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第0話 これは誰の記憶?
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目の前に、一人の少女が倒れていた。
指は不自然に曲がり、黒い紋様が手首から上へと這い上がっていた。
周囲の空気も、息をするのが苦しいほど熱かった。
フーティアはその場に膝をついていた。
目の前の少女が、もともとどんな姿だったのか。もう、よく思い出せない。
「フーティア!」
誰かに手首をつかまれた。
「……フーティナ?」
フーティナの顔は、もうよく見えなかった。
ただ、震えていたことだけは覚えている。
フーティアはその手を振りほどき、一歩前へ出た。
「フーティア! 戻って!」
少女に手を触れた瞬間、焼けつくような熱が一気に体へ流れ込んできた。
――熱い。
耳元で、まだフーティナの声がしていた。
近いはずなのに、少しずつ遠ざかっていく。
少女の腕の黒い紋様が、ほんの少し薄くなった気がした。
あと少し。
もう少しだけ――
「フーティア、もう……!」
その先は、聞き取れなかった。




