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自由に生きようと転生したら、史上4人目の賢者様でした!?〜女神様、今の時代に魔法はチートだったようです〜【web版】  作者: 酒本アズサ


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第277話 船待ち最終日

「やっと今日出発だねぇ、長かった様な短かった様な…」



「ふふっ、まだ旅は続くのよ? だけどここから暫(しばら)くは動かない寝床とはお別れなのがねぇ…。あの山脈さえ無ければ陸路で行けたのに」



 悩ましげにため息を吐くビビアナ、身体強化を掛けると酔わなくなるが、波の揺れ自体があまり得意では無い様だ。

 宿屋から遠くに見える広範囲に聳(そび)え立つ山脈はタリファスの王都と同レベルで、越えるなら命がいくつ必要かわからないらしい。



「そうだねぇ、かと言ってトンネル掘ろうと思ったら100年計画でも完成するかどうか…」



「でもまぁ、二度と教会本部なんて行かないだろうからトンネルが出来ても出来なくても関係ないわね。それより早く食堂に行きましょ」



「うん、お腹空いちゃった」



 私は肩を竦めて食堂へ向かうビビアナを追いかけた。

 食堂の個室へ向かうとリカルドとアルフレドの姿が見えなかった。



「2人はどうしたの?」



「今日から船でしょ? だから暫く思いっきり手合わせ出来なくなるから朝の訓練するんだって。先に食べててって言ってたからビビアナとアイルの分も注文しておいたよ」



「ははは、アルフレドに比べるとオラシオとエクトルは今ひとつ実力が足りないので、対等な相手と手合わせ出来るのが嬉しくて仕方ないのでしょう。アルフレドと対等に打ち合える者は聖騎士の中でも上の者ですから部署が違ったりしてなかなか共に訓練出来ませんからね」



 なるほど、船に乗る前に全力で暴れておくんだね。

 確かに船の上であの2人が手合わせしたら、船が壊れそうだから仕方がない。

 氷で海の上に足場を作ったとしても、手合わせしてる間に置いてかれちゃうしなぁ。



「6日後には途中の島に立ち寄りますが、それまでは軽くしか訓練できませんからね。それにしてもリカルド殿は貴族出身だそうですし、アルフレドと拮抗する実力があるので聖騎士に勧誘したいくらいですよ」



「ダメっ! ダメだからね!?」



 オラシオの言葉に思わず言い返す。



「ははは、わかっております。アイル様の大切な仲間を引き離したりしませんからご安心下さい。……本人が希望するのなら大歓迎ですけど」



 最後にポツリと付け加えられた言葉に危うく口に含んだ豆スープを吹き出しそうになった。



「オラシオ、アイルで遊びたい気持ちはわかるけど、あんまり揶揄(からか)わないであげてよ」



 なぬッ!? エリアスの今の言葉に色々ツッコみたいんだけど!?

 私ってばオラシオに揶揄われたの!?

 そして気持ちはわかるってどういう事!?

 キッとオラシオとエリアスに鋭い視線を向けるとオラシオは苦笑いを、エリアスはにっこりと微笑んだ。



「アイル、気にしたら負けよ? さ、早く食べ終わっちゃいましょ」



 ビビアナに促されてムグムグと豆を咀嚼(そしゃく)しつつ頷いた、そうか、オラシオはちょっと抜けてる気の良いお兄ちゃんキャラだと思ってたけど、エリアスと同類なのか…。

 でも腹黒いのとはちょっと違うか、どちらかと言うと悪戯が好きなだけっぽいからホセの方が近いかな?



「船の上ではアイルの料理たべるんだよね? ここにいる間はずっと食堂のご飯だったから船に乗るのが楽しみだよ。エリアスは食べたみたいだけど俺はまだクラーケン料理食べてないんだよね」



 食事が終わるとエンリケがジトリとした目を向けて来た、だってあれは商業ギルドについて来てもらう為の賄賂だったもん。

 それよりやっぱりあのイカの名前クラーケンで正解だったのね、クラーケンと言えばタコだと思ってたけど、考えてみれば鑑定すれば良かったか。



「私の料理だけじゃないけど、クラーケン料理はちゃんと食べられるから安心して、材料もたっぷりあるからいくらでも作り足せるし」



「オレも食ってねぇから早く食いてぇ、昼に出してくれよ」



「わかった」



 ホセからもリクエストが入ったのでお昼はクラーケン料理に決定した、何気にカリスト大司教達も嬉しそうにしている、きっと食べたかったのだろう。

 私達が食堂を出ようと立ち上がると、ちょうどリカルド達が個室に入って来た。



「アイル、すまないが洗浄魔法を頼んで良いか? 今からシャワーを浴びていたら出発までに朝食を済ませられないと思うんだ」



「良いよ『洗浄(ウォッシュ)』」



 水も滴(したた)るイイ男状態な程、汗を滴らせている2人に洗浄魔法を掛ける。



「「ありがとう」ございます」



 個室に入る前に注文したのか、2人が座るとすぐに朝食が運ばれて来た。



「じゃあ僕達は先に出る準備しておくね、リカルドの夜着も洗浄魔法掛けてもらっておくから」



「ああ、頼んだ」



「カリスト大司教達の部屋にも後で洗浄魔法掛けに行きますから、洗濯したい物は全部出しておいて下さいね」



「はい、ありがとうございます」



「いつも助かりますアイル様、洗浄魔道具はさすがに大きくて持って来れなかったので…」



 どうやら洗浄用の魔道具があるらしい、でもウルスカでもトレラーガでも見た事無いから貴族階級の人達だけが使えるお高い魔道具なんだろうな。

 カリスト大司教はマジックバッグを持っている様だけど、魔道具を持って来れないと言うから容量が小さいのかも。



 私達が出発準備を終える頃にはリカルドとアルフレドも戻って来たので宿を出た。

 朝食後すぐの為か、料理長達や領主も港まで見送りに来てくれて、私達はお礼の言葉を聞きながら港を離れた。

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