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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第330話 甘え上手

「うん、美味しい!」



「凄いねぇ、アイルの作った物と遜色(そんしょく)無いんじゃない?」



「こっちも美味いぜ、行きに寄った時よりかなり腕が上がってんな」



「いやぁ、賢者様御一行にそう言って貰えるなんて光栄だなぁ」



 トレラーガの手前の町で寄った宿屋の食堂で夕食を食べている私達。

 私は親子丼、エリアスは唐揚げ、ホセはカツ丼を食べているが行きに寄った時より随分美味しくなっている。

 行きに寄った時にアドバイスしたからかもしれないけど、他の皆も満足そうな顔をしているので全部美味しいのだろう。



 宿屋の主人兼料理人、というのはよくあるが、素直にアドバイスを受け入れる柔軟さは好感が持てる。

 ちなみにアドバイスをする切っ掛けは主人ではなく…。



「賢者様、お水のおかわりは?」



「もらおうかな、ありがとう」



 ここの看板娘のアナベル(5歳)だ、半年前からお手伝いを始めたらしく、常連の冒険者達のアイドルでもある。

 ふわふわした栗色の髪に若葉色の瞳、人懐っこい笑顔を振り撒く天使なのだ。



 行きに寄った時にも私のレシピを使って料理を出していたけれど、火が通り過ぎていたり、カツも二度揚げをしてなかったりと仕上がりが微妙だったのだ。

 皆が無言になってしまったのをアナベルが目敏く気付いて料理が美味しくないのかと聞きに来た。



 アナベルは普段から冒険者達に可愛がられているせいか、自分が可愛いとわかっている様で、あざと可愛く「お父さんに教えてあげて」と頼まれては嫌とは言えない。

 周りの目もあったから断ったらブーイング確実だったしね。



「賢者様のおかげでお父さんの料理がおいしくなったからお客さんもふえたの、だから新しい服も買ってもらえたんだよ!」



 そう言ってクルリと1回転した、言われてみれば着ているワンピースが古着っぽいものだったのに、新品だとわかる綺麗な物に変わっている。



「そのワンピース似合ってるよ、可愛い」



「えへへ、ありがとう。ゆっくりしてってね」



 アナベルは照れた様に笑って厨房の方へと向かって行った。



「あの子が獣人だったら捕まって頬擦りされてたところだよね」



「エンリケ!? 私そんなに見境無くないよ!? 今は食事中だしそんな事しないもん」



 プリプリ怒ってつゆの染み込んだご飯を頬張る、美味しいご飯を食べると心が広くなるよね、エンリケの事赦(ゆる)せるもん。



「ところで明日はエドガルドの屋敷に泊まるの? おじいさんも居るの知らないよね?」



 食後のお茶を飲みながらエリアスが言った。



「それならおじいちゃんは私と一緒の部屋に泊まれば良いと思うの、ベッド大きいし」



「お前…じいさんに獣化してもらう前提で言ってるだろ」



「…………えへっ」



 笑って誤魔化してみたけど、ホセはジト目を向けたままだ。



「私は構わんが…、アイルのマッサージは気持ち良いしな」



「本当!? じゃあ約束ね!」



 おじいちゃんが良いと言ってくれたならホセも止めないだろう。

 うふふふふ、一緒に旅して約ひと月、栄養を考えて食事を準備してきたから前より毛並みが良くなってるはずだもんね。



「ホセったら拗ねないの、あなたも一緒に寝ればいいじゃない」



「拗ねてねぇよ!」



「拗ねて無くても一緒に寝ればいいじゃない」



 ビビアナの真似して誘ってみた、あの夢のダブルもふもふ再び!!

 片眉を上げてチラリと私を見るホセ。



「………じいさんと2人きりだとエドガルドのヤツが騒ぎそうだしな、わかった」



 テーブルの下でこっそりガッツポーズをする私、思いがけず目的達成で顔が笑ってしまいそうになる。

 ダメよアイル、ヘタにニヤニヤしてたらホセがやっぱりやめたとか言うかもしれないから我慢しなきゃ!



「良かったねぇ」



「うん!」

「あァ!?」



 エリアスの言葉に私とホセが同時に答えた、どうしてホセが反応したんだろう?

 声を掛けたエリアスはニヤニヤしながらホセを見ている、あ、ホセが舌打ちして目を逸らした。



「おバカさん達は放っておいて部屋に戻りましょ」



「うん…?」



 ビビアナは呆れた顔、おじいちゃんや他の2人は笑いを堪えながらホセとエリアスを放置して部屋へと戻った。

 暫くしてからムッツリとしたホセと機嫌の良さそうなエリアスも戻って来たけど。



 とりあえずやっぱり一緒に寝ないと言い出す様子は無いので内心ホッと安堵の息を吐いた。

 明日の行動を話し合ってから私とビビアナは2人の部屋へと戻る。



 今回はホセとおじいちゃんも2人部屋で、残りの3人が同室となっている。

 道中何度も2人部屋になっているおじいちゃんとホセは、すっかり馴染んで昔から一緒に居たんじゃないかと思うくらいだ。



 たまに私とビビアナに護身術を教えてくれたりもするので、ビビアナも時々おじいちゃんに甘える姿を見る様になった。

 甘えると言っても馬車の中で肩を借りてうたた寝する程度だけど、何気にビビアナのそんな姿は珍しい。



 ホセが居るとお姉さんポジションでしっかりしなきゃと思ってるかもしれないけど、22…もう23歳か、そのくらいだとまだ誰かを頼りたくなる時もあるよね。

 そんな訳で普段ビビアナがおじいちゃんに甘えている時は距離をとって邪魔しない様にしている。



 だから明日エドの屋敷では私がたっぷりおじいちゃんに甘えても許されるよね?

 私は漏れ出そうになる含み笑いを堪(こら)えながら眠りについた。

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