リリフィアーネ「休暇で実家、まあ何の変哲もないよね」
現魔王陛下が統べているこの国家が、この大陸唯一の国だ。魔族が強者至上主義でなければ、魔生物のひしめく森に分断された小都市群をまとめきるなど不可能だろう。商人に伝え聞く分には、この大陸の東と南にも大陸があって人間が治める国ばかりだけど、どこかしらで戦争が起きているのだとか。この大陸は見た目が違うことによるような人種差別などないし、精神的に住みやすいからか大勢の者がやってきている。
まあ、人間の文明よりずっと魔法が進んでいるっていうのも大きいと思うわ。陛下は寛大な方で、魔族のための学校に人間の留学生を迎えるくらいだもの。うちの技術、盗めるものならやってみろって気概がしびれるわ。あら、もうこんな時間?門がつながる時間ね。
緑に輝く光溢れる門をくぐれば、懐かしい空気が私を迎えてくれる。木々が若葉を揺らし、そこかしこを小さい羽妖精が飛んでいる。
「あっ、りりー!おひさー!」
「りりーだ!おみやげ、ない?」
手のひらサイズの昆虫の羽を持つ妖精たちがわらわら寄ってくる。この子たちは妖精種の中でも妖精らしい。甘いものと悪戯が何よりも好き。別に空気中の魔力を吸っていれば死ぬこともない。寿命はあるけど。魔族としては真ん中くらいの五百くらいだ。飴をばらまいてやった。
森の中にかすかに見える道を進んで我が家に向かう。その途中途中で幼馴染たちと会う。カラフルな色霊族の兄弟とか、買い物中の家妖精とか、真面目な小人たち。うちの領はのんびり屋さんと芸術家が多くって、そこかしこに妖精種が転がって絵を描いたり、楽器を弾いたりしていて、他の妖精種に世話を焼かれている。帰って来たんだなーって感じがすごくする。
しばらく進めば屋敷が見えてきた。ちょっと大きめの木造の屋敷だ。樹とは融合こそしていないが、一年中咲き誇る桜が寄り添うように生えている。うちの人間が死ぬと一年だけ完全に散ってしまうんだって。
「リリー!やっと帰ったのね!」
「久しぶりだね、リリー。父上と必死に母上を止めたんだけどね……」
「アリィは君を迎えに城に行くところだったよ」
年齢不詳の浅黒い肌の肉感的な美女の母アリアンナ、目つきは鋭く、全体的に母方の血が濃いが人の好さがにじみ出る兄フィエルナディ、ぽややーんとした金髪緑眼のイケメンが父ユウレルだ。
「いやー、結界を調節するのに人が足りなくてね。できれば手伝ってほしいんだけど。アリィとナディは役に立たないし」
「ちょっとユー!その言い方はないんじゃないかしら」
「あ、ごめん」
「まあまあ母上、事実ですし、僕らは魔生物退治に行きましょう」
「そうね!できればフィジーバルテを狩りたいわ。リリーの好物だもの」
基本的に気まぐれな妖精種だから、母はあっさり兄と狩りに出かけた。領付近の魔生物を減らすのは貴族の勤めの一つだ。そしてもう一つの仕事が、結界を張り、維持することである。
この世界の魔法は陽と陰に大別される。一般的に言われている大まかな違いは、陽は存在しないものを作り出し、陰は既に存在するものに作用するということだ。陽魔法、陰魔法でできることは、工夫すればそんなに変わらない。陽魔法の使い手は火を生み出すなら陰魔法の使い手は熱運動を使うとか。ただ、陰魔法は魔力量以前に法理――前世で言うところの科学――が理解できないといけないし、その理解度によって魔法の強弱が変わるので、強力な陰魔法使いは陽魔法に比べて少ないのだ。
陰陽二つの魔法に分けているのは、それぞれにどうしてもできないことが含まれているからだ。陰魔法は魔法生命体の創造ができない。陽魔法は変化を魔力なしに維持できない。
