68/77
夏の想い出だけにしやしない
あついよねって言いながら
キミは帰り道に寄りそった
ふと夏祭りの神輿のはなし
風にながれる白い雲のした
キミの長い黒髪がそよいだ
いつかふたりお揃いの浴衣
帯の締め方ゆるくはらりと
はだけた素肌に頬を赤らめ
目を伏せるキミをみつめて
するりと抜いたボクの帯を
その身体に手際よく通すと
ありがとうと返す顔を読み
思いきりキミを抱き寄せる
突然風にいたずらをされた
緩んだままのボクの浴衣が
はらりはらりとひるがえり
股下の薄い下着に皆の目が
思わずしゃがんで手を添え
あわてるキミもいじらしく
大丈夫ここは私にまかせて
はじらう声で手渡された帯
風が止むと浴衣はキミごと
すっぽり覆い隠した奇跡を
結び目で手間取ってみせて
ごめんもう少しだけごめん
赤裸々な体験人混みの中で
あついよねって寄り添った
いつもの帰り道キミの声は
特別な意味でボクのこころ
せつじつに焦がしてくるよ
あの夏の時よこの指とまれ
風の奇跡はボクが起こすよ
枕に流した涙よ瞳にもどれ
キミを腕の中に抱けるなら
うつろう幻影にさよならを
あついのは夏だけじゃない




