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今後の方針、決まりました。

「いや~なかなかきつかったな、妹よ?」

「そりゃあれからず~っとフィールドを駆け巡っていたんだもんニャ。疲れるのは当たり前ニャ」


 すっかり太陽が山裾へと消えた頃、広大な草原に一本だけ伸びる"パーク"への道を兄貴と一緒にのんびりと歩いていた。お互い装備している武器や防具には泥や埃、少なからず傷がついていたりしている。街に帰ったら修繕しないとね。



 そして戦闘を繰り返して分かったこと、それは弓が物凄い不遇武器であることだ。



 初戦から今までの怒涛のエンカウントを繰り返す中で、私は出来るだけ弓を使って戦闘を行ってきたが、どう足掻いても10本中3本、まぐれ当たりで4本が精一杯。ガチでリアル器用が重要になってくると痛感させられた。

 しかもコスパが最悪。いくら1本1Gと言っても、一回の戦闘に10~20、多いときで30は消費しちゃうから、一度に大量に買い込みしないといけないため結構な負担になると思う。所謂、塵も積もれば山となる、だ。


 兄貴曰く、"パーク"内に武器の扱い方を学べる訓練場があるから、次回辺りはそこに行って弓に慣れようと思う。


 もう一つが【テイム】。


 今まで戦闘してきた中で、テイムに関しての選択肢が出てくることが一度も無かった。ついさっきその事を兄貴に話したら、テイムはMOBを倒すことではなく戦闘中にMOBに対して『テイム』と言うスキルを使うと一定確率でテイムが成功することが判明した。

 しかも、一度テイムに失敗したMOBはもう成功することはないらしく、仮に仕掛け様ならば、激昂状態(HP、攻撃力、素早さそれぞれ2倍の上、街に入らない限り逃げ切れない)になるだとか。まぁテイムの仕方すら知らなかった私には関係ないことだったけどね。


 てか、こんなことなら始めに説明して欲しかったよ。ゲームに疎い人なら、ド○クエみたいにフルボッコにした後『○○が起き上がり、仲間になりたそうにこちらを見ている。仲間に……』的な選択肢が出てくるもんかと思うじゃないか。まぁちゃんと説明読まなかった私が悪いんだけどさ。



 そして一番傷付いたのが、私の所持テスだ。


「……妹よ、これはなんだ?」


 いつもニコニコ笑っている兄貴があんな表情を向けてきた程、私のジョブとテス構成が酷いらしい。


 先ず、何故生産系のテスを取ったのか。


 普通、人は戦闘職か生産職のどちらかに分かれるらしい。その理由はバランスが中途半端になるから。兄貴曰く、オキュが調教師なら、それに合わせたテスを選択するのが鉄則だとか。

 更に生産職をオキュに置いた場合、調合キットとか携帯炉とかでお金がかかる分、戦闘職よりも支給される所持金が戦闘職の2~3倍になるのだとか。


 次に【梟の眼光】


 これはただ暗闇でも視界を確保するだけで、遠視やロックオン出来ない微妙なテスらしい。のちに調べたら、【猫の気持ち】にも暗視能力があることが判明。これの存在意義が消えた。


 そして【曲芸】や【毛繕い】


 これに関しては、何故取ったのかと問い詰められた。何でも、二つともを取らなくても頑張れば普通に出来るらしい。つまり、穀潰しならぬ枠潰しだ。



  この結果、オキュが戦闘職で、使えるテスの殆んどが生産系、というちぐはぐ感を孕んだ私が生まれた。


 とまぁこんな感じで、兄貴に激しく罵倒された。やっぱりゲームのことになると、私と言えども容赦しない。あまりにも罵られ、思わず鞭でシバイてしまったぐらいだ。

 落ち着いてから謝ったが、「いや、問題ない。むしろ物足りないくらいだ!!」と胸張って言い切ったこの人は手遅れなのだろうか?


 まぁ悪い話は置いといて、良い話も勿論あった。


 先ずは兄貴をシバいた時に使った鞭だ。


 弓に悪戦苦闘しながら思い出したように鞭も試していたが、こちらはなかなか使い勝手が良い。範囲が広く周りを巻き込む攻撃も出来る上に、手数が多いから鞭本来の火力の低さを十分にカバーしてくれた。そして何よりテスも合い余っていつも以上に扱えたのが一番デカイだろう。……べ、別に現実で兄貴に対して使って慣れているから使いやすいとかでは断じてない……はず。多分。


 それはともかく、弓がまともに使えるようになるまで、外での戦闘は鞭をメインに戦闘することにしよう。



 そして戦闘の合間に採取したり、戦闘で獲得した素材アイテム。


 MOBを探してフィールドを駆けずり回ったことによって採取ポイントを沢山見つけたり、ひたすら戦闘を繰り返して、いつの間にかインベントリに収まりきらないほどの素材が集まっていたのだ。純戦闘職の兄貴は必要ないと、自分が集めた素材を全てくれたことも、大量の素材獲得の要因だろう。次来たら、調合キットと料理キットを買って生産にもチャレンジしてみようと新しい目標も出来た。


