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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第90話 自戒

「ごめぇぇん! 何やったかわからないけど、何かやらかしたんでしょう!? ごめんなさい、許してぇ」



 私は今、朝食前にホセに縋り付いて泣きながら謝っている、酔っ払って迷惑掛けたのは状況的にわかっているが、覚えて無いのでひたすら謝るしか出来ない。

 もう2度とお酒で迷惑かけないと港町で誓ったのにどうしてまたお酒で失敗しちゃうんだろう、こんなんじゃダメな大人一直線だ。



「2人とも、廊下で何やってるの? メイドさん達が遠巻きに心配してるよ?」



 通りかかったエリアスが呆れた視線を向けてくる、しかしそんな事よりホセに許してもらう方が大事だ。

 仲良しのホセにシカトされるなんて耐えられない。



「昨夜本当は3杯目なのに2杯目って嘘ついてごめんなさい! 酔っ払ってごめんなさい!!」



「あっ、テメェやっぱりそうだったのか! いつもより酔うのが早ぇと思ったら!」



 首根っこ掴まれて引き剥がされ、ジロリと睨まれる。

 港町でのお説教と同じく凄く恐い顔で睨まれ身体が勝手にプルプルと震え出し、自然と正座で座り込む。

 あの時みたいに気の済むまでお説教したら許してくれるだろうかと下心もありつつ怒られる姿勢をとった。



「はぁ…、もういいよ」



 投げやりな言い方に見限られたと思いボロボロと涙が溢れる、こんなに呆れさせるなんて何をしたんだ昨夜の私!



「う…っ、ひっく、ご、ごめ…なさ…」 



「あ~、違う違う、許してやるって言ってんだよ! その代わりもう酒は飲むなよ」



「………………はい」



「あはは、今の返事だと間違い無く飲むね」



 私達のやり取りを見ていたエリアスが茶々を入れてきたのでそんな事無いと否定しようとしたが、本当に皆が美味しそうにお酒を飲んでるのを見ても完全に禁酒出来るのだろうか。

 私の事だから全員が酔った頃合いを見て飲んで良いか聞いて飲みそう、そう思ったら目が泳いだ。



「あぁん? そうなのか? オイ」



 ここは一旦素直に飲まないと宣言するべきか、嘘をつかない為にも少しだけと交渉すべきか…。



「え~と…、自室で1人で飲むならいい? 誰にも迷惑かけない様に…」



 ほらね、と言わんばかりのエリアスのニヤついた視線とジトリとしたホセの視線が痛い。

 そしていつの間にかリカルドも何事かと見守っていた。



「ウルスカの家の自室だけだぞ…、あと少しでも酒を飲んでたら獣化はしてやんねぇからな」



「はいっ」



 ぐしぐしと袖で涙を拭うとリカルドが頭を撫でてきた。



「袖で乱暴に拭いたら目が腫れるぞ、ハンカチを持ってるだろう?」



「うん…」



「あ~…、リカルド、先にアイルを食堂へ連れてって少し落ち着かせてやってくれ」



「わかった、ほら行くぞアイル」



「はい…」



 食堂に行くと既にラファエルが居て、昨夜ホセに寝ようと言った事について獣化するという前提を知らないラファエルは顔を赤くしながらふしだらだと説教を始めた。





[ホセ、エリアス side]



「で、昨夜何があったの? アイルがあんなに号泣する程ホセが怒るなんて」



 リカルドに連れられて行ったアイルを見送ると、エリアスがホセに問うた。



「アイルが悪い訳じゃ…、いや、アイルが悪いのか…。いつもみたいに撫でられて気持ち良く寝そうになってたらよ…、いきなり触ってきたんだよ」



「ん? 撫でられてたんでしょ? ずっと触られてたんじゃないの?」



 意味が分からずエリアスは首を傾げる。



「だから…っ、獣化して無防備な…ナニを撫でてきたんだよ! しかも腹に顔を埋めてたから当然顔もすぐ横にある状態でだぞ」



「…ッ! ぶはっ」


 仕事をしているメイドが廊下を通るので、声を潜めて怒鳴るという器用な事をしつつホセはエリアスに訴え、その状況を想像してエリアスは思わず吹き出した。



「笑い事じゃねぇぞ」



 憮然としながらジロリとエリアスを睨む。



「ふくく、それで? それもやっぱり覚えてなかったの?」



「驚いて飛び退いた時にはもう寝てたから覚えてねぇだろ。その事より…ハァ…」



 片手で目元を覆い、項垂れてため息を吐くホセに、エリアスはわくわくした顔で続きを促す。



「え? 何々!? もっと面白い事あるの!?」



「面白くねぇよ! ……最近何もシてねぇからだろうけど…………撫でられたせいかちょっと勃ってた…………」



「………ッ!!」



 手の甲で口元を押さえながらプルプルと笑いを堪えるエリアス、他人事なので全力で面白がっているのが見てわかる。



「アイルは当然気付いてねぇけど気不味いだろう!? ガキだと思ってた相手にちょっと触られたくらいで…っ、男としての沽券に関わるだろうが!」



「いや~、むしろ股間に関わる? なんてねっ、あははぃたッ」



 ホセは苦虫を潰した様な顔でエリアスの頭にズビシッと手刀を叩き込んだ。

 別にアイルがやらかした事に関してはそんなに怒ってはいないが、気に入ってるとはいえ女としては見てない相手に少しでも反応してしまった自分が情けなくて気不味かっただけだった。



 だがその気不味さのせいで孤児院の幼い子供の様に泣かれては心苦しいので努めて気にしない事にした。

 食堂へ行くとまだ心配そうにチラチラとアイルがホセの顔色を伺っている。



 苦笑いしつつもう怒って無いと頭を撫でるとアイルはやっと安心した様に笑った。

 その後はあまりにもいつも通りになったので、本当に反省したのか疑わしかったが、ガブリエルにもう自分にお酒を出さないでと言っていたのでホセは一応信用する事にした。



 ちなみにその後、朝食が終わった頃に帰って来たビビアナにエリアスが一連の出来事をバラした事が発覚し、無手の手合わせと称した報復を受けるエリアスの姿が目撃された。

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