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ガラス職人の息子は初恋の王女様を守ります。  作者: 池中織奈
第七章 王都で起こる出来事

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146.ナディアとヴァンと姉姫たちの会話について

 その日、ナディアとヴァンはいつも通り二人で会話を交わしていた。

 「なぁ、ナディア」

 「なに、ヴァン」

 「明日はナディア用事あるんだろ?」

 「ええ。そうなの。友人たちとお茶会をすることになっているのよ」

 ナディアはヴァンに聞かれた言葉にそう答える。ナディアは以前仲良くなった令嬢たちと何度もお茶会を行っていた。その過程で親睦を深めていっていたのだ。ヴァンがナディア以外と対して仲良くしようとしていないのに比べて、ナディアはヴァンに相応しくなりたいと必死で人脈を広めているのだ。さて、令嬢たちだけのお茶会の中にヴァンが参加することもあるが、大抵は令嬢たちだけのお茶会である。

 ヴァンは正直いって、ナディアといつでも一緒に居たいと思っているので明日会えないことに落ち込んでいたりする。

 「ヴァン、明後日は時間をちゃんと作るから」

 「うん……」

 「ふふ、ヴァンは私にそんなに会いたいのね」

 「うん……」

 「私も、ヴァンにいつでも会いたいと思っているわ」

 ナディアが素直にそんな言葉を発すると、ヴァンはその言葉に嬉しそうに顔を破顔させた。

 

 さて、そんな穏やかな二人の会話の中に入ってくる二つの影がいる。



 「フェールお姉様、相変わらず仲良さそうね、あの二人。ここに割り込むとか、私ら、凄くお邪魔虫よ?」

 「関係ないわよ。わざわざ王女である私が時間を作ってここにきているのよ」

 堂々と二人の空間に割り込もうとしていくフェールに、キリマが咎めるような声を上げるが、フェールは一切お構いないしである。

 「ナディア、ヴァン」

 フェールは、二人に声をかける。

 「二人とも相変わらず仲良さ気ね」

 「本当に仲良しだよね」

 二人とも笑みを零しながら告げる。

 「そういえば、もうすぐ貴方たち社交界出るのよね?」

 フェールが、ふと口にする。

 ヴァンはナディアの誕生日パーティーには、参加していたがそれ以降は遠征をしたりとばたばたしていて社交界というものに全然参加していなかった。そんなヴァンは、次の社交界に参加することになっていた。正直全然乗り気ではないヴァンなのだが、ナディアがいるからという理由で頑張ろうと思っている。

 「うん。参加する」

 「ええ。ヴァンと私で参加するわ。ヴァンが私をエスコートしてくれる予定なの。ディグ様が一生懸命ヴァンに教えてくださっているのですって」

 第三王女であるナディアのエスコート役で社交界に登場するというだけでも、国がヴァンとナディアを婚約させようとしていることがわかりそうなものだが、ヴァンに関してはそういうことは全然気づいていない。

 周りから外堀を固められているが、本当に欠片も気づいていないヴァンなのであった。

 「まぁ、そうなのね。ヴァン、頑張りなさい」

 「まぁ、素晴らしいわ。私もディグ様にエスコートされたいわ。是非」

 フェールとキリマがそれぞれ口にする。

 「ディグ様に頼んでみたら?」

 「ええ、頼んでみるわ!! 断られるかもだけど、頼まないよりもいいものね!!」

 キリマ、断られるかもしれないことがわかりながらも凄く前向きな発言をする。そんな前向きなところはキリマの良い所だろう。

 「それで、ヴァン、大丈夫そうなの?」

 「うん。多分。ナディアのためだし俺頑張ります」

 「そうね、ヴァンならナディアのためならそうするでしょうね」

 フェールはそういいながら微笑む。ナディアはヴァンとフェールの会話に、ヴァンの隣で嬉しそうだった。

 (……ふふ、ヴァンにエスコートされるの、楽しみだわ。初めてヴァンにエスコートされるのだもの。嬉しくないはずないわ。ヴァンは私のためにと頑張ってくれてますし)

 ナディアはヴァンにエスコートされることに思いを馳せ、嬉しくて、楽しみで仕方がなかった。

 何かが起こるかもしれないという不安がないわけではない。だけど、ヴァンと、そして今もすぐそばで見守ってくれているヴァンの召喚獣たちがいたらなんだって大丈夫な気がしていた。ナディアはヴァンとその召喚獣たちが居るからこそこんなにも安心して行動が出来るのだ。

 「ねーねー、フェールお姉様は誰かにエスコートしてもらう予定とかあるの?」

 「私はないわ。エスコートしてもらうにしてもお兄様たちかお父様に頼むわ」

 「それも良いわね! 私もディグ様に断られたらそうしようっと。もし、ザウドックがいたらザウドックに頼んだ?」

 「………そうね」

 「ふふ、フェールお姉様、ちょっと耳赤い。可愛いー。ザウドックにフェールお姉様がエスコートしてほしいっていってたって手紙で伝えようかな」

 「って、ちょっと、貴方、何を言う気よ」

 キリマの無邪気な言葉に、フェールが慌てたような声を上げた。

 そんな会話を交わす側で、

 『あの王太子なら喜んでエスコートしそう』

 とレイアードのシスコンぶりをしっかり知っている召喚獣たちのつぶやきは誰の耳にも響いていないのであった。


 ――――ナディアとヴァンと姉姫たちの会話について

 (第三王女とヴァンと姉姫たちは和やかな会話を続けていた。そしてガラス職人の息子は社交界で王女様のエスコートをすることが決まっている)



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