2.メイドとしての実績を積み、子育てについても勉強する
出てくる多国語はポルトガル語ですがグーグルさんなので適当です。
スペースが入るとルビ打てないんですね・・・
「サリナ・ミラフォードです。よろしくお願いいたします」
クレイソン家の御仕着せを着てカーテシーにて皆様にご挨拶する。
伯爵家なので、使用人における一番上の爵位もちは子爵夫人になる。
メイド長はまさしくそれにあたり、すでに40歳の大ベテラン。
伯爵家で働く文官貴族の奥さんだそうだ。
ちなみに、爵位だけであれば次が私になるそうで、他は皆さん男爵家や平民の出だそうだ。
ちなみに我がミラフォード家には平民のメイドが一人しかいない。
厳密に言えばメイドはその一人しかいないのだが・・・
伯爵家は新人の私を入れて総勢40名のメイド、10名の従僕がいらっしゃる。
そして、大奥様が別館でご隠居中。
若奥様には、すでにお子様が一人いらっしゃって、もうすぐ2人目が生まれるそう。
新人ながら、身分がはっきりしており、第二外国語をしっかり学びスキルアップしたいと前向きなことを言って面接を受けたせいで、私は若奥様のカレンダ・クレイソン伯爵夫人付になった。
で、初顔合わせとして他のメイドさんも含め若奥様にご挨拶をしたわけだが。
(これから沢山レッスンするから、 頑張りましょうね、サリナ)
「Voutreinar muito a partir de agora, então vamos dar o nosso melhor, Salina.」
思いっきり外国語をぶつけられて困惑した。
これは先が思いやられそうだ。
カレンダ様付のメイドは皆さん若奥様の母国語が堪能。
大きな商会を持つクレイソン伯爵家って感じ。
なお、奥様も他のメイドさんもみんなこの国の言葉はわかるし、普通にお話しできる。
なので、私が頑張って隣国の言葉とこの国の言葉をない交ぜで話しても、普通に向こうの言葉で返される。
(申し訳ありません、何とおっしゃったのか理解できませんでした)
「Desculpe, não consegui entender o que você estava falando.」と素直に言うと、こっちの言葉で教えてくれる。
メイドの仕事は学校でも習っていたのでそれなりにこなせていたが、言語がネックすぎる。
夜も必死にこっちの言葉を勉強し、同僚のメイドさんと向こうの言葉で片言ながら会話するということを繰り返す日々だ。
(お茶をもらえるかしら?)
「Você pode fazer um chá?」
(はい、奥様)
「Sim, eu entendo.」
簡単な日常会話ができるようになるまで1ヶ月かかった。
自分の頭の悪さを呪いたいというより、学生の頃ちゃんと勉強しておくんだったと反省した。
子爵令嬢だからって勉強が無駄になるわけじゃない。
それでも、ようやく話すことができるようになってきた。
それとは別に、日々のメイド業務については合格点をもらえている。
「伯爵家以上の家でメイドとして働くなら、後は言語だけね」とはメイド長のお言葉。
クレイソン家は結構頻繁に外国のお客様がお見えになる。
私は二か国語目でひーこら言っているが、従僕の方々など5か国語とか平気で話せる方もいる。
「若奥様の国の言葉を覚えれば、その隣の国の言葉もなんとなくわかりますよ」
とは従僕の一人のミラルパ男爵令息のイーサンの言葉。
どうも、文法も発音も似ているらしく、装飾語がちがうだけだそうで何とか聞くことはできるらしい。
イーサンは何かと私のことを気にかけてくれる18歳。
1個年上のいい男。
ただ、従僕の方たちは皆アラサー以上なので、彼が最年少。
メイドの方々も私より下は今は居ない(大体20~30の間)ので、唯一日常会話ができる同世代でもある。
ただ、互いに恋愛感情はない。
イーサンは執事とメイド長の息子なので、クレイソン家にずっと仕えるそうだ。
私からすると申し訳ないが、クレイソン家は踏み台なので、イーサンと恋仲になるのはまずい。
いい男だが、どちらかと言えば良いお兄さんという感じなので、恋愛感情はわきそうにないが。
クレイソン家に仕えて1年がたったある日のこと、クレイソン伯爵家に待望の男児が生まれた日に王太子妃が懐妊したとの知らせが入った。
各貴族家は慌てる。
未来の国王の第一子である。
王子にしろ王女にしろ同世代の子供を産むことで王族と何らかのつながりが出来ればと思うのは貴族として当然の考えだろう。
そのせいで、同僚の男爵令嬢の方たちが次々と寿退社していく。
毎日数名なんてレベルだ。
その都度平民のメイドさんを入れているが伯爵家も天手古舞である。
そんな中、私は両親から忘れ去られているのか、姉二人がすでに子を成しているからか、ひとっつも声がかからない。
心配して手紙を送ると、「好きにしなさい」とのこと。
まぁ家に帰っても結婚資金ももう底をついてるだろうし、家から金を出してもらえるとは思っていない。
ヘタをして平民落ちするぐらいなら、頑張って自分で見つけたほうがいいだろう。
そんな数週間を送っていたら、クレイソン伯爵から呼び出された。
「サリナ君、君は最終的に公爵家に奉公に行きたいと面接のときから言っていたよね?いまもかわらないのかい?」
「はい、クレイソン家が王太子妃懐妊の影響で大わらわなのは存じ上げておりますが、その気持ちに変わりはありません」
(実のところ、アシュリー公爵は貴女を雇いたいと考えているようだ。この話受けるかい?)
「そうか…De fato,Duke Ashley quer contratar você.você aceita?」
「!!はい!ぜひ受けます!!」
「うん、そこは母国語ではなく返してほしかったな」
(それはすみません)
「Eu sinto Muito」
そして、クレイソン伯爵の推薦状を手に、アシュレイ公爵家へ奉公へ上がることになった。
「サリナ・ミラフォードともうします。ミラフォード子爵の三女となります」
「うむ、話は聞いている。家の息子と同い年だそうだな?結婚はしないのか?」
「私は三女です。上に姉が二人、兄が一人おりますので、そういった野心はございません」
「そうか、ミラフォード家と言えば王家で文官をしている家系だろ?君は我が家でメイドとして働くのに不満はないのか?」
「はい。むしろ、若様の奥様になられるヴァイオレット様のお世話ができれば、それ以上の幸福はございません」
「かわっておるな、息子を寝取ろうというのではなく、若妻を支えるというか」
「はい」
えー、現在アシュレイ公爵家の最終面接を受けております。
現公爵家当主、めちゃくちゃ強面のグラッド・アシュレイ公爵からの圧迫面接中です。
てか、寝取るって…いや確かに高位貴族のお手つき目当てに奉公に出る貴族女性は居るよ。
愛人に収まったりとか、そういうさ。
でも私にその気はない。
最終目標はスカーレット様付のメイドか乳母なのだ。
現在はメイドに振り切れているけれど、今年中にはヴァイオレット様は出産なさるので、合わせるなら今がラストチャンスでもあるのだが。
「よかろう、息子の世話がしたいではなく、素直にヴァイオレットの面倒が見たいと言っているようだしな。採用だ」
「ありがとうございます」
「学校での成績は悪かったようだが、第二外国語も会話に関しては問題ない。何とかやっていけるだろう」
こうして私は、公爵家のメイドになった。
ここから、ヴァイオレット様の信頼を勝ち取って、是非ともスカーレット様付にならねばなるまい。
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