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第八話「好き」

 俺の目の前には、水下先生がいた。

 水下先生は俺が中学三年生だった頃の担任教師だ。

 顔や体型は女優顔負け。

 加えて性格も俺のタイプだ。

 噂によると、俺の学校で50人の男子から告られたとか……


「聞いてますかー?」


 水下先生が目の前にいる。

 これは一体どうゆうことなのだろうか?


「聞いてますぅ?」


「そうか!!」


「?」


 俺は前世では結婚できなかったかもしれない。

 落ちこぼれ中学に入学し、その中でも落ちこぼれという中学生にして人生終了ルートを歩いていた。

 

 お母さんは……

 そんな俺にチャンスをくれたんだ。


「おーい」


 ここはどうやって迫るべきか……?

 思い出せ。

 政宗よ、思い出せ。

『決定版 恋愛大全〜100の手法を紹介』この本にこう言う状況での話し方が詳しく書かれていたはず。


「うぃーす、水下先生ィお久しぶりっ子でぇーす」


 よし、決まった。

 俺は心の中でガッツポーズをする。

 

「……」


 困った顔をしている。

 これは断言できる。

 成功の証だと。

 

 通常、素人ならばここで四方山話をし始める。

 だが、それはすごーく勿体無い。

 食材をごみ箱に捨てるようなものだ。


「水下先生、俺と結婚してください。共に夜を過ごしましょう」


 前世で俺が身につけた恋愛スキル「最後の決め手」

 メロメロ率100%、加えてスキル使用後、自尊心が80%UPする。  

 これは、俺と半生を共にした愛読書に記されてあった情報である。

 この世界の住人全員に伝えたい。

 読書で人生は変わる。

 俺の人生は今変わった。

 水下先生と結婚……

 なんと良い響きでしょう。


「……はい?」


 政宗!! 

 今、聞いたか? 

 水下先生は「はい」と言った。

 つまり、YESの返事を貰った。

 よし、ここでさらに発展させて……


 水下先生の「オトナの唇」に生まれたてほやほやの唇を当てようとする。


「どういうことでしょうか?」


 満面の笑みで、可愛い顔を近づけてさらにきょとんとした表情をする。

 これぞ、理想世界である。

 まるで、全身が蒸発しそうな感覚がする。

 全身がとろけてしまうような快感を心のアルバムに刻み込みつつ、口を開く。


「水下先生。俺と結婚しませんか?」


 水下先生は間髪を入れず即答する。


「水下先生って誰ですか?」


「あなたのことですよ」


 もしかして、この人


「私は……」


 ちょ、ちょ、ちょ、

 ちょっと待ってーーーー

 

 それ以上言わないでください。  

 お願いします。


「ホイップ・ロイゼ・エリカですけど」


 ま……まじかよ

 人違い……だったのか?


 そんなはずはない。

 多分、俺と同じ転生者なんだろう。

 でも、水下先生を知らなかった訳だし……


 俺は、隅々まで彼女を目で観察した。

 

 うむ。どう見ても水下先生だ。


「水下先生。何か言えない事情があるならどうぞ俺に……」


「人違いだと思いますよ」


 俺の幻想が目の前で真っ二つに割られた。


「それより、さっきの話し聞いてましたー?」


「何の……ことでしょうか?」


「私たちのパーティーメンバーが一人抜けているので、代わりに加入して下さい」


「でも、それは……」 


 俺ははっきり言って弱い。

 戦争で微収された際には、必ず「最下級兵士」という屈辱に満ちた階級を与えられた。

 どうやら能力が異常値になるのは何か条件があるらしい。

 だから、優しく断ろうとしたのだが――


「ダメ、ですか?」


――問い――


 こんな顔をされて断れる男子はいるのだろうか?


――答え――


 100%いない。

  

 断れなかった。

 水下先生……ではなくエリカさんと俺の身長差から発生するスキル「美女の上目遣い」は超強力だ。

 抗えるはずもなく、俺は首を縦に振った。


「では、決まりですね!! 私のパーティーメンバーを紹介します」


 どんな奴らが出てくるんだ……

 

 期待と不安が風船のように膨れ上がる。


「お待たせしましたー」


 エリカさんがそう言うと、俺は地面に向けた視線を下から上に上げてゆく。


「左から順にペルセウス、ルージング、アテナです」

 

「……」


 男性がいたことに少し絶望はした。

 もう一人、美しい女性がいたからまだいいが。

 

 だが、そんなことがどうでも良くなるほどの事態が目の前で起こっている。




 


 




 



 


 


 

 



 

 


 




 



 

 

閲覧頂き、ありがとうございます。 

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