第263話 会議
お好み焼きを食べ終わり、食後のお茶を飲みながら会議を開く私達。
何の会議かというと、ビビアナとセシリオの結婚式に関してだ。
セシリオとしては半年近くビビアナと離れるので、その前に結婚しておきたいが、そうするとあと半月後には結婚式を挙げなくてはいけない。
「あ、いっそ教会本部で挙式するとか?」
「バッカ、そんなのいくら掛かると思うんだよ!? 王族ですらそうそう教会本部で挙式なんてしねぇぞ!? それにセシリオもそんなに休めねぇだろ」
行き先が教会本部だからちょうど良いかと思ったけど、費用の問題があったか。
休みに関しては私やカリスト大司教の護衛だとか適当に理由をゴリ押し出来るとは思うけど。
「う~ん、だけど私的には挙式後はゆっくり蜜月を過ごして貰いたいなぁって思うんだけど、挙式が半月後だとそれ無理だしねぇ」
「いっその事カリスト大司教の護衛はビビアナ抜きにして、その間ウルスカで新婚生活を2人で楽しんでもらう…というのはどうだ?」
思わず「嫌だ!」と言いそうになったけど、ビビアナの幸せの為なら我慢しなきゃいけないと思い、俯いてグッと堪えた。
「あ、ちょっとそれダメみたいだよ」
エリアスの言葉に顔をあげると皆の視線が私に集中していた。
「やだもぅ、アイルったら可愛いんだから! そんなに唇噛み締めたら切れちゃうわよ」
どうやら無意識に唇を噛み締めていたらしい、次の瞬間にはビビアナのマシュマロ乳に埋もれていた、ヌゥ…、セシリオに揉まれた後のせいかいつもよりマシュマロ度がアップしている気がする。
「ビビアナが居ないのは寂しいけど、新婚生活も大事だから我慢するよ…?」
ムギュウと自ら埋もれつつ言うと、ビビアナは頭を撫でてくれた。
「だけどこの家に2人だけだと…あたしも寂しくなっちゃいそう」
「それより食事の心配しなきゃなんねぇだろ、半年もアイルの料理食べずに我慢出来んのか?」
「あはは、確かにね~。チラホラ商業ギルドに登録された料理を出す店はあるけど、まだまだ種類は少ないから飽きちゃうだろうなぁ」
「確かにそれは辛いわねぇ…」
「あの…、それよりさ、教会本部でここからは女性しか入れませんってアイルと分断されたら危険じゃないかなぁ。俺が幻影魔法で女のフリをするとしても半年…片道だから3ヶ月か、ずっと続けるのは厳しいと思うんだよね」
「「「「「……………」」」」」
エンリケの言葉に皆が無言になった。
「じゃあ…あたしが留守番っていうのは無しね、となると式だけ先に挙げるか、帰って来てから挙げるか…」
「俺の個人的な意見だが帰って来てからの方が良いと思う」
リカルドが妙にキッパリと言った。
「あら、どうして?」
「すぐに式を挙げた場合、町の奴らはセシリオの事をビビアナを掻っ攫う他所者と見るだろう。半年後ならある程度馴染んでいるだろうから周りの奴らも受け入れやすいと思うんだが」
「確かに…、ビビアナが居ない状態で町の為に頑張ってる姿を見たら受け入れて貰いやすいだろうね。エンリケもウルスカに来てからソロで暫く活動してたから『希望』に加入してもそんなに反発されてないし。私が入った時はいきなりだったから結構絡まれたもんね」
皆の意見を聞いてセシリオはギュウと眉間に皺を寄せてから顔を上げた。
「2人にとって一生の思い出になる日を出来るだけ多くの人に祝って貰いたいので…半年後、皆さんが戻って来てから挙式したいと思います」
「じゃあ決まりだな、ビビアナもそれで良いか?」
リカルドが最後にビビアナに確認する。
「ええ、良いわ。だけど半年も離れると心配ねぇ」
ビビアナの言葉に私はストレージから小さめの魔石を出した。
「『隠蔽付与』…はい、コレあげる」
セシリオに隠蔽魔法を付与した魔石を差し出し、受け取ったセシリオは不思議そうに魔石を眺めた。
「これは…?」
「ビビアナはビビアナを敵視してる女の人がセシリオにちょっかい掛けるのが心配なんでしょ? だからそういう人に絡まれた時に握って念じれば他の人からセシリオが見えなくなるよ。それこそ騎士として仕事してる時にも使えるからビビアナも安心でしょ?」
「アイル…っ、ありがとう!!」
「ありがとうございます」
私は再びマシュマロ乳に埋もれながら2人からお礼を言われた。
挙式を延期させちゃうんだからこれくらいは喜んでさせてもらうよ。
会議は終了となり、午後からは半月後の為の料理ストックを作るべく買い出しに向かう事にした。
男性陣は作る分や屋台の料理で持って行きたい物をリクエストする為一緒に家を出たが、ビビアナとセシリオはお留守する様だ。
広場で私達が常連の屋台を巡り、買い物中に持ち帰り分を準備してもらいつつ食材を買い足す。
出来立て熱々をストレージに収納する為、数回に分けて商品を引き取りにあっちへチョロチョロ、こっちへチョロチョロ。
「うん、今日はこんなところかな。何かトラブルがあっても食料に困らない様にしておかないとね!」
「次は半年だからいくらあっても足りねぇくらいだろうからな」
「う~ん、また寸胴鍋も追加で買うべきかな。お米も炊いて、普通のとおにぎりと焼きおにぎりと準備しなきゃね」
「あっ、アイルが言うから焼きおにぎり食べたくなっちゃったよ…。今日食べたいな~、僕も上手におにぎり握れる様になったから手伝うしさ」
「焼きおにぎりってなんだい?」
「焼きおにぎりって言うのはね~」
エンリケの質問に答えながら家へと向かい、大量の焼きおにぎりを生産した。
なお、夕食時に食堂に現れたセシリオは何となく萎れていた、ビビアナは機嫌と肌艶共にすこぶる良かったと追記しておく。




