ルリカ視点、ダンジョンの外のおじさん
今日も、道場へヨータさんがやって来た。メグさんに剣を学びに来たという彼は、凄まじい速度で技術を学んでいるように見えた。その割に体は結構固かったりして、柔軟運動のたびにヒーヒー言ってる彼には、微笑ましさを感じる。
「柔軟運動は苦手だなぁ」
そうぼやく彼に、メグさんは容赦なく指導する。頑張れ、ヨータさん。あなたには私の憧れであり続けてほしい。
ヨータさんは柔軟運動が苦手。その代わり、他の稽古では輝いている。なんでもすぐに覚える辺り、彼は天才なのだろう。私も頑張らなくては!
しばらくして、今日の稽古が終わる。メグさんは今夜も時空戦艦の温泉に行くと言う。よっぽど気に入ったのだろう。ヨータさんが「構わないよ」と言うので、私もメグさんに同行する。ここだけの話、あの湯に浸かると肌がスベスベになるのだ。とても嬉しい効能で、同時に不思議。
時空戦艦に到着し、湯に浸かる。その後、通路で会ったヨータさんが「クラーケンの料理とか、興味あるかい?」と話してくれたので、ごちそうになることにした。ただ、色々と貰いっぱなしは悪い気もする。今度、何かお返しを考えよう。
食堂に行くと、アイさんが待っていた。和装のメイド服がよく似合っている。彼女が言うには、クラーケンの料理を少し作りすぎたとのこと。
「クラーケンのイカ焼きの他、天ぷらや、シーフードシチューなども作ってみました。しかし、作りすぎてしまいまして……」
そう言ってアイさんは困ったように笑う。そういうことならと、私はヨータさんと共に、食事をいただくことにした。ほどなくしてメグさんが来て、アイさんから事情を説明される。彼女も嬉しそうに席に着いた。
アイさんが作った料理はどれも美味しい。イカの肉はジューシーで、噛むほどに幸せになる。量はあるが、稽古でお腹を空かせていたため、いくらでも食べることができた。
食事の場でそれとなく、ヨータさんの好きなものを聞いてみた。彼はゲームが趣味で特にシューティングゲームをプレイするらしい。後は美味しいものが好きとのこと。特に甘いものが好きらしい。彼のことを、さらに知れて嬉しい。
ヨータさんが甘いものを好きなら、埼玉の美味しいお店を探してみようかな。たぶん相談すればメグさんが力になってくれると思う。普段のお礼として、甘いお菓子を喜んでもらえると良いのだけれど。
満足感を覚えつつ「ごちそうさまでした」と手を合わせる。この後、ヨータさんはゲームセンターで少し遊ぶらしい。なんでも、今は越えるべき相手がいるのだとか。ゲームの話だろうけど、彼が越えるべき相手とは、どのような人物だろう。気になった。
だからというわけではないが、私もヨータさんに同行して良いかと聞いてみた。ヨータさんが「良いよ」と言うので、その言葉に甘えさせてもらうことにする。さっきから彼に甘えすぎかも?
アイさんは、ゲームセンターには来ないそうだ。この後、ヨータさんのダンジョンでの活動についてハナヤギ会長に報告しなければならないのだとか。お疲れ様です。アイさん。
メグさんもゲームセンターには来ないとのこと「二人で楽しんできなよ」と言われてしまった。もしかしたら、メグさんは私の気持ちに気付いているのかもしれない。
そんなわけで、ヨータさんと共にゲームセンターへ。時空戦艦を使えば簡単に場所を移動できるので、とても便利だと思う。ほどなくして目的のゲームの筐体に到着。今は他の人がプレイしているようだった。
「少し、他のゲームをみて回ろうか」
ヨータさんは頬を掻きながら言う。私は同意して彼と共にゲームセンターを回る。人気のリズムゲームだったり、クレーンゲームだったり。楽しそうなゲームが色々ある。
ヨータさんが、ある筐体の前で足を止めた。朝のニュース番組に出てくるショートアニメのキャラクター。その人形が、クレーンゲームの景品になっている。ふぅん、こういう可愛さも好きなんだ。
「ヨータさん、このキャラクター好きなんですか?」
「ん、ああ。まあね。でも俺はクレーンゲームは得意じゃないから」
「なるほど、そういうことでしたら。役に立ちますよ」
私は、こういうゲームは得意なのだ。任せてほしい。張りきる私に、ヨータさんは何か言おうとして、止まっていた。こういうのは逆じゃないかとか、そういうことを考えているのだろうか?
私はクレーンゲームにコインを投入し、クレーンを操作する。一時期はやり込んでいたこともあり、楽に猫のキャラクターをゲット! ヨータさんに小さな人形をプレゼントする。
「はい! ヨータさん」
「ああ、ありがとう。今度お礼しなくちゃな」
「いえいえ、お礼というならこちらの方ですよ。普段のお礼です」
ヨータさんは少し迷った様子を見せつつも、私からのプレゼントを受け取ってくれた。これで、少しはお礼になると良いけど、そんなことを思いながら、私たちは共にゲームセンターを巡る。
良い感じのお店だった。ただ、全身に包帯を撒いた店員さんを見かけた時は流石に少し驚いた。