で、話を戻せば、私と父は陰魔法使いである。母と兄は陽魔法使いである。父が二人を役立たずと言った理由がお分かりいただけたと思う。結界の調整や修復は陰魔法特有なのだ。私は転生した当初は陽魔法に強い憧れを持っていたんだけど、現実は非情だよね……。
父について結界維持施設に向かう。と言っても屋敷にくっついている。
施設の中央には透き通った緑色の正八面体が円柱のガラスケースの中で回転している。ガラスケースにはびっちりと魔法文字と幾何学紋が書かれていて、幾重にもセーフティーネットが張られている。つまり、上中下に同じ模様が描かれていて、どこかが消えても何とかなるようにしてある。今回は上段の一部と下段の一部を修復しているらしい。ふむ……。
「魔生物の認識を段階的に強める術式?」
「流石、僕の愛娘!領民たちの訓練にいいかと思って試験的に導入するんだ。この六線星型は去年発表されたばかりの新技術でね、月を入れることで月齢に対応した……」
父の語りが始まってしまった。父は魔法学者なのだ。魔法のことになるととにかく長い。まあ、魔法は好きだから聞くけどね、もう少し要約してくれるとありがたい。
「それで、この結界システムは問題なければ淡く発光するだろう?だから実証にぴったりだからさ」
結界システムで実験すんなおい。国の備品だぞ、父よ。言っても無駄なので公爵様に後で連絡しよう。兄は聞いてもないだろうし。
「で、父様、私は何すればいいの?」
「うん、妖精銀と珠精の花弁を精霊酸で溶かして熱してくれる?揮発しないくらいの温度……五十度を保って混ぜて。全部溶けてもその状態を維持。私はその間陣の下書きをしているから」
「わかった」
ビーカーに蒼い銀と丸みがかった半透明の宝石みたいな珠精花弁、薄紫色の靄を入れて魔法で攪拌及び加熱をする。温度計も差す。
この作業の肝は一定の魔力を注ぐこと。この作業が地味に難しい、らしい。個人的には自動車の速度を制限速度に保つくらい楽しいと思う。まあ、一部の魔族を除くと気分屋が多いからね……母なんかは壊滅的だ。
しばらく機械的に魔力を注いでいると薄蒼い液体になる。うん、こんなもんかな。父に渡すとこんなことを言った。
「いやあ、リリーは相変わらず調合とか細かいこと得意だねえ。私が作ってもここまでの出来は早々出来ないよ!城勤め辞めて私の助手やろうよ」
「えー、今の職場気に入ってるからヤダ」
父様の話長いし。
「そっかー、結界維持用に誰か派遣してもらうようかな?」
「あと五百年は父様生きてるじゃない。その間に兄様が陰適性の子供作ればいいと思うよ」
「研究に打ち込みたいんだけどねぇ」
父様は悩ましげにため息をついた。あまりの艶めかしさに、耐性のない女性たちは声にならない悲鳴をあげて気絶するに違いない。しかし、実の父なので成人するまでの百五十年は毎日見てたから、特に感慨はない。美形も毎日見ると慣れるよ?
なんだかんだで結界の修復は上手いこといった。それでご飯なう。母様と兄様は運良くフィジーバルテを数羽狩れたらしい。加えて、マダラシシ一頭、ブルーチェリルを沢山摘んできた。一応全部魔生物で、中級個体だ。体を動かすのが好きな二人は始終笑顔だ。
うちに居着いている家妖精に頼んで、フィジーバルテは照り焼きにしてもらい、レレスの葉と一緒にパンに挟んでかぶりつく。し・あ・わ・せ〜!家妖精のシェイ渾身のクリームシチューは具沢山で、野菜の甘みと肉の旨みが止まらない。使わなかったマダラシシはベーコンにするってシェイが言っていたので、帰る時に少し分けてもらおう。
舌鼓を打っていると母が原爆を投下。
「リリー、そろそろ結婚なさいな」
「ごほっ、!?」
「貴女もうすぐ妖精族の中でも売れ残りになってしまうわ」
「まあまあ、その話だけどリリーにはまだ早いんじゃ……」
「ユーは黙ってて!」
父様頑張って!私まだ二百だよ。人間に直しても二十くらいだよ!
