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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第367話 ホセの気持ち

 食堂のダイニングテーブルは8人掛けだが、今はエドが所謂(いわゆる)お誕生日席に座っている。

 結局宿は決めて来たが、披露パーティーでのご馳走が食べられ無かったからとゴネてこの家で食事をする事になったのだ。



「だからエドガルドが凄い顔してたんですね、アイルに対する執着っぷりからしたら理解出来ます。もしも私も王都に居る時にビビアナのそんな噂を聞いたとしたらジッとしていられなかったと思いますから…」



「ふふ、セシリオったら」



 夕食の時間にはセシリオも帰って来たので、セシリオが仕事に戻ってからの出来事を説明した。

 とりあえず執着とか言わないで欲しい、ストーカー気質のエドの執着って怖いもん。

 ホセは興味が無いと言わんばかりに餡掛け肉団子を頬張っている。



「わかってくれるかい? まさかと思いながらも駆けつけたら以前よりも魅力溢れるアイルを目にしたんだ、勘違いしても仕方ないだろう?」



「ケッ、何が魅力溢れる、だ」



 エドの言葉にホセが悪態を吐(つ)く。



「……ホセってばセシリオやビビアナがイチャつこうが惚気(のろけ)ようが気にしないのに、エドが私を褒めると突っかかるよね。そんなにエドが気に入らないの? それとも私が褒められるのが気に入らないの!?」



 エドくらいしか私を魅力的だなんて言ってくれないのに、そのエドの口を封じられては女性としての褒め言葉が聞けなくなるじゃないか!

 もう小さいとか面白いとか聞き飽きてるんだから!



「いや、その、そいつが気に入らないってのは確かにあるけどよ…」



「まぁまぁ、アイル。それ以上突っ込んで聞くのはホセが可哀想ってものだよ」



 モゴモゴと言い訳めいた事を言うホセをエリアスが満面の笑みで庇った、その笑顔は内心もっと突っ込んで聞いてと物語っている。

 何を言わせたいのか知らないけど、私はため息を吐いてホセとエリアスを見た。



「はぁ…、ホセが私の事を好きな訳じゃあるまいし、何が可哀想なの?」



 私がそう言った瞬間、見事に食堂内がシンと静まり返った。



「「「「「「「「…………」」」」」」」」



「え? 何!? その反応は!! まさか本当にホセが私の事異性として好きって訳じゃ「だったらどうなんだよ」



 赤い顔で憮然とした表情のまま目を逸らしているホセが私の言葉を遮った。

 その言葉を信じろというのは無理というものだ、私は残念なモノを見る目をホセに向けた。



「ホセ、無い、無いよ。さっきまで自分がどこに居たかわかってる? それで私が好きとか普通は口が裂けても言えないと思うの、むしろ言ったら私が裂くよ。それでも私の事が好きだと思ってるのならそれは勘違いだね」



「何でそんな事言い切れるんだよ!」



 自分の気持ちを勝手に否定されたからか、ホセは私を睨んだ。



「言い切れるよ、だって私が普段ホセにしてる事考えてもみてよ」



「世話…だな、俺達もされているが」



 ホセより先にリカルドが答えた。



「あとはモフってるくらい…かな?」



 天井を見つめながらエリアスが呟く。



「モフると言うより我々からしたらマーキングだな」



 エリアスの言葉を訂正するおじいちゃん。



「そう、お世話をしてマーキングするのは普通は獣人の家族の中で誰だと思う?」



「それはやっぱり母親じゃないかしら?」



 もうすぐ母親になるビビアナが真っ先に答えた。



「そういう事、ホセは私に母親像を重ねて独占欲を感じてるだけだよ。私が狼獣人の幻影纏(まと)った時は見た目で惑わされそうになってたみたいだけどさ」



「ホセは無意識に理想の母親をアイルの中に見ていたという事か、意外に子供だったんだな」



 エドがクスクスと笑ってホセを見た、ホセはそんな事を私から言われると思っていなかったからか、ポカンと口を開けて呆けている。



「ベアトリスの記憶が無いからこそ無意識に母親を求めていたと言われれば納得は出来るな。なに、恥ずかしい事では無い、私でもこの歳になって母に会いたいと思う時があるのだ、ホセなら尚更(なおさら)だろう」



 おじいちゃんが慈愛の微笑みをホセに向けた。

 何気に前から思ってたんだよね、最初は妹分として構ってくれてると思ってたけど、ちょっと乱暴だったり意地悪してくるのが親の愛情試す子供みたいに感じる時があったから。



 私が本気で怒ったらちゃんと機嫌取る為に大人しく言う事きいたりするし、私の事を女として好きならリカルド達と一緒に居てもヤキモチ焼くはずなのに家族だからなのか平気そうだしさ。

 家族という枠の外にいるエドやガブリエルのお世話をすると敵対心見せるのはそういう事だと思う。



「そんな…、けどよ、お前を見てその気になった事もあるんだぜ!?」



「ッ!? ……………それは暫く娼館に行って無かった時じゃないの? 溜まってただけでしょ」



 危ない、危うく動揺しかけた、そうか、ホセってば私に女の魅力を感じた事があったのか…。

 内心勝ち誇ってニヤつきそうになる表情筋を宥(なだ)めつつ平静を装った。



「確かにそうだったような…、あれ? まさか本当にアイルに母親を求めてたって事になるのか? いや、そんなバカな…」



「認めなくないかもしれないけどそういう事だよ。飲みたい気分だろうからお酒出してあげるね、小樽くらいなら飲んじゃうかな? ハイどうぞ」



 ストレージからビールの小樽を出してジョッキに注(つ)いでホセに差し出すと、ホセは動揺したまま一気にビールを煽(あお)った。



「そういえばアイルがこの家に来たばかりの頃にホセが酔ってアイルとマザーを間違えた事があるって言ってなかった? 案外その頃から無意識に母親像を重ねてたんだったりして」



 エンリケがポム、と手を打ち懐かしい事を言った。



「ふふふ、しょうがないなぁ。ホセ、私の事お母さんって呼んでも良いよ? な~んてね!」



「誰が呼ぶか!!」



 その晩、ホセは酔い潰れるまでお酒を飲み続けた。

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