 そんなことを話しながら街に戻ると、街は街灯の柔らかい光が薄く照らしていた。


 昼間とまた違った雰囲気の中、露店や雑貨屋を冷やかしながら武器の修繕やアイテムを補給、いらない素材を売ったりした後、ログアウトする前に朝の酒場に入って今日の戦果をお互いに教え合った。


 言い忘れていたが、今現在の兄貴のステータスはこうだ。


【~ステータス~】


《PL》

  雪華

《Job》

  剣闘士:Lv4/拳闘士:Lv3

《taste》

  筋力強化:Lv3/持久力強化:Lv3/剣捌き:Lv4/盾捌き:Lv2/踏ん張り:Lv3/跳躍:Lv2/サバイバルの心得:Lv1/武器修復:Lv1/鈍感:Lv3/シバかれ上手:Lv5



 取り敢えず突っ込んで良いかな? 主に二点程。


 先ず【鈍感】って何よ?

 最近のハーレム系ラノベに良くいる主人公か? ヒロインからのアタックを「えっ、何だって?」って聴こえないふりする奴か?


 そして【シバかれ上手】

 これは恐らく私の【猫の気持ち】と同じネタテスだと思えるけど、何故これを取ったし。そして何故レベルが結構高いんだよ。オキュの剣闘士よりも高いっておかしいだろ。


 これについて問い詰めたら、どうやら両方ともマトモなテスであることが判明した。


 【鈍感】はラノベみたいなことになるのではなく、MOBとの戦闘でダメージを受けた際に発生する痛みを感じることがないようにするもので、痛みによって怯まないようにするためにとったらしい。痛み=ダメージの【HLO】において、壁職(タンク)に必要なスキルなんだとか。



 【シバかれ上手】も【鈍感】同様壁職には必須のテスらしく、こちらはMOBからの敵対心(ヘイト)値が上がる、または上げるアーツを習得できるスキルらしい。この話をする際、兄貴が私の鞭に妙に熱っぽい視線を送っていたのは気のせいだろう、そうだと信じたい。


 まぁ要するに、テスの名称がアレなだけで効果は利に叶ったモノだ。名称でふざけるのはまだ良いが、何故【猫の気持ち】(あれ)は効果もふざけたんだよ運営ェ……。


 一人落胆する私を気遣いながら、兄貴は今日の戦闘の成果をイキイキと語り出す。


 オキュの剣闘士(グラディエーター)がLv4、サイドの拳闘士(グラップラー)がLv3、その他テスも順調に育っているみたいで上機嫌だからだろう。

 因みに、私は調教師(テイマー)がLv1、弓使い(アーチャー)がLv3と微妙なところだ。調教師は恐らくMOBをテイムするか、テイムしたモンスターがMOBを倒せば育つだろうと見越している。


 テスで言えば、【鞭捌き】がLv3、【猫の気持ち】がLv6だ。個人的には何故【猫の気持ち】が飛び抜けて育っているのが甚だ気にかかる。その理由は、ネタテスが育つ毎にろくなことが起こらない、と、私の中の野生の勘がそう言っているからだ。


 最悪の場合、Lvが10を刻む毎に見た目が猫に近づいていって、最終的に猫人化することだ。これがフラグではないことを願いたい。もしそうなったら、全身ガチガチの鎧で外から見えない様にしようと人知れず心の中で固く決意したのは内緒の話だ。


 酒場を出た時、時間を確認したら夜の8時を回っていた。12時過ぎからプレイしてるとなると、実に8時間プレイしたことになる。ちょっとやり過ぎたかな……。


 時間的にもうすぐ両親が帰ってくるので、一旦ここでログアウトすることになった。兄貴は夕飯を食べてお風呂入った後またログインするらしいが、初日にしてはちょっとやり過ぎた感がしていたから、今日はこれで終わることにしよう。


 酒場を出て、その足で宿屋に向かう。因みに、ログアウトは宿屋じゃなくても可能だが、宿屋でログアウトしておくと次ログインした時、HPやMP、空腹度や渇水度、状態異常が全て回復するのだ。可能であれば、宿屋でログアウトしたい。


 また、ダンジョンとかの非戦闘エリアでログアウトする場合、テント(道具屋で1000G)を使ってその中で休めば宿屋と同じ効果があるらしい。


 部屋の料金を支払い、部屋に入って一息着く。と、最後にステータスでも確認しようかな。


【~ステータス~】


《PL》

  ニタ

《Job》

  調教師:Lv1/弓使い:Lv3

《taste》

  鞭捌き:Lv3/(ふくろう)の眼光:Lv2/体術:Lv3/鑑定:Lv3/毛繕い:Lv1/曲芸:Lv1/錬金:Lv1/製薬:Lv1/料理:Lv1/猫の気持ち:Lv6


《テイムMOB》

  まだ居ません。


 明日は弓と生産系のLv上げだなぁ。出来れば早くテイムしたい。生産に関しては街でやろうかな? でも猫耳(これ)あるから目立つなぁ……。明日、兄貴にフィールド上でMOBがあんまり出ない所教えて貰おう。


 そう決意し、所持テス枠増加と【猫の気持ち】脱却を目標にそこでログアウトした。

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