「でも母さん、リリーは上級魔族並に魔力が高いし、あと五十年くらいは誤差じゃない?」
よく言った兄様!その通りだよと首を縦にぶんぶん振る。
「この子、浮いた話一つないのよ!この年まで恋人一人いないなんて……よよよ」
「その心は?」
「フィベルテ侯爵家から縁談が来ました。断れないからとりあえずお見合いしてこい」
フィベルテ侯爵!?南じゃ珍しい生真面目さで有名な騎士の家系?確か神狼族だったような。前に見かけたな、飛び出た耳と尻尾に悶えかけた……嘘です、悶えました。
「アリィ、それ、嘘じゃないよね?」
「本物ですー。疑うなんてユーったらヒドイ」
「うわぁ、超優良物件じゃないか。リリー、王都で何したの?」
「何にもしてないよ!真面目に働いてただけ!」
超優良物件とはいえ私の残業なし生活を壊してなるものか。頑張って破談にしたい。結婚したら、家でずっと奥様の仮面被んなきゃだよ、それはイヤ。
「見合い、一月後ね」
拒否権はないようだ。よよよ。
その晩、父のことを通報すべく公爵様宛に手紙を書く。
「召喚『夜渡りの白』」
私自身は召喚魔法は使えないのだけど、主様が作った魔法生物を呼び出せる魔道具をいただいている。私用にも使っていいとのこと。
そうして現れたのはフワッフワの白い梟。首には紅いリボンがゆらゆら。
「こんばんは、シフォンちゃん。これをね、公爵様に届けてくれる?」
「ふるっふー」
桃色の封蝋で閉じた手紙を渡す。任せろって胸を張る仕草が可愛らしい。そこからズブズブと影に沈んでいった。
「やあやあ、お帰り」
「フェル!久しぶり〜」
窓辺に緋銀の髪と翠の目の少女が現れた。桜の樹精霊だ。
「今日は女の子なのね。はい、お土産」
「くぅー、リリーってばわかってるぅ」
亜空間から取り出したのは王都でかき集めた各地のミネラルウォーター。桜だからね、物は食べないのですよ。
「あとね、口に合うかわかんないけど、お酒買ってきたの」
ででん、と取り出したのはライシィという穀物から作った透明な液体。……日本酒っぽいやつですよ!妖精種(但し鍛冶妖精は除く)は酒に弱いので私は一口で限界だったけど、美味しかった。実は醤油や味噌もショーユ、ミースオと若干訛った名前のほぼ同じ物が存在する。過去の転生者に、黙祷!
「わー、これ美味しい〜、あははー」
樹精霊も酒に弱いらしい。本体は馬鹿でかいからいけると思ったのだが。フェルは笑い転げてふわっと解けるように消えてしまった。
私も寝るか。
まあぼちぼちのびのび休暇を楽しんでいた時だった。兄様の恋人を紹介されたり、公爵様からお返事が来たり、料理上手な友人から新作の菓子を分けてもらったり、フェルと買い物に行ったり、知り合いに小説を貰ったり。サイン入りだ。むふふ。再来週に迫った見合い嫌だな〜とか考えつつ。割愛するが、思う存分実家を堪能していた時だった。
「あれ、ヴァン君?どうしたの?」
庭に一羽の鴉が。首には見覚えのある紅いリボン。主様の魔法生命体その二、『昼渡りの黒』だ。手を差し伸べればこちらに飛んでくる。そして嘴で器用に私に手紙を渡す。封蝋は紅。
「主様!?」
急いで自室に戻って封を開ける。なになに……
『もう無理。帰ってきてくれぬか……』
ダイイングメッセージの如き、普段の達筆な筆跡など見る影もない、腐人族な文字だった。これで可読性が確保されているのが恐ろしい。
と、とにかく主様の危機っぽい。あの主様の危機って想像つかないし、私如きが対応できるとも思わないが、いい雇い主であるし、私を呼んでなんとかなるから呼んでいるはずなのだ。着の身着のまま飛び出そうとした時、上空に影が射した。
「竜!?」
小型の騎竜とはいえ、誇り高く基本的に懐かない。乗れるのは仲のいい竜人か認められた者だけ。さらに言えば、竜人の領地外だと王城に仕える竜しか見られない。私も城勤めの端くれだから見たことはあるが、実家付近だと全く見ない。父様に連絡しなきゃ!
