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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第415話 人助け

 少々気まずい空気が流れているものの、当事者と私以外は何も知らないので朝食後にはテントを片付けて出発した。

 そして鬱蒼(うっそう)とした森の手前で昼食を済ませると馬を馬車から外して本体をストレージに収納する。



「この先は馬車では通れませんからね、里までの道では魔物も出ますから馬に乗るのはお勧めしません、馬が驚いて暴れると落馬の危険がありますし」



 探索魔法で警戒していれば馬が驚く前に討伐出来るが、獣道程度しか道が無いから乗って行くと馬には負担が掛かるだろう。

 そんな訳でリカルドとエンリケが馬をひいて再び移動を開始した。



「ここからどのくらいかかるの?」



 歩き始めて10分、森なら歩き慣れているが、ゆるやかに傾斜があるので数時間なら覚悟しておかなければならない。

 私の質問にレミエルが笑顔で答える。



「1時間も歩けば結界に入るわ、そこからは10分もすれば里よ、陽が傾く前に到着するから安心してちょうだい」



 エリアスとの間の出来事をフォローしたせいか、レミエルは私に対してすっかり好意的になっていた。



「それなら安心だね、山の向きからして午後からの日照時間は短そうだし。この辺は魔物出ないの? 『探索(サーチ)』」



「出るのは小物だし、皆なら食材としか見ないと思うよ、あはは」



 ここは地球と同じく東から日が昇って西に太陽が沈んで行く、そしてエルフの里の西側に山があるので夕方には直射日光が当たらないのだ。

 ガブリエルは笑ったが、食材と見れないモノが探索に引っかかってしまった。



「ガブリエル…、魔物じゃないけど面倒なのが探索に引っかかったんだけど…」



「え?」



 私の言葉にガブリエルだけで無く全員が不思議そうな顔をした。

 面倒事の予感しかしないけど皆に状況を説明する。



「どうも人が3人居るみたい、確かエルフって今子供が居ないんだよね? 身長的に成人してなさそうだから子供だと思う、て事は人族でしょう? 1人は倒れてるみたいなんだよねぇ…、近くに猪(ボア)系の魔物が倒れてるから襲われて何とか討伐出来たけど怪我人が出たってとこかな?」



「アイルってば凄いわね、人数だけじゃなく大人とか子供の区別もつくんですもの!」



「確かに…、私も人数はわかっても大人と子供の区別は難しいかなぁ。ウリエルならわかるだろうけど」



 魔力操作が大雑把(おおざっぱ)だというレミエルに感心されても…と複雑な気持ちになったが、意外にもガブリエルにとっても難しいらしい。



「慣れですよ、慣れ。私は移動が多い分探索魔法を使う機会が多いだけです、使う回数が多ければ嫌でも慣れますからね。とりあえず怪我人が居るなら様子を見に行きましょうか、子供が一緒なら盗賊という可能性も低いでしょう。アイル様、その人達はどちらの方向に居ますか?」



「あ、そっちの方だよ」



 ウリエルに聞かれて探索魔法に引っかかった3人が居る方向を指差す。



「あ~、そっちは黒猪(ブラックボア)の縄張りだわ。そりゃ襲われるわよ」



 そう言ってレミエルが肩を竦めた。


 

「魔物でも縄張りとかあるんだね」



「そりゃあるわよ、魔物なんて元々は普通の動物だったものが魔素に晒されて変質したもの…って長老達が言ってたし」



「なるほど、だから聖域って言われる所や魔素の薄い村や町に居る動物は魔素に晒されないから普通の動物なんだね」



「そういう事です。さぁ、ここからは私の姿を見失わない様について来て下さいね、森全体に幻影魔法が掛けられているので普通に歩いているつもりでも違う方向へ歩いてしまいますから」



「ウリエル達は大丈夫なの?」



「ええ、この里のエルフ達は子供の頃から大人と一緒に歩き回って覚えるので傾斜や木の間隔、生えている植物で判断出来るのです。長老達なんて目隠しをしても自由に歩き回れる程ですからね、まさに森を知り尽くしていると言えるでしょう」



「おい、声が聞こえるぜ」



「うむ、泣いている様だな。従者らしき者が宥めている様だがアレは無理だな」



 私とウリエルが歩きながら話していたら、ホセとおじいちゃんの耳が声を拾ったらしい。

 探索した感じだとそんなに小さな子供でもなさそうだったのに、怪我したのが余程大切な人なのだろうか。



「走っても構いませんか? この辺りで泣き続けるのは危険ですから」



 ウリエルの問いかけに全員が頷いて走り出した、途中で遅れそうになってこっそり身体強化を使ったのは内緒だ。



「うぅ…っ、嫌だ、じいを置いていける訳が無いだろう…ひっく、私が背負う、ぐすっ、だから諦めるな…っ」



 近くに来て気付いた、子供だと思っていた子が思ったより子供という訳では無いという事に。

 従者2人の体格が良すぎて子供に感じたが、ギリギリ成人はしていそうな男の子だった。



 見たところ騎士と侍従と貴族の坊々(ぼんぼん)といったところか、侍従が坊ちゃんを庇って怪我をして、その隙に騎士が討伐したけど侍従の怪我で動揺した坊ちゃんが泣いて動こうとしないんだね。



「これは…、中々に深手ですね、私の治癒魔法では治せません」



「誰だッ!?」



 ウリエルの呟きを拾った騎士は倒れている侍従と坊ちゃんを庇う様に立ち塞がり、剣をこちらに向けて構えた。



「エルフ!? しかもその姿は…」



「アイル」



「わかってるって! ハイハイ、その人助けて欲しかったら剣を下げて~、とうっ。『洗浄(ウォッシュ)』『治癒(ヒール)』」



 ウリエルの後ろに居たリカルドが私に目配せをしたので前に出たが、騎士はウリエルを見たが警戒を解かなかったので手刀で剣を叩き落とした、身体強化していて正解だったね、うん。

 そして少々臭う3人を纏めて綺麗にしてから倒れている侍従らしきお爺さんに治癒魔法を掛けた。



「う…、何が…」



「傷が…、じい!! 貴女(あなた)は…黒髪に黒い瞳…噂の賢者様!?」



 傷が治り、身動(みじろ)ぎしたお爺さんを確認した坊ちゃんが顔を上げて瞠目した。

 なんか凄く期待している目をしているけど、これ以上は助けないからね。

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