第十一話 “王道”と“お約束”は“かかせません(結花side)
腐女子トーク炸裂です。結花はBLもGLもNLもストーリー次第!…というタイプです。
また、“とある専門用語”がいくつか出てきます。
「一応“害虫”は殲滅したわ」
「いや。まだいる」
「え?それって“こっち”じゃないよね?」
「ああ。だから“向こう”でも頼みたい」
はぁ~~っ。“惚れた”弱みとは言え……。
あ!別に嫌じゃないのよ?だって私の最愛の“彼女”の為だもん!いくらだって“主人公の助っ人役”は暗躍するのさ!これ、王道中の王道!!
「“向こう”でも?」
「ああ。超特大の“蟻地獄”がいる。しかも自分は巣の中でじっと待ってるだけで“親の権力”を利用して“餌”をおびき寄せる……な」
「わ!もしかして中ボスクラス?!で?勿論、主人公は“蟻地獄”を嫌いなのよね?」
「くっくっくっく…存在すら知らないのが現状だ」
なるほど。変に動いて主人公に自分の良さをアピールしつつ牽制する当て馬男じゃなくて、自分は表舞台に一切出ないのか………かなりやりづらいわね。
「しかも“電波男”ときている」
「うわっ!最低!親はどんな教育をしたの?!」
「……さあな。俺が知り得た情報もここまでなんでね」
なるほど。“あなた様”の手腕を持ってしてもダメだったのか…。
これはよほど注意深く行動しないと…か。
私は目の前の…って言っても“スカイプ”なんだけど…の“ポコちゃんお面男”にぼやいてみる……。
「せめて“あの娘”の味方がもうちょっといたらなぁ……やっぱ“ここ”は馬鹿でミーハーで身の程知らずな雑魚駒ばっかりだから……。はぁ~~っ!使えねぇ~~っ!
それに“こっち”だから殲滅出来たってのもあるんだからねっ!!」
「問題ない」
「へ?」
「近日中に“アレ”からアクションがあるだろう」
「は?何それ?」
「くくく…そのウチわかる。じゃあ頼んだぞ?」
プツ……
「あ~あ。いつお話してもマイペースなお方だこと!」
スカイプを切り、私はベッドに寝転んで回想してみる。
……“ポコちゃん”男と初めて会った日の事を……
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私が生まれて初めて“社交界”とやらにデビューしたのは初等部に入学した年の事だった。
「なぎさ、ご挨拶を」
父親は私を“なぎさ”と呼ぶ。ちなみに母親は“結花”だ。私の名前は父親と母親の意見が食い違った為、当時9歳のアニが両方取り入れたら…と助言した為“結花”と書いて“なぎさ”となった。
初めての大規模なパーティ。しかし、父親に挨拶するよう言われた御仁は何故か怪しい邪教集団のトップ……所謂教皇様ね……スタイルであり…
「は…初めまして。石原の長女、結花です」
『……年はいくつかの?』
「なっ……七歳です」
『七つか……それは良い。石原の、“アレ”の事をこの娘御に頼めるかの?』
「はっ…はいっ!勿論でございますっ!!」
教皇様の言葉に、まるで“某黄門様に楯突いた揚句格さんから印籠を見せられた直後の悪代官”の如く低頭平身する父親。
……どうやら、この教皇様はめっちゃお偉いお方らしい
『なになに。先の事だ。案ずることはない。“コレ”もおるし…な?』
『勿論です』
何時の間に現れたのか、教皇様のとなりには“ひょっとこ様”が立っていたのだ。
高い身長と長い手足……体格からすれば大人なんだけど…
「あの…失礼ですが…」
『紹介がまだだったかの?“コレ”は儂の後継者となるモノだ』
『以後良しなに』
名乗りもしないで“ひょっとこ様”はぺこりと頭を軽く下げただけだった。
……声はモロ好みなんだけどなぁ……
それが、当時の私がひょっとこ様ことポコちゃん男に抱いた感想だったのだ。
*********
そして今に至るのだが、結局私は“ひょっとこ様”の素顔を見ていない。
……いつも仮面…じゃなくてお面だけど…をつけて顔を隠してるからだ
“ひょっとこ”も“ポコちゃん”もこの男の趣味なんだろうか……ならば今度おせっかいかもしれないがお気に入りのキャラ面を進呈させて頂こう!
