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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第100話 【閑話】リカルドの過去

100話記念でリカルド視点です。

 王都からの帰り道に寄った町の宿屋で懐かしい料理が出た、どうやらこの宿の料理を作っているのは俺と同郷らしい。

 家を抜け出して遊びに出掛けた時に食堂で食べていた料理を口に運びながら昔を思い出した。





 俺はこの国(パルテナ)の出身では無い、海の向こうの大陸にある国の男爵家の長男として産まれた。

 小さな領地で特に特産品も無ければ観光する場所も無い所で、領民は農業と狩猟で細々と生計を立てているどちらかというと貧しい領地だ。



 36歳で男爵位を継いだばかりの父はいっそ爵位を返上して商売でもやろうかなどと冗談混じりで言うほどだった。

 そして14歳の時、学校の夏休みに寮から家に帰ると立派な馬車が家に停まっていた。



 どうやら来客の様で家令に案内されて客である伯爵夫妻に挨拶をした、何度か会った事のある父の友人で領地の為に新たに開拓する相談に乗ってくれている様だ。

 伯爵も家を継いだばかりでよくお互い相談するらしい、伯爵夫人はまだ20代半ばで少し歳の離れた夫婦だった。



「君が噂のリカルドだね、剣の腕が良いんだって? 体格にも恵まれてるし、将来が楽しみじゃないか」



「本当ね、今でも充分素敵でしてよ」



 ニッコリ微笑んだ伯爵夫人の絡みつく様な視線に背筋にゾワッと悪寒が走る。

 伯爵夫妻には既に息子2人と娘1人いるらしく、自分達の領地にも遊びに来てと誘われた。



 ついでに父も伯爵領の視察をして勉強するという事で、2人の妹も共に遊びに行き、父親達が視察に行っている間子供達で遊ぶというか、子守りをする事に。

 伯爵家の子供達は上は7歳の長男から下は3歳の長女なので妹達が嬉しそうに可愛がっていた。



「リカルド様、奥様がお呼びです」



 父から連絡でもあったのだろうか、そう思ってメイドについて行くと伯爵夫人の私室へと案内され、中へと通された。

 テーブルの上にはお茶が準備されており、ソファに座る様に促される。



「何かお話でも…?」



「ええ、あなたとゆっくりお話したくて」



 またあの絡みつく様な視線で微笑みながら片手を上げると、部屋からメイド達が下がって行った。

 メイド達が出て行くのを見届けると伯爵夫人は俺の隣に座り、腿の上に手を乗せてきた。



「え…あの…!?」



「ふふ、子供達は楽しそうに遊んでいるでしょう? 私達も楽しみましょう?」



「な…っ」



 精通こそしており知識はあったものの、《《そういう事》》は未経験だった為、かなり動揺したのを覚えている。

 母国は性的な事におおらかで、貴族でさえ跡継ぎを残す義務さえ果たせば奥方でも恋人を作っても大抵何も言われない。



「うふふ、まだ薄いけどしっかり鍛えているのね」



 俺が固まっている間にも服を脱がされ、夫人も自分の服を寛げていた。



「あの…っ、やめて下さい!」



 何が哀しくて父の友人の妻と初体験せねばならないんだ、確かにこの人は美人だが学校に好きな子もいるというのに。



「あら、そんな事言ってもいいの? ウチの領が協力しなければ男爵領は借金を残して破綻してしまうらしくてよ? それに…ここでわたくしが悲鳴を上げたらどちらに非がある様に見えるかしらね…?」



「そんな…」



 自分の行動次第で家族が、領民が不幸になるという恐怖に頭の中が真っ白になった。

 結局抗えずに関係を持ってしまい、それ以降卒業までの1年間は長期休暇になると兄妹で遊びに来る様誘われ、その度に身体を求められた。



 その事が心を蝕み、好きだった子にも想いを告げられず成人と同時に娼館に通う様になり、自棄になって女遊びをする様になっていった。



 卒業と同時に領地経営を手伝う事になると、伯爵領からの援助らしい援助は殆ど無く、本当に相談に乗ってもらっていたという事実を知った。

 次に伯爵家に呼ばれた時にその事を問い詰めると、伯爵夫人はあっさりその事実を認めた。



「だけど今更よね? わたくしと何度も身体を重ねた事実は変わらなくてよ? むしろ主人はわたくしの事を愛しているから…知ってしまったら男爵領に報復をしてしまうかもしれないわね…ふふ」



 この時になってやっと計画的に貸しがあるという嘘によって嵌められ、この先も俺を手離す気が無いという事を知った。

 家の中の事は全て夫人が仕切っている為、当然使用人の解雇も夫人が決めている、その為伯爵家の使用人は夫人の言いなりで俺が訴えても口裏を合わせるだろう。



 家に帰って俺は恥を忍んで父に全てを話した、既に領地経営は安定していたし、俺が居なくても大丈夫だと判断したのだ。

 俺が居なければあの女は態々自分の立場が悪くなる様な事は言わないだろう、領地に関しては妹が婿をとれば良い。



「実は昔から冒険者に憧れていたんだ、伯爵夫人とは2度と顔を合わせたくないし、俺の事は冒険者になりたくて家を飛び出したという事にしておいて欲しい。俺の事は死んだと思って妹のどちらかに婿を貰って男爵家を…継がせてくれないかな」



「止めても無駄なんだろうな…その顔は…」



「流石だね、よく息子の事をわかってる」



「………無謀な事はするなよ、絶対死ぬな、嫁や子供ができたら報せろ、あと…いつでも帰って来い」



「はは、わかった」



 その翌日、他の家族には冒険者になるとだけ告げて家を出て、国を出る為パルテナ行きの船に乗った。

 その後ソロの冒険者として活動し、トレラーガを拠点にしていた時何度かエリアスと組んだ事があり、たまたまウルスカ行きの護衛依頼でも一緒になった。



 1週間滞在だった為、森に討伐系採取に向かった時に偶々駆け出しのホセとビビアナの2人と出会い、意気投合していつの間にかパーティを組もうかという話になっていた。



 ホセとビビアナはできればウルスカを離れたくないという事だったので、特に拘りの無い俺とエリアスが拠点を変えた。

 そして数年後、着々とパーティランクも上がり、ベテランと言われる様になってきたある日、俺達はアイルと出会った。



 貸し借りをキッチリしておかないと大変な目に遭うという事を身をもって知った俺はアイルが街に入る銀貨1枚もしっかり精算した。

 その時アイルは嫌な顔ひとつせず受け入れていたので内心価値観が近いのだろうと嬉しく思った。



 最初はどこの子供が迷い込んだのかと思ったが、まさか4人目の賢者だとは…。

 小さいわ酒癖は悪いわ人の服に潜って涎を垂らして寝るわと、とても賢者には見えない。



 だが、大らかで優しく、美味しい食事を作ってくれてしっかりしているのかと思えばどこか抜けていて妙な奴に好かれやすく、見ていて飽きない大切な仲間だ。



 いつか皆に俺の事を話せたら…仲間達と幸せだと報せに実家に顔を出すのも良いかもしれない。


リカルドに対して「6話でケチって思ってごめん」と思った方は★~★★★で是非評価をお願いします(*´∇`*)

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