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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第四章 ナディア様の誕生日

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76.実家に帰るヴァンについて 下

二話連続投稿です。

 「ただいまー」

 ヴァンがそう口にして、実家の扉を開けた瞬間ガタッと音が響いた。

 ヴァンが何事かとそちらを見れば、店番をしていた母親が幽霊か何かでも見るような顔でヴァンの方を見ていた。

 「母さん?」

 「ヴァ、ヴァン? あんた、かえってきたのかい!? まさか、ディグ様の弟子をクビになったとかいうんじゃ……」

 「なんで、そんな驚いているの? 別にクビにはなってないよ。ちょっとやりたいことがあってかえってきただけ」

 「……やりたいこと? そうか、だからかえってきたのかい。ヴァンが理由もなしに帰ってはこないだろうし」

 「うん。俺ちょっと作りたいものがあるんだ。だからそれが完成するまでちょくちょくかえってくるから」

 「あー、そうかい」

 流石ヴァンの母親というべきだろうか、ヴァンの色々と他人に興味がない性格をきちんとわかっていた。まぁ、だからこそもうほとんどかえってこないだろうなと考えていたヴァンがかえってきて驚きの声をあげたのだが。

 「じゃあ俺工房にこもるから」

 「って、父さんへのあいさつは!? 父さんもすぐそこにいるんだけど」

 「それより作るのが大事だから。用があるなら父さんから来てっていって」

 ヴァンはそういうとすぐに工房へとスタスタと歩いていってしまった。

 何とも冷たい息子である。が、ヴァンからしてみればディグに帰ってくる時間を指定されているのもあって急いでいるのもあるが。

 そしてヴァンの中には里帰りに対する感傷なんてものは一切なく、ただただナディアのために何かを作りたいというそれだけだったのだ。

 ナディアの事しか基本的に興味のないヴァンらしいことである。

 「はぁ、ヴァンは相変わらずだねぇ」

 ヴァンの母親はヴァンの後ろ姿を見ながらそんな言葉をつぶやくのであった。




 そして場所は工房に移る。



 『主様、何を作られるのですか?』

 工房の中で考え込むヴァンにそう問いかけるのは、《サンダースネーク》のスエンである。

 ちなみに実家を守っている召喚獣はスエンである。一匹召喚獣が居るだけで、ヴァンの実家に手を出そうとしていた愚か者たちは手を出せない。それだけの力を召喚獣は持っているのである。それを二十匹も従えているヴァンの強さは計り知れないものである。

 「うーん、悩んでいるんだよ。どうせならずっと持っていられるものがいいなって思って」

 『だったら、ネックレスか、ブレスレット、イヤリングなどがよろしいのではないでしょうか?』

 異界で生きている召喚獣であるスエンであるが、人間社会について色々知っており、そのような助言をする。

 「でもイヤリングだとナディア様の耳に穴をあけるってことだろ? それはなぁ、ナディア様を傷つけてまでつけてほしいっては思わないし」

 『そうですか。ならば、やはりネックレスやブレスレットでしょうか?』

 「ネックレスなら服の下にもつけられるだろうしいいかもなぁ」

 誕生日プレゼントとしてあげるものなのだから、ずっとつけていてもらえるものがいいななどとヴァンは思っている。

 『それでよろしいかと思います』

 「でもただのネックレスっていってもなぁ。うーん、なんか効果つけられないかな」

 ヴァンは突拍子もなくそんなことを言い始めた。

 『効果?』

 「うん、ナディア様って王女様って立場だし、色々大変だから何かあった時にナディア様を守れる効果をつけられないかなって」

 『……それは、魔法具と呼ばれるものですね。主様ならやろうと思えば作れるかと思いますが、ただ魔法具と魔法は少し違いますので効能を追加するっていうのでしたらそれなりに魔法具について勉強してからがいいかと』

 「うーん、じゃあ、図書館いったほうがいいかな?」

 『図書館で調べ、そしてディグ・マナラナ殿に聞くもよろしいかと』

 「うーん、図書館行くか。でも先にどんなネックレス作るかとか考えなきゃ」

 『魔法具として完成するのはそれなりに難しいかと思います。主様は才能があるので数をこなせば出来ると思いますが。まぁ、失敗もするでしょうから、効能を込めるネックレスは沢山作っておくべきですね』

 スエンはそう口にして、足元でにょろにょろと動いている。

 まぁ、本来魔法具を作ったこともない人間がいきなり魔法具を作れるわけはないのだが、そこはヴァンなので数をこなせば成功するだろうとスエンは考えているらしい。

 魔法具は魔法の効果を発揮する道具であり、作れるものは少ない。また、魔法具の価値は高く、レイアードが幾ら高価なものをナディアに与えようとももしかしたらヴァンの作ったものの方が価値が高くなるかもしれないレベルである。

 「うーん、じゃあとりあえずネックレス作ってから考えるか」

 『それでよろしいかと思います。まだ時間はありますので、色々作ってみたらどうでしょうか?』

 「うん、スエンも意見をいってくれよな」

 『それはいいですが、小生は雄ですので、雌の気持ちはわからないですから上手く助言できるかわかりませんが』

 「いいよ、俺もわかんないし」

 そう告げてヴァンは、

 「よし作るか」

 と気合いを入れるとネックレスづくりに励むのであった。



 で、結局ネックレスをいくつか作成するとビッカに会わずにその日は王宮に戻るのであった。



 ――実家に帰るヴァンについて 下

 (ヴァンはナディア様のために、非常識にもいきなり魔法具を作ろうとしはじめる)




更新遅くて申し訳ないです。

ネット小説大賞落ちたので、MFブックスの賞の方に応募しようかと思います。

シチュエーションテーマは、逆玉と成り上がりかな?

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