールなど一部のスキルを持つ者だけが使える特別なものだった。それが正しく学べば技術として多くの人にも使えるものかもしれないとなれば、世間が騒ぐのも無理はない。


 Aランク探索者で人気配信者の魔法講師。協会からすれば、これほど魅力的な広告塔も無いだろう。けど、私は協会からの頼みを断った。探索者として昇格させてもらえたのは嬉しいけど、それはそれだ。


 私はリッチ先生の教えで魔法を少しかじっただけだ。人に魔法を教えるレベルには達していないと思う。それにこういうことはヨータさんが決めるべきだ。技術としての魔法の発見、そしてリッチ先生のスカウトは彼の功績なのだから。


 そんなわけで、私は今日も時空戦艦にやって来ている。追加装甲を外し、元の外見に戻ったという船の甲板でヨータさんたちと一緒に魔法を学んでいる。もちろん教えるのはリッチ先生。今日も真剣に学ぶ。


 最近は魔法を使った模擬戦をやったりもする。本気の殺し合いではないが、やっていると結構熱くなっていたりする。魔法では僅かに私がヨータさんやメグ師匠をリードしている気がするが、身体能力では二人の方が上だ。今日の模擬戦でも縮地で動き回る二人に翻弄されてしまった。悔しい。


 模擬戦で頭と身体を使った後はお腹が減る。そんなタイミングで、甲板にアイさんが転移してきた。お昼の準備ができたらしい。なんと、今日のお昼は大魔王サン・リバイアの蒲焼きだとか。というわけで、今日の魔法の授業は終わり。嬉しい食事の時間だ。


 この間、アイさんが大魔王の一部を切り取って煮てみた。それを私もいただけたのだが、一口食べていだいたのが、ウナギだコレ! という感想だった。


 アイさん曰く、今回はそれを蒲焼きにしてみたらしい。甲板で食べることになったそれは、大魔王のごく一部。しかしそれでも結構な量になる。充分に満足できるだろう。


 おそらく炭によって香ばしく焼けたそれは食欲をそそる。タレの甘い匂いが、とても良い。


「ヨータ様、ここに居る全員で毎日サン・リバイアを食べたとしても、食べきるのに数十年かかりそうですよ」

「じゃあ、食べ終わる頃には、俺はお爺ちゃんだな」


 なんて、ヨータさんとアイさんが楽しそうに話す。私も、もっと彼と楽しく話したい。そう思うのは私が彼を好きだから。


 まあ、良い。私も大魔王の蒲焼きをいただく。目の前にご馳走があるのに、食べないのは損だ。皆で手を合わせ、昼食にする。リッチ先生は「良い匂いですねえ」と言いながら、食べられないことを残念がっていた。


 先生……匂いが分かるんですね。というか、元は彼のボスだったであろう存在を食べたがっていることにも、つっこむべきなのだろうか? なるべく気にしないようにして、蒲焼きにかぶりつく!


 瞬間、口の中に脂の乗ったジューシーなうま味がやって来た。ふっくらと肉厚なのに柔らかく、口の中で溶けていく。魚の身を食べているというより、まるで最高級の濃厚なスープを飲んでいるかのようだ。蒲焼きからこんな感覚が味わえるのかと深い驚きを覚える。


「おー! こいつは美味いぜ!」


 メグ師匠も満足しているらしい。ヨータさんも「美味い、美味い」と嬉しそうに話している。私も同意見だ。これはウナギの中でも最高の味。いや、大魔王がウナギなのかは分からないけど、そう例えるしかない。


 目の前にあった蒲焼きは、瞬く間に減っていく。一緒に出てきたご飯も、どんどん進む。はあ~、こんなに美味しいものが食べられるなんて幸せ。ただ、非常に濃厚な味だから、毎日は遠慮したいかもしれない。


 ヨータさんはどうやってサン・リバイアを消費していくつもりだろう? 大魔王はとても美味しいけれど、全部使うのは大変そうだ。私には、良い方法が思いつかない。探索者協会なら高く買い取ってくれそうではあるけど、それは少しもったいないかも。


「いやぁ、これマジで美味いな!」

「ヨータ様、さっきからそればっかりになってますよ」


 楽しそうなヨータさんに、アイさんが呆れたようにそう言った。そんな彼らに、私が「本当に、美味しいですよね」と言うと、ヨータさんは「そうだろう」と笑う。


「大魔王は美味い! 俺の目に狂いはなかった」


 そういう、子どもっぽいところも含めて、私は彼が好きなのだなと、改めて思った。

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