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初めての大冒険の終わり

 数日後、俺は時空戦艦の自室でくつろいでいた。住居は別にあるけど、こっちに住んでる方が快適なので仕方ない。今後は基本こっちで暮らすだろうな。とはいえ、住所はあった方が良いので、残しておく。色々と面倒くさいよね。


 渋谷ダンジョンの大冒険が終わり、会長経由で魔物の素材を買い取ってもらった。ダンジョン近くの建物で大量の素材を出すと、変に注目されることは間違いない。それは嫌だからな。会長には感謝だ。変に値切られたりもしなかったからな。


 魔物の素材がトータルで億を越える値段になったのは驚いた。黒いワイバーンの素材が特に貴重なものだったらしく、非常に高い値段で売れた。


 実は同じ素材はまだたくさんあるため、もう少し売ることも考える。でも、せっかくの素材は使いたいし、悩むよねえ。


「……ヨータ様、失礼します」

「おう、入って」


 部屋に入ってきたアイを迎え入れる。今見ても綺麗な姿だと思う。実は間接が球体になっているらしいが、むしろそこが良いかもしれない! 服を着てもらっていれば隠せるくらいのものだし、問題にはならないだろう。


「ヨータ様、体の具合はいかがですか?」

「もうすっかり良いよ。今の俺の体、治癒力も凄いんだなぁ」


 ポーションを飲んで、飯を食って寝たら、体の傷はすぐに治った。前から思ってたけど、俺の体は色々と人間をやめてしまっている。せめて精神性は普通のおじさんのままでありたいと思う……今も俺の精神は普通だよな……?


「……ま、細かいことは気にしてもしょうがないか!」

「体調の問題は細かいことではありません。今後は私がヨータ様の健康管理もサポートします」

「気にしてたのは精神面の方だが……健康管理はほどほどに頼みますよ。アイさんや」

「はい。ほどほどに、しっかり管理させてもらいます」


 ほどほどに、しっかりって日本語おかしくない? アイはちゃんと分かってんのかね?


「さて、ヨータ様。体調も回復してきたとのことですが、今後はどのような計画を立てますか? 渋谷ダンジョンで得た報酬があれば、しばらくは生活に困らないと思われますが」

「だねえ。税金払ってもまだしばらく生活できるっていうか、後数回ダンジョンに潜れば一生食っていけると思う」


 だから、ぶっちゃけしばらくはダンジョンに潜る必要もない。必要はないが、俺は冒険を続けたいと思う。今回の大冒険だけでは全然足りないのだ。


「また、ダンジョンに潜りたい。だけど渋谷ダンジョンは今、閉鎖されてるんだよなぁ」

「今は自衛隊が渋谷ダンジョンを調査していますからね」

「日本にゃ他にもダンジョンはあるし、ちょっと遠出するのも良いかもな」

「そのことなのですが」


 ん、アイ。何か言いたいことがあるのかい。気になるね。聞かせてくれ。


「太平洋の海底に新しいダンジョンが発見されたようです。気になりませんか?」

「新しいダンジョンか。しかし、海底ね……時空戦艦を使えば行ける気はするが、色々と大丈夫なのか?」

「大丈夫なのか、と言いますと?」

「いや、勝手に行って怒られないかなって」


 俺の言葉を聞いてアイが「ふふっ」と笑った。まさかとは思うけど、バレなければ問題ないとか言い出さないよね? ちょっと不安だぞ。


「ひとまず、ハナヤギ会長に相談してみては? せっかくコネクションがあるのです。使わない手はありません」

「会長なぁ……色々頼みすぎると後で面倒なこと頼まれないかなあ」

「あの手の方は、遅かれ早かれ面倒ごとを持ってきます。ならば、その前にこちらから利用し尽くしてしまいましょう」

「なるほど……」


 アイったらしたたかだねぇ。どうせ後で面倒に巻き込まれるならば、先に借りを作ってしまえということか。ある意味では良い考え……なのか?


「……分かった。会長に話はしてみよう。まあ、行けたら良いね。くらいの気持ちでな」

「ヨータ様の頼みは聞いてもらえると思いますよ」

「そうかな? 次の冒険に備えてちゃんと準備もしておきたいな。米とか、調味料とか、いっぱい準備していきたい」


 今度の冒険は今まで以上にちゃんと準備していこう。そのためにも情報収集! 買い物! ファクトリーの稼働! やるべきことはやっておこう。そう思うと、なんだか体がうずうずしてきた!


「……それと、ヨータ様。今回、魔王種の魔石を手に入れたことで時空戦艦の機能を拡張することができそうです」

「時空戦艦の機能拡張!? そんなことができるのかい?」

「機能の拡張には様々なプランがあります。一緒に考えましょう。それと、ヨータ様。張り切るのは良いですが、あなたにはもう少し休養も必要です」

「そうかな?」

「はい。ですから、趣味でも楽しみつつ、ゆっくり次の冒険への準備を進めましょう。会長との話にも少しの時間はかかるでしょうし」

「まるで、アイにはなんでもお見通しだな」

「知らなかったんですか? 私には、たいていがお見通しです」


 ふふんと胸を張るアイがかわいい。彼女が相棒で本当に良かったと思う。


 きっと、これからも俺とアイの冒険は続いていくのだろう。今は、次の冒険への準備期間だが、今後の冒険もよろしくな。アイ。


【第一部。渋谷ダンジョン編、完】

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