第99話 寄り道終了
「ここだよ、中に入っとくれ」
カサンドラさんに言われるがまま家の中に入り、入ってすぐリビングダイニングのテーブルがあってその椅子に座らせる。
この足だと数日は動けないだろうからポーション使ってあげるべきだけど、命に関わる訳じゃ無いからパーティの資産を勝手に使うのはまずいよね。
「お前さん、ちょいとそこの魔導具取っておくれ」
迷っていたらカサンドラさんに言われて見た事の無い魔導具を手渡す。
IHの携帯コンロの上に変わった形の器を置いた様な形、その中にさっき採ってきた薬草を毟って器に放り込むと何やら操作した。
操作を終えて器を上下に分離させると上には搾りカスの様な薬草、下にはどうやらポーションが出来た様だ。
カサンドラさんはそのポーションを飲み干した。
「ふぅ…、ん、治ったね」
カサンドラさんの視線を追うと足首の腫れが無くなっていた。
ポーション作り用の魔導具だったのか、初めて見たな、これで生計立てているのかな?
「ふん、珍しいかい? こんな森の中じゃあ自分達でポーションが作れなきゃ命に関わるからね。なのに魔導具を扱える才能のある奴はすぐに大きい街に行っちまうから今じゃアタシだけさ」
ジッと見ていたらそんな事を言われた、ポーション作る魔導具使うのに才能とかいるのか。
それにしても過疎化は異世界でも深刻な問題な様だ。
「じゃあ長生きしなきゃだめだね、次からは誰かと行きなよ、せめて笛とか持って困った時に報せられる様にするとか」
「馬鹿だねぇ、村の奴らにそんな手間掛けられるもんか。それに笛なんて吹いて魔物を呼び寄せたらどうするんだい」
「あ…」
「くくっ、お人好しな上に抜けてるたぁ心配になる子だね。せいぜい悪い奴に騙されない様に気をつけるこった」
「まぁ…、その辺は仲間がしっかりしてるから大丈夫じゃないかな?」
そんな会話をしながらもカサンドラさんは次のポーションを作り小瓶に詰めると私に押し付けた。
「ほら、手間賃だよ。あんたみたいに抜けてる子はいくらでも怪我すんだろ、持って行きな」
「ふふ、ありがとう」
「ふん、仲間が肉を待ってるんじゃないのかい? さっさとお行き」
お礼を言うとプイっと顔を逸らしたが、耳が赤くなっているのが見えた。
カサンドラさんに別れを告げて家を出ると、何やら村の入り口が騒がしい。
カサンドラさんが戻って来たから落ち着いたと思ったのにどうしたんだろう。
さっきとは違い、集まってる年齢層が若くなっている様な…。
首を傾げつつも人集りのある村の入り口に向かうと理由がわかった。
「おっ、いたいた。アイル!」
人集りの中心には『希望』のメンバープラスガブリエルが。
人集りから頭が飛び出ていたホセが私を見つけて手を振ると、女性達がバッと振り返って私を見た。
そしてな~んだ、と言わんばかりに再びホセ達の方を見る。
そりゃあね、仲間達は誰もが振り返る様な美形集団だし、ガブリエルも黙っていたらエルフなだけあって中性的な美形ですよ!?
あの中に私1人異質なタイプだって事はわかってるけどさ!
私にだって想いを寄せてくれる人の1人や2人………、エドしか居ないから1人か。しかもアレは女性として好きっていうより心酔というかちょっと違う気がする、何より変態だし。
「すまないな、仲間が来たからもう行かせてもらうよ」
リカルドが人波を割いて私の手を引いてくれた、さっきまで壁になってて近づけなかったもんね。
「リカルドありがとう」
「どういたしまして、目的は果たせたか?」
「うん、お婆さんが足を怪我して動けなかったから送ってきたの。自分でポーション作って怪我を治してたからもう心配無いよ」
「へぇ、こんな小さな村なのにポーション作れる人がいるなんて凄いね」
エリアスが感心した様に言った、才能ある若者は街に出ちゃうって言ってたもんね。
ホセのところに行くとヒョイと抱き上げて馬に乗せてくれ、ホセも軽やかに馬に乗った。
「さ、行こうぜ」
私が通って来た道はほぼ獣道だったが、村から街道まではちゃんとした道があったのでその道を使って街道まで戻る。
「ずっと一緒に居たら忘れちゃうけど、皆って囲まれちゃうくらいの美形なんだよねぇ…」
「ははは、そんなの今更だろ。お前だって何だかんだモテてるじゃねぇか」
「………エドだけじゃん」
唇を尖らせながら拗ねた様に言うと、皆が顔を見合わせて肩を竦めた。
「ミゲルもアイルの事好きでしょ、少なくとも好意は持ってるはずよ?」
「だよねぇ、ヘラルドだって嫁候補にしようとしてたし」
「あれは年頃の女性なら誰でも候補に入れてる感じだったじゃない」
ヘラルドの村でも注目されてたのは皆だったし、女の子達はハンカチ落としたりと小細工しつつも交流を持とうとしてたらしいし。
「私の予想では要塞都市で会ったあの騎士…ヘルマンだっけ? あの騎士もアイルの事を気にしてたと思うよ」
「えぇ!? ほぼ喧嘩してたと思うんだけど!?」
「アイルは短期間というか、短時間でたらし込むよな。港町でも男の膝の上に座ってたしよ」
「それは多分子供扱いしてたと思うよ?」
「ガキだと思ってたら酒も飲ませねぇし、腰に手を回したりしねぇだろ。一応女だって自覚して気を付けろよ?」
「そこは一応って付けなくても良いと思うの…」
そうして皆は私に自信を持たせてくれて、良い事もしたその日はいい気分で馬を(ホセが)走らせた。




