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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第四章 ナディア様の誕生日

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77.ヴァンが何をしているのか気になるナディアについて

 さて、現在ヴァンはナディアの誕生日プレゼントを作成しようという理由で、実家にちょくちょく顔を出している。

 どうせプレゼントをあげるのならば、喜ばせたいと思っているヴァンはナディアに自分がネックレス--それも魔法具を作ることを隠していた。あとついでに言うと誕生日プレゼントを作成するのと、ナディアの誕生日のために礼儀作法を叩き込まれているのもあって、そこそこ忙しいヴァンはナディアにあいにくる頻度が少し少なくなっていた。

 ヴァンが自分の元へやってくることが当たり前のようになっていたナディアからしてみれば、一大事である。少し間を空けてあったときも、プレゼントのことを隠して驚かせようと考えているヴァンは若干挙動不審なのであった。

 (ヴァン様は、私に何か隠しているの? 何をしているのかしら?)

 そんな風に気になってしまうナディアである。

 ヴァンが自分に対してこそこそしていること、それがなんともいえない気持ちになる。

 ナディアにとってヴァンの存在は特別になっているのだ。

 (……ヴァン様が、私を好いてくれている事実がうれしい。それが、他に向いたら悲しいし、さびしいって私はそんな風に感じている)

 それを実感する。

 ただ挙動不審なだけでも、不安になる。

 「……ナディア、どうしたんだい?」

 ちなみに、憂いの表情を浮かべているナディアの目の前には王太子であるレイアードがいたりする。

 レイアードは、ヴァンに負けない誕生日プレゼントをあげるぞと勝手に対抗心を燃やしており、今回ナディアにほしいもの調査に来ていた。シスコンは妹の喜ぶ笑顔のために必死である。

 「ヴァン様が」

 「ヴァンが何かしたのか?」

 「なにもしていませんわ…いえ、だからこそ私は悲しいのですわ。最近ヴァン様は少し様子がおかしいのですの。私に隠し事をしているみたいで。私はそのことが悲しいってそんな風に感じているんですの」

 そんな言葉を口にして、ナディアは自分はわがままだなとため息をはく。

 ナディアはヴァンのことが知りたいのだ。ヴァンが隠し事をするのが嫌なのだ。でも、それはわがままでしかない。

 人には秘密があるのは当たり前で、そもそもいくら水面下でヴァンをこの国に繋ぎ止めるためにヴァンとナディアを結婚させる話がでていようとも、ヴァンとナディアの関係は現状王女と王宮魔法師の弟子でしかない。だからこそ、ヴァンの事を知りたいとこんなにも思うのはナディアの我儘でしかない。でも、我儘だったとしても、その思いはナディアにとっての真実である。

 レイアードはその言葉を聞いて固まる。

 可愛い妹であるナディアがそんなにもヴァンの事を思っていますよ発言を聞いたのだ、それはもうシスコンにとっては衝撃であろう。

 見た目も能力も一流であるレイアードだが、何とも残念な中身のシスコンである。

 (ナ、ナディアはそんなにもヴァンの事を考えているのかっ。くぅう、ナディアにそこまで気にされるなんてっ。ヴァンは優秀で力もある。ナディアの事を思っているだろう。しかし、ナディアの事を簡単にやるなどはやはり出来ん。大体、今年十一歳になるナディアにまだ恋愛なんてはやい!)

 はっと硬直から立ち直ったレイアードはそんな思考をしていた。

 「レイアードお兄様? どうなさいましたか?」

 まぁ、しかし、レイアードに可愛がられている自覚はあるものの、どこまでシスコンを拗ねらせているかなどと知らないナディアは不思議そうにレイアードに問いかけた。ナディアにとって自分を可愛がってくれている兄が、ヴァンを認めないなどと考えているなどとは全然思っていない。

 自分の事を応援してくれるだろうし、助けてくれるだろうという信頼ぐらいはある。

 「……なんでもない。それで、ヴァンの様子がおかしいだったか」

 兄としての威厳を保とうと平然を装ってレイアードは言う。実際、心の内では大暴走しているわけだが、それを一切外に出さないのは流石である。

 「はい、そうですわ」

 「……ナディア、そんなに気になるなら私が調べてあげよう」

 「本当ですの?」

 「ああ。ナディアは王宮の外には出れないだろう。私なら外の事を調べる事ぐらいたやすい。何より、ナディアには笑っていてほしいからね」

 こんなのでも、王太子としては優秀なのだ。王宮の外の実家に帰っているヴァンの事を調べるなどレイアードからしてみればたやすいことである。

 第一、ヴァンよりも良いものをナディアに上げるぞという願望の元、ヴァンの周りに間諜を放っているので余計ナディアの願いはかなえやすい。……最もそんなことを調べるために放たれる間諜には同情するところがあるが。

 「ありがとうございますわ、レイアードお兄様」

 「いいんだよ、ナディア。この私がきちんと調べてあげるからね」

 にっこりとほほ笑んだレイアードは、内心でヴァンが心変わりをしたなどといったことがあったらどうしてくれようなどと考えていた。




 ―――ヴァンが何をしているのか気になるナディアについて

 (ナディアとレイアードはヴァンのいないところでそんな会話を交わすのです)



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