「あ、リリフィアーネ殿ですか!?手紙で〜す」
と思ったら暢気な声が降ってきた。しかも知り合いだ。
「……ハイデン殿、竜で来るなら来ると言ってください」
「あはは、手紙より早く着いちゃいますよね!」
「蜘蛛水晶があるでしょうが!」
蜘蛛水晶とは電話みたいなものである。陰陽関係なく使えるのだが。
「あんな精密魔道具、使えんの神経質な奴ばっかりで頼みたくない」
「そんなに難しいかしら。あ、そう言えば主様使えない……」
「俺は結構適当なリリフィアーネ殿が使えることの方が不思議っすよ……それに緊急時以外正式なお知らせは蜘蛛水晶じゃできないっすから」
ホイ、と橙の鱗が所々に生えた手で気軽く渡された手紙には、王家の封蝋が。
「ちょっ、これ!?」
「あ、大したことは書いてないそうっす。レーベル殿が言ってました」
レーベルとは近衛隊副隊長だ。主様のご友人でもあるし、一応ハイデン殿の直属の上司でもある。大したことないならここで読んでも問題あるまい。ふむ。
『貴殿でないと完全な解決はできない些細な重大事件が発生している。明日の朝にでも出発してくれ。カーネスの手紙は無視しろ。これは王命である。
カイゼルスト・ツォレル・フォン・アヴィルデラータ』
よくわかんないけど、急ぎではないらしい。因みに、一介の侍女がなんで王と知り合いかといえば、王と主様が幼馴染で、王は主様を攫って執務を偶に抜け出すので、レーベル殿やクロヴィス殿(王の秘書官)とよく協力して連れ戻すからだ。
「うーん、何が起きてるんだろう?」
「さあ?俺は警備でも外回りが主っすから城内のことはなんとも」
「ああ、貴方飛ぶのが速いってだけで採用されたんでしたっけ」
「えへん」
褒めてねえよ。言わないけど。曖昧な笑顔でぼやかす、これは日本社会人の必須スキルだと思う。まあ、もともと魔族は自分に関係ないことは放置だ。
「にしても、もうすぐ出て行ってしまうところでした」
「いやー、宰相の魔法生命体、足速いっすね!俺、何が何でも宰相の手紙より早く着け、届けろって言われたんすよ」
「……黙っていてあげましょう」
「あざっす。今度なんかお礼持ってきます。じゃあ、俺はこれで」
彼は騎竜に飛び乗って風を巻きあげて去っていった。リアル嵐である。
とりあえず、急ぎの用事が消えたのでちょっとノンビリしよう。午後はお土産でも買おうかな〜。
フェルとショッピングなう!二人で並んでお店を冷やかす。この領は気まぐれな人が多すぎて、同じ人が店をしてても毎日店が変わるなんてこともある。昨日菓子屋だったのが、今日は薬屋なんてザラだし、そもそも開いてない、なんてことも。そんなんだから立派な店なんてなくて完全に縁日、よくて市場って感じだ。
「あ、月光花と星屑草だ。妖精銀も売ってるね、純度も申し分ない」
「え、本当!?」
フェルは樹精霊なので植物に詳しく、また間違いがない。今フェルが言った植物はこの領付近でしか取れないレア素材である。薬師の友人に買っていこう。泣いて喜ぶと思う。妖精銀は父が多用するのでそれも買う。
「お嬢さん、お目が高いねえ」
「ありがとう。オススメの店とか、ある?」
「んー、若い娘さんならゼバルの銀細工や木工細工なんかいいんじゃないか?一本向こうの通りの緑の看板が目印の店だよ」
「ありがとう、行ってみるわ」
羽妖精の店主が教えてくれたお店に行ってみる。すっごくわかりづらかった。緑の看板、紛れてよく見えない。
「こんちはー」
「こんにちはー」
「……らっしゃい」
おおう、珍しい、鍛冶妖精だ。鉱物サイコーって年中言っているような種族なので、あんまり鉱山から離れないのに。
「あ、これ可愛い」
「あ、本当だ。フェル、お揃いで買う?」
「いいの!?」
基本的にフェルは必要ないからお金を持ってない。私は高給取りだけど、本くらいしか買ってない(因みに魔大陸では紙は安い)。
よって目をキラキラさせてるフェルに買ってあげないなんて有り得ない選択なのだ!
