引退式
中学の部活動…
「すごいすごい!!!もう音階完璧じゃん!!!さすが〜!!」
「わぁ……この連符吹けるの凄!……たくさん練習したでしょ?頑張ったじゃん〜!」
「めっちゃ綺麗なビブラートやね?!もう完璧やな……」
「いつか絶対、東海行ってくれるって信じてるから!!!私よりもどんどんと上手くなって…頑張って………」
………2個上に部長をやっていた先輩がいた。
賢くて、顔も良くて、運動もできて、みんなをまとめていて……。
どこからどう見ても完璧人間。
その先輩に育てられてファゴットを吹いてきた。
先輩が眩しく見えた。
そして、俺は先輩のことが好きだった……。
自分にはないものたくさん持っていた。
そして、高校に入ってもファゴット吹いている先輩に定期演奏会に呼ばれて………。
もう、遠すぎたその存在に手は届かなかった………。
◇
「じゃあ、次は……ってお前まだ喋ってないのに泣きすぎやろ…喋れる……?」
青髙先生に突っ込まれて、これが最後の挨拶なんだな…と改めて実感してくる。
俺よりも前にもたくさんの仲間が喋ってきたけど、みんなの言葉に涙を流さずにいられない。
なんなら、合奏の時から泣いてた。
「……い、…いけ、ます」
席を立ち、みんなの前に出る。
目の前にはたくさんの同級生とたくさんの後輩たち………。
俺はひと呼吸置き喋り始めた。
「……っまず、約3年間、本当にありがとう、ございます…。…たくさん迷惑かけたし、頼りない先輩やったけれど、みんなっと一緒に、合奏していろんな場所に行って……忘れられない、思い出が数えきれないほどできました。…今までの、先輩の引退式を見てきて、そん時にほとんどの先輩たちが言っていたのが、辞めようと思った時もあったっと言う言葉で、まだ、1年、2年だった…自分はいつか、部活が大変になって、厳しくなって、そう思う日が来るんだなとか、思っていたけれど、この3年間、部活が嫌だと、辞めたいと思ったことは、1回もありません…!」
心はまだ楽しんでて、子供だったのかもしれない。
先輩に憧れて、木低3人でいろんなところ遊びに行って、コンクールにみんなで出て………。
たくさんの思い出が蘇ってくる。
「……それはいつも、楽しい……指導をしてくれる、青髙先生のおかげでもあるし、先輩、そして、この場にいる後輩のみんな、、そして40人いる……同級生のみんなの、おかげです。」
同級生の1人1人の顔を見ていく。
人数が多いけれど、みんなにも本当に仲良くしてもらった…。
本当に感謝しても足りない。
「みんなは…本当に色々あったけれど、コンクールで悔しがったり、喜び合ったり……一緒にアンコン頑張ったメンバーや…おんなじパートのメンバー、みんなでいろんなとこ行って、演奏して、楽しくて…このメンバーじゃないとダメなんだなっと思って…1人でも欠けたら、結果なんて変わっていただろうし、演奏のできも違うし…革命も起こせてない…自分は、このメンバーで良かったと思っています……!本当にありがとうございます。」
ただ、みんなとここまで走りきれた……それが本当に嬉しくてありがたかった……。
そして、これで、本当の引退となった……。
◇
「あのさ、話、聞いてくれる……?」
引退式後駐輪場で和に止められて帰る準備を止める。
表情が暗い…どうしたんだろう……?
「…うん!もちろん、ええよ」
そう言うと和は急に涙を流し始め、伝えてくれた……。
「……っ!…ごめんっ……!今まで……特に中2の後半から…ずっと避けてて………消えようと思ってたんだ………!!もう、人生嫌で!!……だから!僕が、いなくなっても悲しまないように……嫌われてもらうように、、ずっと避けてしまってた……!!それなのに、ずっと……話しかけてくれてて……ごめんっ……!本当にごめん……」
「和。ありがとう……!ずっと、嫌いになんかならないよ。自分さ、和と友達になれて、たくさんお喋りして、本当に良かったし楽しかったと思っている。嬉しいよ。ありがとう……。和はどうだった…?一緒にお喋りして遊びに行って、楽しかった…?」
「……っ……っありがとう…!僕も…!!ものすごく楽しかった…!!」
楽しい思い出も辛かった思い出も全部涙として思い出される。
「うん…!!またさ、木低で遊びに行こう!!」
「……うん!!」
「ねえ、あのさーこんな受験期になんなんだけど、また推しが増えっちゃって……」
「……っぷっ…また布教!!懐かしい!!どんなやつ?」
「ふっふっふ……それはねー……舞台俳優!!!」
そこから、和と自分の推しの話で時間を忘れるくらいに盛り上がった……。
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次の更新は6月17日を予定しています。
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