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お父上様のご意向ならば

クロード様に我が家への招待状を送った翌日、お父上様に呼び出された。いつもお忙しいのに日も高いうちにお帰りとは珍しい。


「やあ、急にすまないね。少し話があるんだが時間は大丈夫だったかな?」

「はい、もちろんです」

部屋にはお母上様もいらっしゃる。お二人とも少し緊張しているご様子。これは…ついに天下取りへの大きな一歩を踏み出すご指示か?


「その、先程国王陛下から打診があったのだけどね。我が公爵家に、というかキリーに、なんだ」

複雑そうな顔で話し出すお父上様。お母上様はその姿を見て僅かに笑っていらっしゃる。


「その…、王太子様の婚約者にぜひとの話なんだ」

「承知致しました」

「え」

即座に了承すると、下を向いていたお父上様がガバッと顔をあげる。


「考えなくていいのかい?結婚だよ?次期王妃になるってことだよ?」

「元よりお父上様のご意向に全て従うつもりです」

拒否権などあるはずもない。


「キリーが嫌なら断るよ??」

「まぁまぁ、即答するってことは、キリーちゃんも王太子様のことが好きってことでいいんじゃないのかしら?」

なぜかオロオロするお父上様を、お母上様がやんわりと制する。


好き?…いや、忍びに感情などないのだが。

第一王家としてもわが公爵家と縁を結ぶのは利があると判断しての打診だろう。家と家の婚姻に好きも嫌いもない。

それとも…わが公爵家に謀反の気配を感じての人質だろうか?


「成婚はいつになるのでしょうか?私はあちらに移り住むのですか?」

「せっ…!?そんなに好きなのかい?!」

?当然の疑問かと思ったが


「2人ともまだ8歳なんだし、実際に結婚するのはまだ早いわよ。この国の法では18歳にならないとできないのよ」

「18…!?」

なんと!それでは子作りは婚姻後急がなければ大変ではないか!


「私…たくさん産めるでしょうか」

「え、急に何を…」

「実は先程も悩んでいたのですが、今度クロード様をお招きする際、どのような趣向にすればよいのか」

そう、私が日中に屋敷にいたのは理由がある。

「ねぇ、キリーちゃん。お母様、すでに嫌な予感がするの」


「殿下の好みがわからないので、宴にはあらゆる種類の美女を用意しようと思っているのです。下は3歳から上は…」

「はい!ちょっとストップ!」

お母上様からの静止を受けた。なぜだ


「あのね、殿下はキリーちゃんと遊びたいだけだと思うのよ?大人びた方ではあるけど8歳よ8歳?」

なるほど。私は手頃な遊びか。

「だからね、女の子を用意した宴の必要はないし、なんなら向こうは婚約の挨拶に来たいんじゃないのかな〜って思うのよ?」

婚約の挨拶?


それまで複雑そうに黙っていたお父上様が口を開いた。

「キリーがこの婚約に乗り気なのならすぐにでも王家に返事をしよう。でも、その後成長につれてでもこの婚約が嫌だなと思ったら我慢しないでいいんだよ?」

「御心、確かに承知致しました」

王太子がただのうつけだと思った時は…始末せよとのことだな。


「うーん?なんだかまたすれ違っているような…?」

お母上様が首をひねらしながら呟く。


とにかく、この婚約により王家とわがエイル公爵家との縁が結ばれることと相成った。

前世忍びだった私が異世界にて突然王太子の婚約者になっちゃいました。

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