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黒き乙女の鬼語  作者: 紅河崎アリス
人魚姫
72/79

女。

条件さえ整えば連中はなんだってする。

それが心配だ。

〜未詳〜

いつの間にか先ほどまでの晴天は消え辺りには薄暗く重苦しい雲が立ち込め始めていた。


観光客達の姿は砂浜からは消えている。


どうやら、人払いは既に済んでいるらしい。


まあ、どうせ最初から私達を狙う予定だったのだろう。


これくらい当然か。


そんな事を考えながら右手を振るう。


右手を振るった先にあるのはこちらに振りかぶられている風下の日本刀。


その刀身を振るった右手で払いながら空中で回し蹴り。


それを風下は刀身の鞘で受け止めつつ鞘の先でこちらの胸元を突く。


『ちっ』


突かれた勢いで後方に吹き飛ばされた衝撃を身体全体でいなしながらバックスピンで立ち直す。


『もう諦めたら?オネーチャン』


蛍はニタニタと意地の悪い笑いを浮かべながらそんなこちらを見下すように見下ろしている。


そしてその前方にいるのは先程の乱打で血塗れになりながらも無言で日本刀を構えた風下。


本当に嫌になる。


久しぶりに血が滾って…


理性が飛んでしまう。


『諦める?誰にものを言ってんのよ蛍。私が諦めるわけないじゃない。あんたは負けを覚悟しながら私が諦めるのを…諦めろ』


ハアハアと興奮しているかのように息を切らせながら七花は楽しそうに笑い蛍へと言い返す。


そうして、七花が言い終わった刹那。


二人の姿は消えた。


七花は拳を。


風下は日本刀を。


お互いに互いの獲物を振るいながら相手を倒しにかかる。


いや、互いに相手を殺しにかかる。


一瞬で交錯し


一瞬で離れ


一瞬でまた交錯する。


人類最強クラスの化物達がぶつかり合う。


全力で互いを殺しあう。


まるで互いに互いの命を喰らい合うかの様に。


貪り合うかの様に。


獰猛に。


荒々しく。


されど美しく。


殺し合い続ける。


こんなギリギリの殺し合いの楽しさの中で理性なんて保てるわけが…


ない。


ブツン。


七花は自分の中の何かが切れた気がした。


そうして、意識が吹き飛ぶ。


『プラシーボ効果。私の手刀は日本刀さへ切り倒すものである。条件は…風上風下を殺すこと』


意識が吹き飛んだ筈の七花は空中で呟きながら今まで握っていた拳を手刀へと変え風下の日本刀へと一閃。


途端に金属と金属がぶつかり合う音が辺りに響き渡り風下の日本刀の刀身が真っ二つに吹き飛ぶ。


風下はそれを見て驚いた様な表情を作りながら後方へとバックステップをしようとする。


だが、七花はそこを逃さない。


逃すわけがない。


上半身をバネのようにしならせながら全力で風下の元へと飛び思いきり蹴り飛ばす。


蹴り飛ばされた風下は後方へと飛んでいた勢いも重なり思いきり吹き飛んでいき酒場の壁を突き破る。


だが、七花はそこでは止まらない。


一気に風下の元へと駆け抜けその首へと手刀を叩き込もうとする。


風下を殺す為に。


プラシーボ効果の条件を満たす為に。


自らの敵を殲滅する為に。


かつて“殺人協会”に所属していた時のように。


獣のように目を血走らせながら。


理性など失ってしまったかのような表情のまま風下の元へと辿り着き。


風下へと手刀を…


振り下ろした。

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