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聴こえる。  作者: AS
5/10

第5話

 翌朝、俺は小宮山に電話をかけた。俺が小宮山に電話することなどこれが初めてだったから、小宮山は何事かと思ったらしく、「もしもし」の声に驚きや警戒の感情が読み取れた。

「もしもし。ごめん、今大丈夫か?」

「大丈夫やけど、何やねん。お前が俺に電話して来るなんて」

「いや、お前にちょっと聞きたいことがあってな」

「何? まさかネタのことじゃないやろうけど」

 俺がお笑いのことに関して人に教えを請わないことは、同期の間では知れ渡っていることだった。

「お前さ、アニメ好きやったよな?」

「え? まあ、週に30作品ぐらい観てるぐらいには好きやけど」

「アニメってそんないっぱいやってんの?」

「朝やってるのとか、俺の趣味に合わんくて観てないやつとか合わせたらもっとあるで」

「そうなんか。いや、俺が聞きたいのはそういうことやなくて。お前、ラブライブって知ってるか?」

「知ってるも何も、μ’sのライブ行ったことあるっちゅうねん」

「え? ライブ? どういうこと? アニメの映像をみんなで観るってこと?」

「ちゃうわい。誰がそんなライブ行くねん。μ’sの声優さんが、アニメと同じ曲をライブで歌って踊んねん」

「へえ、そうなんか」

 俺は初めて知るラブライブの情報に、素直に驚いた。

「そうか。そういえば今再放送やってんのか」

「え、今やってんのって再放送なん?」

「そうそう。夏に映画やんねんけど、それに合わせて再放送やってねん。そうや。μ’sのライブBlu-ray持ってるから、今度貸したろか?」

「ほんまか? それは絶対貸してくれ」

「じゃあ、今度劇場の出番一緒になったときに渡すわ」

「おう。ありがとう」

 その後、「この後のストーリーのネタバレしたろか?」と冗談を言ってきた小宮山に本気でキレかかけたところで、俺は電話を切った。どんどん胸がワクワクしてきて、地面から数センチぐらい浮いてるなじゃないかと思うほど、気分が高揚していた。

 そういえば、西口以外の同期とこんなに会話したのは、初めてだった。俺は、早く劇場で小宮山に会いたかった。


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