おまけ 長野の観光地についての会話『小布施』
バスで移動しながら桜子は雅に訊いた。
「今日は大輝くんとどこへ行ってたの?」
「小布施。大輝くん、まだ行ったこと無いって言ってたから」
「小布施?」
「ああ。桜子も行ったこと無いよね」
「うん」
「そんなに遠くはないんだけど、栗とか有名なところよ。あと葛飾北斎とか…」
「あ、知ってる。俳句を作る人でしょ?」
「違う違う。絵を描く人よ」
赤くなる桜子。
「そっか…。てへへ」
「北斎館っていう美術館があるのよ」
「入ったの?」
「うん。良かったよ。特に祭屋台の天井絵が凄かった」
「へぇ」
「あと、近くには日本のあかり博物館ってあって、昔の灯火具がたくさん展示されてて興味深かったわよ」
「面白そう」
「その周辺にはお土産やさんもたくさんあって、飽きなかったなぁ」
「ぜんぶ歩いて回ったの?」
「ううん。少し離れた所にも行ったから周遊バスを使った。レンタル自転車もあったんだけど、スカートだったからね」
「離れた所?」
「葛飾北斎が描いた天井の鳳凰図が有名な岩松院ってお寺とか、フローラルガーデンとかよ。フローラルガーデンはお花がいっぱいで素敵だったなぁ」
「それは見てみたいな」
「あたしもまた行きたい。季節によって表情が変わると思うから」
「そっか。咲くお花が変わるもんね」
「うん」
「美味しい物は食べた?栗が有名なの?」
「うん。栗はホントは秋に行きたいところだけど、今月中には帰っちゃうからね。大輝くん」
桜子は興奮気味に訊いた。
「なに食べたの?モンブラン?」
「有名なモンブランもあるんだけど、お昼に栗おこわ食べたらお腹いっぱいになっちゃって食べなかった」
「えー?雅ちゃん、甘いの好きだよね」
「うん。でも結局、栗のソフトクリームは食べちゃった…ふふっ」
「あーいいなぁ」
「桜子は結城くんと何か食べなかったの?」
「結城くんのお姉さん的な人に、分厚いステーキご馳走になっちゃった。へへ…」
「えー?それだって凄くいいじゃない」
「でも甘いのは食べてない」
「秋になったら小布施にモンブラン食べに行きたいね」
「秋は新そばも食べに行かなきゃだもんね」
「ああ…。そんな事も言ったっけ」
「味覚の秋は色々と忙しくなるね」
雅は予算の事を考えて、少し気が重くなった。長野は松茸も有名だなどとは決して言うまいと心に誓った雅だった。
おまけ 長野の観光地についての会話『小布施』
――終わり――
次回「第十話 おうちに帰ろう その1 ロン毛パイセン」は5/16(金)に投稿する予定です。




