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黒き乙女の鬼語  作者: 紅河崎アリス
食人鬼
11/79

戦闘開始

走るんだ。

いまから、捕まるまでずっと走るんだ

ボニー&クライド


いつも音が聞こえない“死人通り”で、鉄と鉄がぶつかり合う音が妙に響いていた。


辺りに火花が舞い散り、そしてまた刃と刃が重なる。


ナイフと槍、全く違う二双の凶器がぶつかり合い離れまたぶつかり合う。


辺りには火花が散り壁は砕け破壊の跡が禍々しく広がっていく。


そんな中、その凶器の所有者達は無言だった。


互いに目を血走らせ顔に貪欲な笑みを浮かべている。


それなのにどちらも声を発さなかった。


漫画や小説のような声だしなどはない。


互いに無言で相手を殺しにかかっていた。


競っては引き、切り裂いては交わしそんな繰り返しを続けていた。


そんな中、食人鬼、桐谷玲音は不自然さを感じていた。


目の前の少年の動きに。


まるで、殺気を感じられないのだ。


最初に発した殺気がなんだったのかと聞きたくなるくらいに静かである。


また、自分をなにかに誘導しようとしている動きも気に食わない。


簡単に捌けるだろうにわざわざナイフで弾いている。


まさか、自分を嘗めているのだろうか?


そう感じ、少々苛立ちを起こした。


右手に持っていた槍をクルリと回転させ打突。


交わされたところを素早く回し裏打ち。


常人ならこの時点で死んでいるだろうにこの少年は体を捻ることで交わす。


大した反射神経だ。


だから、自分はそこを狙う。


交わされた槍を背の裏で左手に一瞬で持ち変え斬撃。


それすらもナイフで受けられ沈黙。


絶句の一言だった。


この少年は自分よりも修羅場を潜ったのだろう。


あまりに戦い慣れすぎていた。


その年では行き着けないほどに進化してしまっているのだ。


思考できたのはそこまで。


今度は少年が殺しにかかってきた。


常人では出し得ないだろうスピードで一気に槍の効果範囲内に入ってくる。


そこを狙って払うが一気に懐に入られる。


狙うのはもちろん心臓か頸動脈だろう。


鬼と言えど血を流しすぎたら死んでしまうからだ。


だからこそ、私はそこを開けた。


少年がナイフを振ろうと体を捻らせた直後に槍を一気に引き戻し漆黒の槍を少年の顔を抉り取るように放つ。


最早、交わせる距離ではない。


殺った。


最早、そう確信した直後に私の腕が切り裂かれた。


いや、飛び散ったのだ。


まるで、豆腐か何かのように腕が裂け脚の筋が切れ耳が殺がれ胸が抉られた。


一瞬のスローモーション。


すべてがゆっくり見え私は地面に倒れた。


いや、落ちたのだ。


全てを殺がれて


そして、その後に来たのは地獄だった。


『がぁぁぁあ゛ぁああっ!』


私が地面で悶え叫ぶ間にも少しずつ切り裂かれていく。


最初は、目


そして、何も見えなくなったところで鼻。


視覚、聴覚、嗅覚全てを削ぎとられまだ地獄は続いていく。


腹、胸、股、尻、腕、手、全てが裂け続ける。


そんな私を見下ろしながら少年は言った。


『ごめんなさい。どうか、来世ではボクを…殺してください』


そして全ての感覚が消え去った時、少年の声がやけに私の中で響いた。

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