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的外れな決意

「最近2人きりでよく会っているらしいね」


いつものように王城に呼び出されたある日、クロード様が仰られた。微笑んではいるが何やら不機嫌なご様子。仲間はずれにされたようで寂しかったのだろうか?


「いや、違うからな?楽しく遊んでるとかじゃなくて、いかれた鍛錬で痛めつけられているんだ!」

「痛め…?確かにガルシアは今日も何故かボロボロだけど…」

昨日の修行により負った傷がまだ治らないらしく、包帯を巻いている。


「鍛錬と称して滝に打たれたり変な草飛び越えたり、川の上を沈まないうちに走れとか犬に追いつかれないよう逃げろとか!俺は半殺しの目にあっている!」

「違う。全殺しするつもりで鍛錬している」

「なお悪いわ!」


ぎゃあぎゃあと騒ぐカエル少年を適当にあしらいクロード様を見やる。不機嫌さは消え、軽く引いている様だが。はて?


「ズタボロで帰ってもガルシアの親は何も言わないのか?」

「俺の一族は脳筋一族だから…。鍛錬してたって言うと、いいぞ!もっとやれ!って感じで…」

とため息をつくカエル少年。ふむ。どこのお家にも事情はある様だ。


「エイル公爵家は……多分諦めているんだろうね」

諦める?何をだろうか。お父上様の手足となるべく努力しているのだが。


ともかく仲間はずれにして遊んでいるわけではないと理解したのか、クロード様は納得されたご様子だ。

「次は僕も参加する」

いや、してないな。


「無理無理無理無理!あんな鍛錬させたら俺たち王室に処刑されるから!」

「左様にございます。万一お怪我などされますと一大事にございます」

「えぇ…僕はどれだけ軟弱だと思われているんだろう」

即座に否定され萎れたようで、しゅんとなるクロード様。なんだ、急に子供らしいな。ふむ、お父上様のためにもあまり機嫌を損ねるわけにもいかない。


「…では、今度クロード様だけをわがエイル公爵家にお招きいたします。最高のおもてなしをいたしますので、ぜひご足労いただければと」

「行こう」


即答。


「この機会にキリーのご両親にもぜひご挨拶をさせていただきたい。」

「いや、我が父は宰相ですので会っておりますでしょう?今日もこの王宮に参上いたしているはずですが…」

「いや、王太子としてではなく、キリーの友人として挨拶をしたい。」

変に義理堅いのだな。


「あ、じゃあ今度俺ん家にも遊びにきてくれよ!」

カラッと笑って誘うカエル少年

「バルク公爵家に?なんだか汗臭そうだな」

「おい!」

「ふっ…冗談だ。ぜひご招待いただこう」

楽しそうに笑うクロード様を見て、良き友人を得られたのだなと思った。

この先どうなるかはわからないが、願わくばこのまま良き関係のままで、もしも残念ながら敵対してしまった時は友人として苦しめずに始末してやろうと決意した。




その数日後、王室からの使いに我が公爵家は大騒ぎとなるのである。



キリーはいまだ脳内一人乱世中です。

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