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時空戦艦VS大魔王

 時空戦艦へ戻り、艦橋の外に見えるのは大魔王サン・リバイアの姿。巨大な海竜は戦いの始まった時より確実に弱っている。が、その迫力は衰えない。凄まじくスケールの大きい敵だ。


「お帰りなさいませ。ヨータ様」

「皆も一緒だ」

「はい。皆様もご無事で何よりです」


 お互いに無事で、本当に良かった。アイによると、途中で幽霊系の魔物が侵入してくるトラブルがあったらしい。それらの魔物は警備ロボットたちによって退治されたとのこと。準備しといて良かったね。


「アイ、大魔王との戦闘には勝てそうか?」

「サン・リバイアは海面へ下降中。ダメージは確実に入っています」

「それは良い知らせだね」

「良くない知らせもあります」


 ふむ。良くない知らせか。気は重くなるが、聞くとしよう。


「時空戦艦もダメージが蓄積しています」

「つまり?」

「こちらも、海面へ下降中です。着水時の衝撃に備えてください」

「なるほど。皆、適当な席に着いてくれ。ちょっと揺れるぞぉ!」


 俺とアイの会話を聞いて、ルリカさんとリッチ先生は急いで近くの席に着く。艦橋だからね。充分な席がある。俺も、急いで艦長席に座るとしよう。


「メグ師匠も急いで」

「ん? あたしは体幹を鍛えてるからな。このままで良いぜ」


 えぇ……まあ、師匠がそれで良いなら。こちらも言うことは無いんですけどね。それと、アイも着水に備えた方が良いんじゃない? 艦長席のそばに立ってると危ないよ? 師匠はともかく、アイは心配になるんだよな。


「アイ。君も適当な席に着いてくれ」

「いえ、私はヨータ様の側に居ます。居させてください」

「分かった。そういうことなら」


 俺はアイを持ち上げて、そのまま一緒に席へ着いた。俺の膝にアイが乗る形になるが、こうでもしないと彼女が納得しないだろう。時間もないしね。ゆるせ、アイ。


「あ、あの!? ヨータ様!?」

「ほら、着水するんだろ? 皆、ショックに備えろ!」


 それから、ほどなくして時空戦艦に強い衝撃が伝わる。おおっと! まるで遊園地のアトラクションだ!これはこれで、結構楽しいかもしれない。


 衝撃は続く。サン・リバイアが着水し、海賊船団は崩壊。波は大きくうねり、その揺れは凄まじい。これでは立ってられないぞ。と、思ったのだが……あのーなんでこんな状況で普通に立ってるんですかメグ師匠。あなた時々人間やめてませんか?


「ヨータの兄さん! 敵さんは攻撃しようとしてるみたいだぜ? 口が大きく開いて、バチバチ光ってらあ!」

「なら、こっちも攻撃だ! 主砲、撃てるな?」

「なるべく水平を保つように船体をコントロール。いつでも撃てます」


 俺の問いに、膝の上でアイが答える。ほんと、頼りになる相棒だ。それじゃあ、そろそろ決着といこうか! 大魔王サン・リバイア!


「主砲! 撃て!」


 俺の声に合わせ、艦橋から見える景色が光でいっぱいになる。さあ、どうなる? ここは、なんとかなってほしいところだぞ!


「ヨータ様、こちらと敵の攻撃とがぶつかり合っています! こちらの優勢です! いけますよ!」

「いけえええ!」


 アイの言葉に俺も熱くなり、叫ぶ。俺が叫んだところで主砲の威力が上がるわけではないが。俺の願いよ! 届け!


 主砲の光が弱まっていく。こちらへ敵の攻撃が来る様子はない。つまり、押し切ったか! 大魔王よ。時空戦艦の一撃はどうだ?


 やったか……なに!? サン・リバイアは頭部を大部分を失いながらも、動いている! 大きく開いた頭から雷が放たれようとしていた。しぶといやつ! だが、今度こそ決めてやる。


「アイ、時空戦艦に残る火力を全て敵に叩き込め! 全ベットで行く!」

「フルバーストというわけですね。承知いたしました。時空戦艦の全火力で大魔王を討伐します」

「さあ、全弾発射だぁ!」


 そして、最後の攻防が始まる。こちらは残る武装を全て放つ。再び、主砲と雷とがぶつかり合い。その衝突を避けるようにして、魚雷やミサイルが敵に向かっていく。


 あとは、この攻撃で敵がくたばることを祈る。時空戦艦の全てを出しきってるんだ。どうか、敵をやっつけてくれ!


 光が弱まり、爆煙が晴れる……時空戦艦の総攻撃は一分も続かなかったと思う。終わってみると、あっという間だ。大魔王は倒せたか? 艦橋から見える巨体は動かなくなったように見えるが……どうだ?


「……大魔王サン・リバイア……完全に沈黙しました。海賊船団も壊滅した今、全ての敵が倒されました。オールクリアです」


 淡々と状況を告げるアイを見て、俺はようやく安心することができた。一息ついて、皆に「俺たちの勝利だ」と短く言う。少しの間があり、それから艦橋にワッと歓声が響いた。


「皆が無事で何より。さて、これより倒した敵から戦利品を回収する。祝賀会はもうちょっと待ってくれると嬉しい」

「それより、私はちょっと休みたいです」

「わ、我も全力を出しきりました。気持ち的にも、ヘロヘロですぞぉ……」


 ルリカさんとリッチ先生は限界か。でも、このままだと海に色々沈んじゃうからなあ。回収は急ぎたい。後でサルベージするってのも楽しそうではあるんだけどね。


 そこでアイが俺に「良い考えがあります」と言う。どんな考えだい? 聞かせてほしいな。


「時空戦艦のロボットたちに戦利品の回収を手伝わせましょう。ひとまず、時空戦艦は討伐した大魔王を収納します。ヨータ様のご要望に合わせて、調理しますよ」


 俺が大魔王を倒す目的は、やつを食べることだ。アイはそれを覚えていてくれたね。ロボットたちは戦艦の外に出しても大丈夫かな? 心配ではあるが、俺も結構疲れてる。


「……ここはアイの提案に賛成しようかな。で、俺も行く。バンノウマルを出してくれ」

「承知いたしました。魔王たちとの決戦の直後です。くれぐれも無理はなさらないでくださいね」


 ああ、分かってる。無理はしないよ。大ボスは倒したし、この後はリラックスしてやっていこう。

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