表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第七章 王都で起こる出来事

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

174/272

154.王都の中での情報収集について

 ヴァンはその日、姉弟子であるフロノスと共に王都内で行方不明事件について調べるために行動していた。『火炎の魔法師』の弟子であるフロノスとヴァンはカインズ王国内で有名である。それにヴァンは召喚獣たちを引き連れているので、それもあって王都内を歩く二人は注目の的である。

 ヴァンの側にいるのは、《サンダースネーク》のスエンと《レッドスコーピオン》のオランである。ちなみにナディアの側にはいつもより多い七匹の召喚獣をおいている。というのもナディアの友人が行方不明になったというのもあって、心配してふやしてある。とはいってもナディアは王城の外には滅多に出ないので、そんな心配はほぼ杞憂であるのだが……。それでもナディアに関しては心配性という言葉では足らないぐらい心配をしている。

 ヴァンという存在はナディアだけを大切にしている。それ以外の存在はいってしまえば、どうでもいいのである。親子としての情は両親にはあるけど例えばさらわれてもそこまで慌てないだろうし、昔からの知り合いでも本人にとってどうでもいい人たちはどうなろうと知ったことではない。

「ヴァン、どこを探すの」

「ひとまずうろうろする。うろうろして変なのみつけたら追いかける」

「行き当たりばったりね……」

「それでもナディアの友人を助けるための手がかりにはなるだろうから」

 ナディアの、ナディアの、としかヴァンは口にしないもので、フロノスは相変わらずだなと思ってならなかった。

 現状、王都内を徘徊している召喚獣たちからこれといった報告はない。何か起こったならば、召喚獣たちはすぐに察するだろうとヴァンは少なからずの信用をしている。報告がないということは、王都内で何も起こっていないということ。それがたまたま起こっていないのか、探られていることがわかっておとなしくしているのか分からないが、前者であろうとヴァンは思っている。そもそも人為的に人が消えているだろうと、予測されているだけであって実際にはどうであるかというのが現状はまだ分からないというほどしか人が消えている事件は起こっていない。

 仮に誘拐事件だったとしても、誘拐してその後に何かしらの交渉があるわけでもない。何が目的でそういうことを起こしているかもさっぱり分からないのが現状だ。

 その段階で、どのような手段で人を消えているのかがさっぱり分からないという段階で、その原因を探るというのは難しいことだ。

「……早く、ナディアの友人見つけたい」

「ヴァン……、そんなに簡単に見つかれば誰も苦労しないわよ。これだけの時間で見つかるのならばとっくに国が解決しているわ」

 フロノスはヴァンたちと共に王都内を歩きながらもそんなことをいう。

 フロノスは自分も召喚獣を顕現させていられればと思うが、正直ヴァンほどに化け物な魔力を持ち合わせていなければ召喚獣をずっと顕現させておくということは不可能なのだ。フロノスは今顕現させることを我慢して、いざという時に顕現させようと考えていた。

 さて、王都内をうろついていても特に異常というのは見つからないため、ヴァンとフロノスは情報収集をしていた。明確な何かがあればそちらに向かって、それをどうにかすればいいのだが、現状は明確な異常というものはない。だから解決させるための手がかりを探すことに専念することになった。

 ヴァンはすぐに解決したいといった態度であったが、現状他にどうする事も出来ないのだから仕方がない。情報収集をする中で何かしらのきっかけが見つかればいいとフロノスは考えていた。

「気づいたらいなくなっていた」

「帰ってこなくなったという話だった」

 気づいたらいなくなっていたということが多々あるらしかった。例えば、別れてすぐに振り向いたらもういなくて、そのまま行方不明になってしまったとか。ナディアの友人のイクノ・オーランについても貴族令嬢であるのならば少なからず周りに人がいるものだというのに、ふと目を離した隙に居なくなっていたという話だった。

 気づいたらいなくなっている。どうやっていなくならせているのか。本当に人為的なものなのかも定かではないが、どちらにせよ、人を一瞬で消え去ってしまう何かがこの安全なはずの王都内に存在しているということだ。

「……時間とかは分からないわよね」

「本当に目を離した瞬間に消えたのか、それともその後に消えたのかとかがわからない。別れてすぐ振り向いていなかったというのもその時急いでどこかに本人がいったという可能性もあるし」

「そうよね。何か法則性でも見つかればいいんだけど。そもそもそうやって消えさせるってどういうことなのか」

「分からない。でも本当に一瞬で消え去られているというのならば魔法か召喚獣かだと思う。なら、もっと王都全体に———」

 ヴァンとフロノスはその日、手がかりを見つけることは出来なかった。しかし、ヴァンはナディアの友人を取り戻すためだけに、一つの罠をかけることにした。




 ――――王都の中での情報収集について

 (『火炎の魔法師』の弟子二人はそうして行動に移した)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