それにしても、声だけで一目惚れって……どうよ?
で、“ポコちゃん様の指示”により動いている私は、この御仁の性格すらも“超ど真ん中”だとわかってしまったのだ。
命知らずな私は、一度、ひょっとこ様に彼女がいるかどうか聞いてみたのだが…
「“女”はとうに卒業した」
これが回答よ?それってさ、もしかして、もしかしなくても………BLってやつ?
いやぁ~ん!ますます好みじゃないっ!
タチかな?ネコかな?出来ればネコよりのリバ希望っ!!
ってか、私、失恋決定って事?でも、何故かちっとも悲しくなかったんだな。コレが!
やっぱり生BLにお会いできたから?
いや!“セカンドラブ”のせいかもしれない!
そう。何を隠そう、今、私は“意中の相手”と仲良しこよし~な関係なのだ♪
容姿抜群。性格二重丸。男慣れしてない…っつーより異性が苦手ってヤツ?それもイケメンなら特に!で、コレ重要!必ず天然である事!!
以上が私の理想である恋愛小説の主人公なのだ!
「そんな理想的な“おんにゃのこ”が現実にいるかっ!」って?
うんうん。その気持ちもわかるよそこのオタクくん。
でもね?………ふっふっふっふっふ……何と!神の気まぐれか!偶然!私の下に舞い降りたのだよ!その“おんにゃのこ”が!!
……彼女の編入日の晩、数年ぶりにお目見えした“ひょっとこ様”から“ポコちゃん様”に変貌を遂げられたお方からもたらされた指令により、“ソレ”が“偶然”じゃないとわかったんだけどさ……
彼女の名前は天音 紫苑。お花と同じ名前ってだけでも花丸じゃない?
でもさ、この娘ってば名前負けしないくらい“無垢”で“天然”なのよっ!!
自分が見目麗しい女って計算づくしの言動が多いでしょ?でもね?彼女って自分で自分の容姿の威力がわかってないの!
……多分、幼少期にどこかの僻み娘や非常識大人達に容姿の事で傷つけられたのね
だからか、彼女素顔を隠しているのよ。でもね?これって恋愛小説ではお約束パターンなの!
主人公の美しさは“選ばれた人種”だけが拝める事の出来る勲章なのだ!
だから、私はすぐ紫苑に話しかけ、編入初日に“主人公の親友”という栄誉ある称号を頂き、“我が心の恋人”に一番近いポジションをゲットしたのさ!
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ああ!神様!生きてて良かった!!
父よ!母をむにゃむにゃ…してくれてありがとう!
母よ!私を生んでくれてありがとう!
そして、今回ばかりは貴方にも感謝してやる!ポコちゃん様!“彼女”を私の下に遣わせてくれた事を!
しいちゃんと2か月も会えなくなるってだけで三日三晩泣き続ける自身あるよっ!!
……何て状態から一転『ヘイ!アミーゴ!一緒にエンジョイしようぜサマーバケイション!!』って展開になるとは……!!
うむ!わらわは今大変ご満悦じゃ!しからば、ものどもにもこの“幸”を分けてしんぜようぞ!
スッ…ガバッ
「大好きだよ紫苑!」
ふははははは。さあ!拝むが良い!この百億ドルの素顔を!!同額の笑顔つきでなっ!!
ああ!本当は“大好き”でなく“愛してる”と叫びたいっ!
そこの“にやにや笑い”のチェシャ猫娘達よ!そなた達は“この価値”を既に理解しているのだな?
………羨ましいだろう?男どもよ!せいぜい自分の“視力の悪さ”を恨むがいい!…って!皆再起不能じゃん!所詮雑魚キャラ、その他大勢だからなぁ。
おっと…!そこの石化している女達!甘いな。『能ある鷹』は『爪』を隠すものなんだよ。
本当は『能』じゃなくて、本人の天然及びその他の理由によるものだけど……
「ッフ……これもお約束なのさ」
嬉しさのあまり思わず口から洩れちゃったぜい!
こんなに夏休みが待ち遠しいと感じた年は……今後何年経っても無いだろうなぁ。
結花sideでしたが如何でしたか?今回はギャグ風味でお届けしてみました。
次回は“あのお方”視点です。




