人形
バラバラになった彼らこそが、本当の仲間のように感じられた
〜ジェフリー・ダーマー〜
鉄の暴力が頭上を通り過ぎた。
近くの遊具に当たり辺りに鈍い音を響かせながらそれは弾け飛ぶ。
『凜さん!?』
知藺乃さんがこちらに向けて話し掛ける。
きっと、心配してくれているのだろう。
だが、こちらにはそんな余裕はない。
目の前でバッドを振り上げていた男の腹を押すように蹴り横からの攻撃を回避する。
すぐ目の前に斧が突き刺さるが気にしない。
そのまま、後ろでナイフを構えていた男の腕を捻り上げ投げ飛ばす。
そして、斧を抜こうともがいていた男の首をねじ曲げ失神させる。
ナイフで攻撃できたらすぐに終わるのだが、知藺乃さんがいる手前それも不可能だろう。
彼女も軍用銃を巧みに使い攻撃を受け止めグリップで殴り飛ばしていた。
実は先程からかなり怖い。
『知藺乃さん!こいつらは一体なんなんですか!?』
問いながらしかし心のどこかではわかっていた。
こいつらがなんなのか。
そして、あの二人組がなんだったのか。
バッドの先をナイフの腹で受け流し膝を顔面にめり込ませ一気にハイキックを決める。
専門はナイフなのだがこう言った技はすべて七花さんに叩き込まれている。
この程度の相手ならいくらでも大丈夫だ。
『彼らは…食人鬼のウイルスによって“成って”しまった食人鬼。人間から無理矢理変えられた心も体も主の思うがままの人形達ですよ』
知藺乃さんは橙色の髪を揺らしながらクルリと回りロー、タイ、ハイと高速の三連撃で辺りをなぎ倒した後に静かに言った。
人形
自分と同じ
人形達
そう考えるといつの間にか腕が動いていた。
『凜さん!?』
右手にはいつの間にか握られていたサバイバルナイフ。
自分の使っている幾千のナイフのうちの一本だ。
それで、目の前でバッドを振りかぶっていた男の頸動脈を狙いうつ。
人形は嫌だ
束縛されるなんて最悪だ。
だから、せめてボクの手で死んでくれ。
だが、またしてもあと一歩のところで止められた。
腕を捻り上げられ腕に激痛が走る。
あまりの痛みにナイフを落としてしまうほどに。
また、霊華さんかと思い顔を上げる。
が、瞬間的に思いきり殴り飛ばされた。
重い拳がボクの顔を居抜きボクは弾け飛ぶ。
何度か地面に叩きつけられ近くの滑り台にめり込むことでそれは止まった。
明らかに霊華さんではなかった。
いや、まず彼女はボクを殴らない。
では、誰がボクを殴ったのか?
自分でもわかっているくせに自問自答してしまう。
あまり、考えたくなかったからだ。
誰が、ボクを殴ったのか?
『あんた、こんなところでなにやってんのよ、凜』
恐怖に体を震わせながら恐る恐る顔を上げるとそこには自らのエメラルド色の髪を弄りながらタバコを吸っている七花さんがいた。




