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『転移したけど70歳のままだった件〜エルフの村で知識チート(※ただの家庭菜園)を始めます〜』  作者: 凪塩 未来


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第1話:70歳の異世界転移と、温かいポックリ草スープ

初めまして、本作を開いていただき、誠にありがとうございます!


異世界転生・転移といえば「若返って最強の力を手に入れて無双する」のが王道ですが……本作の主人公・健一(70歳)は、まさかの【若返りなし・チート能力なし】で異世界に放り出されてしまいます。


腰は痛いし、膝も鳴る。チートな魔法も剣技もありません。

しかし、彼には70年間積み上げてきた「人生の経験」と「知恵」があります。

定年後の家庭菜園のノウハウ、山菜採りの知識、そして酸いも甘いも噛み分けた老練な視点――


若造たちには真似できない「熟練の知恵」と「圧倒的大人(おじいちゃん)の余裕」で、エルフの村から始まる第二の人生をのんびり、けれどたくましく開拓していくスローライフファンタジーです。


「おじいちゃん主人公が知識と経験で無双(?)する姿が見たい!」という方に楽しんでいただけたら幸いです。


※ブックマーク登録、評価、感想などをいただけますと、執筆の大きな励みになります!応援よろしくお願いします!

「おじいさん、またそんな遠くを見て。スープが冷めちゃうよ」


リリアが呆れたように木のスプーンを俺の手にはめ込む。温かい根菜のスープからは、地球のオニオングラタンスープに似た甘い香りが漂っていた。

一口啜ると、体にじわじわと温かさが広がる。

関節の軋みがほんの少しだけ和らぐような気さえした。


「……美味いな」


「でしょ?この村の特産、ポックリ草の根っこを入れてるの。血行が良くなって、お年寄りの膝の痛みに効くんだから」


ネーミングセンスに一瞬ヒヤリとさせられたが、確かに膝の重みが軽い。

ふと、思考が異世界モードに切り替わる。


薬草、効能、そして知識。


俺は70年間の人生で、定年後に市民農園を借りて本格的な家庭菜園をやっていた。

それに加えて、山菜採りが趣味だった。

異世界の植物とはいえ、観察し、共通点を見つけ出し、土壌や育て方を最適化するノウハウなら、頭の中にどっさりと詰まっている。


「リリアさん、このポックリ草……もしかして、日陰の湿った土壌で育てているのか?」


「え?うん、そうだけど……なんで分かったの?」


リリアが銀色の眉をひそめて驚く。


「根の表面の繊維が細かく、水気を多く含んでいる。この手の薬草は、朝日が少しだけ当たる斜面で、落ち葉の腐葉土を使って育てると、もっと根が太くなって効能も増すはずだ」


地球での知識と、長年のカンを総動員したハタリだったが、リリアは目を見開いて立ち上がった。


「すごいです、健一おじいさん!それ、うちの師匠がずっと研究してて失敗続きだった培養法とまったく同じ……!おじいさん、本当は何者なの?」


「ただの……年寄りだよ」


俺はスープを飲み干し、ふっと破顔した。


剣は振れない。

魔法陣を描く敏捷さもない。

俺には70年かけて蓄えた「生きる知恵」がある。

若造たちには真似できない、熟練の観察眼と深みがある。


チートな魔力はなくてもいい。

俺はこの異世界で、史上最高齢の「智者」として、第二の人生をのんびり、けれどたくましく開拓してやるのだ。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!


若返ることもなく、チート能力も授からなかった健一おじいちゃんですが、長年培った知識と経験(と家庭菜園のノウハウ)という強力な武器を胸に、異世界での第一歩を踏み出しました。


チート魔法でドカンと大暴れはできなくても、年寄りならではの知恵と老練さで異世界のトラブルを乗り切っていく健一の活躍を、どうぞ温かい目で見守っていただければ幸いです。



それでは、また次の更新でお会いしましょう!

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