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黒き乙女の鬼語  作者: 紅河崎アリス
食人鬼
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地獄風呂

愚鈍な警察諸君

私を止めてみたまえ

〜酒鬼薔薇聖斗〜

夕食の後片付けも終わり時刻は7時過ぎを迎えていた。


七花さんはもう部屋に戻ったのだろう。


部屋にはいなかった。


それでは雪さんは…と、辺りを見回してみるがどこにもいなかった。


同様にして粉雪ちゃんもいない。


二人でどこかに出かけたのだろうか。


七花さんがいる限りマンション内で襲われることはないだろう。


安心してもいいか。


そう思うと、ふと風呂に入りたくなった。


思えば今日は襲われたせいで、怪我は殺人鬼の能力で治っているとはいえ汗をかいているし七花さんに蹴り飛ばされ砂だらけだ。


雪さんたちがいない今なら入ってもいいだろう。


そこまで思考して立ち上がる。


そのままベッドと本しかない自室に着替えを取りに行った。


余談だが、実はボクは雪さんのマンションの風呂が少しだけ好きである。


ボクのオンボロアパートの小さくて小汚い風呂とは違い七花さんが手入れを欠かさないため広くてとても綺麗なのだ。


七花さん様々である。


更に大浴場やジャグジー、電気風呂など多種多様な物がある為飽きない。


風呂には浸かれる間は何度でも行く。


それが礼儀だ。


だが、柊さん(雪さんのマンションに住むボクが知る限り世界一の変態)などに見つかっても面倒くさい。


今日は小さい方の浴場に行くことにしよう。


『ふぅ…』


タオルと着替えを籠に入れ脱いだ服を洗濯機に放り込む。


こうすると翌朝には完璧に乾いた状態で七花さんが届けてくれるのだ。


そう言えば雨の日でも七花さんは翌日に持ってきてくれている。


どうやっているんだろうか。


そんなどうでもいいことを考えながら浴場の扉を開ける。


幸運なことに先客はいないらしい。


中には誰もいなかった。


水温を足で味わいながら肩まで浸かっていく。


久し振りの足を伸ばせる湯船は形容しがたいくらいに気持ちがよかった。


今日の戦闘の疲労が汗とともに流れていくようだ。


『ああ、気持ちい『あれ?凜くんじゃないか。奇遇だね』


不意に後ろからそんな声が聞こえてきた。


独り言の最中に水を差され少しイラつきながら振り返り…


後悔した。


後ろにいたのは二人の少女。


雪さんと粉雪ちゃんだった。


二人ともまさかボクがここにいるとは思っていなかったのだろう。


タオルを巻いておらず自らの裸体を惜しげもなく晒している。


『ゆっ…雪さん!何でここに!?と言うか、前を隠して下さい!』


急いで目を逸らし雪さんたちに背中を向ける。


『なんでって、ここはボクのマンションだよ?いて、なにが悪いんだい?』


それはそうでしょうけど!


目を閉じて頭の中で般若心経を唱える。


が、先ほどの光景が頭から離れず上手く平静を保てない。


雪さんの病的なほど白い肌に絡みつくような対照的な黒髪。


発展途上ではあるが一応女性としてのふくらみ。


水を滴らせながら振りまかれるその黒髪に包まれている雪さんは最早一つの芸術のようだった。


『それに、なんだいなんだい。そんな顔を背けて。君はこんなろりぃ体型を見て欲情するような子なのかい?』


『いえ、違います。』


それは違う。


確かに違うが女性の裸体をジロジロと見るなど失礼に当たるため顔を背けているだけだ。


決して雪さんの裸体を見てしまったからではない。


粉雪ちゃんもいるし教育上よくないと思ったからなのだ。


『それじゃあ、ボクは失礼します!』


そう言って出口に向かおうとするのを雪さんに阻まれる。


『ダメだよ。お風呂に入ったら必ず百秒だ』


そう言ってあろうことか彼女は後ろから抱きついてきたのだ。


彼女の発展途上ではあるが少しの膨らみがある胸が押しつけられる。


『わかりました!わかりましたからはなしてください!』


『嫌だよ。君のそんな姿は珍しいからね。もっと見たい』


この女ここで性格の悪さを発揮しやがった!


まさか必死の懇願を一言で終わらせるとはまったくもって性格が…


『あ…』


なんですか。


急に声なんて出して。


象でもいましたか。


まったくこの人は。


そんな事を考えながら顔を上げた。


瞬間空気が凍り付いた。


目の前にたっていたのはエメラルド色の悪魔。


『しっ、七花さん』


七花さんは無言で立ち尽くしている。


バスタオルで隠しているため局所を見なくてもすむが、彼女の本来のプロポーションが丸分かりだった。


彼女の性格と同様に自己主張の激しい胸元に思い切りくびれた腰。


外人を思わせるかのような腰の高さ。


雪さんとはタイプの違う攻撃的な芸術のようだった。


『凜』


彼女は俯きながら一言。


はい!何でしょうか師匠!


七花さんは俯き一度深呼吸してから顔を上げた。


その顔は笑顔。


まさか、許してくれ…


『一回死んでこい』


七花さんは笑顔のままボクを殴り飛ばす。


いつの間にか後ろどころか浴場から雪さんたちの姿がなくなっていた。


逃げ足の早いことだ。


さて、それでは始めるとしましょう。


師匠にボコられるタイム開始。


すでに目の前にまで来ていた七花さんを見据えながら考える。


どうしてこうなったんだろう。


答えてくれる人は


いなかった。


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