鍛冶妖精が作っただけあって、魔道具の素体になりそうなお洒落なアクセサリーもお土産に買い込む。
私達はそれぞれの瞳の色を交換するように木製の髪飾りを選んだ。私は翠玉のはまったものを、フェルは紫玉のはまったものだ。
二人でにっこり頷いてお店を後にした。
朝、公爵領への転移門をくぐり、転移陣で王都に戻る。見合いはどうするんだと母が言っていたが、私には聞く耳がない。ないったらない。
王都の喧騒が久しく感じられる。普通の魔族にとっては二週間など、人間にとっての一日半であるが、私はもともと人間なので満足だ。これ以上働かないと、逆に駄目になってしまいそう。
荷物を持って――と言っても、亜空間にしまいっぱなしではある――登城する。いつもは傷ひとつないピカピカのお城なのだが、今日はなんだか一部で鍛冶妖精や家妖精たちが城の修復作業をしているらしく、とんてんかん、とんてんかんという音がどこを歩いていても微かには聞こえる。
すれ違う知り合いに、もう復帰するの、などと言われるのではなく、戻ってきてくれたのね、的な挨拶が多くて、本当に何があったのか不安になる。
首を傾げながらてくてくと人事部の方へ出頭する。
「こんにちは、リリーフィアーネ戻りました」
「待ってましたよ!本当に申し訳ないのですが、今日の午後からブラディーネル宰相様付きの侍女をやっていただけませんか?」
「はい?それだけでいいんですか?陛下から重大事件と伺ったのですが」
「はい。貴女が戻るということが大事なのです。それが唯一の解決策ですから」
人事部の職員がなにやらニコヤカに微笑みつつ、有無を言わさぬ様子で私に戦闘服を手渡した。戦闘服は支給品であり、毎日家妖精たちによって洗われた清潔なものを使うことになっている。
「期待していますよ」
「はあ……」
私が微妙な返事をするのも仕方ないと思う。だって何の説明も無いんだもの。
二週間振りに制服に袖を通し、髪をシニョンにして主様の執務室へ向かう。なんだか緊張するな……。ええい、女は度胸!
コンコンコンコン。
リズムよく四回扉を叩く。
……おかしい、反応がない。いつもなら入れと一言許可が下りるのだが。
仕方がない、私の勇気を無駄にしてなるものか。そーっと、そーっと扉を開く。
「……誰もいない?」
すると部屋の奥――正確には机の下からガタガタっという音が聞こえた。
「リリーか……?」
そーっと、ひょっこり頭が半分ほど机の天板から飛び出た。
「そうですよ。只今戻りました」
よくわからないが、あの鬼畜と名の知れた主様がよもやこのような可愛らしい反応をするとは……!!一生覚えておきたい!幸い妖精族は記憶力がいい。私は少し悪いけど……。
ストックが切れるまでは、コツコツ投稿します